【無料マスタリングツール】PureWavsの中身、全部見せます — あなたの曲が通る約20の工程
みなさん、こんにちは!開発者のマスノです☝️
今日は PureWavs の「中身」の話をします。曲をポンと放り込んで、ダウンロードボタンを押すまでの数十秒。あの間に、あなたの曲がどんな道を通っているのか。
先に言っておくと、この記事を読んでも PureWavs の使い方は1ミリも上手くなりません😂 全部自動でやるので、知らなくていい話です。
でも、「よくわからんけど、こいつ雑にはやってないな」ということだけは伝わると思います。今日はそれが目的です。
(あと正直に言うと、この記事は僕自身の棚卸しでもあります。AIと一緒に作ってきたツールの中身を、自分の言葉で全部説明できるか。その確認です)
🏭 全体像: あなたの曲は約20の工程を通る
PureWavs の中は、小さな工場みたいになっています。受付(読み込み)から出荷(ダウンロード)まで、あなたの曲が通る工程をぜんぶ並べると——
曲の解析、ノイズ除去、基準音量合わせ、低音の補強、超低域の整理、帯域バランス(EQ)、空気感の調整、刺さりの抑制、ステレオ処理、まとめのコンプレッサー、質感付け、余韻の空間処理、密度付け、パンチの強調、リミッター、安全クリップ、音圧の仕上げ、共鳴の抑制、天井(True Peak)の制御、超高域の掃除、そして最後の検品。
ここからは、この工程たちを6つの章にまとめて、それぞれ何をしているのかを案内していきます。
健康診断(徹底的に測る)
お掃除(ノイズだけを取る)
下ごしらえと音作り
質感(パンチと一体感)
音圧の仕上げ
最後の検品
ひとつずつ、何をしているか紹介します。
🏥 工程1: いじる前に、徹底的に測る
PureWavs は、あなたの曲を1サンプルもいじる前に、まず検査だけをします。
音量(LUFS)、ピークの高さ、音の抑揚の深さ(PLR)、ノイズの質と量、すでに歪んでいないか、ステレオの広がり、帯域ごとのバランス——10以上の角度から曲を測って、「この曲はどういう性格か」のカルテを作ります。
ピークの測定は、普通の測り方だと見逃す「サンプルとサンプルの間に隠れたピーク」まで、4倍の解像度に拡大して探します。
なぜ最初に測るのか。PureWavs の処理は全部「その曲に合わせて」動くからです。カルテがいい加減だと、後の全工程がいい加減になる。だからここが一番大事な工程です。
🧹 工程2: お掃除 — ノイズだけを、音楽を守りながら
AI音源特有のシュワシュワ・ヒスノイズを取る工程です。ここは以前の記事で詳しく書いたので要点だけ。
曲を細かい"瞬間"に刻んで、4分の曲なら約2,300万箇所をチェックします。これがブラウザの中で数秒で走ります
「これはノイズか、音楽か」を、メロディの倍音構造・アタックの瞬間・帯域ごとの音の性質という複数の観点で見分けます。迷ったら削らず守る側に倒す判定です
低音側は、構造的に処理が届かない設計にしてあります。理由はシンプルで、AI音源のノイズはほぼ高域に住んでいるから。低音を処理する理由がそもそも無いなら、触れない構造にしてしまえば、この処理で低音を壊す心配そのものが無くなります
そして削った音は、Removed ボタンであなた自身の耳で確認できます。何を取ったか隠さない。ブラックボックスにしない
正直に言うと、ここにはトレードオフがあります。ノイズと音楽が完全に重なった成分は、物理的に完璧には分離できません。攻めるほどノイズは消えますが、音楽の艶も一緒に削れていく。PureWavs はこの綱引きを「音楽を守る側」に倒して設計しています。だからノイズが完全にゼロになるわけではない——そういう正直なツールです。
🎛️ 工程3: 下ごしらえと音作り — 「足りない曲にだけ、足す」
まず曲を作業しやすい基準音量にいったん揃えます(料理でいう、まな板に乗せる作業です)。
そのあと、低音の土台・高域の艶・帯域のバランスを整えるんですが、ここで PureWavs がこだわっているのは、足りている曲には何もしないこと。
たとえば低音を補強する工程は、カルテを見て「この曲は低音が痩せている」と判定された曲にしか動きません。足りてる曲はそのまま素通り。全部の曲に同じ味付けをしない。「何をするか」と同じくらい「何をしないか」を判定しています。
🥁 工程4: 質感 — 音量を上げずに、前に出す
キックやスネアの「最初の一撃」を立たせる処理、バラバラの音をひとつの塊にまとめる処理、密度を足す処理。このあたりは音の「質感」を作る工程です。
共通しているのは、音量で解決しないこと。大きくすれば迫力が出るのは当たり前で、それは配信サービスの音量調整で帳消しにされます。そうではなく、輪郭・密度・一体感で「前に出る音」を作る。
ここでも一撃の立ち上がりを潰さないよう、処理の反応速度をミリ秒単位で使い分けています。そしてこの工程も、効かせすぎれば不自然に音が固くなる領域なので、基本は薄がけ。「効いてるか分からないくらいが正解」の世界です。
🎚️ 工程5: 音圧の仕上げ — 曲ごとに「ちょうどいい着地点」へ
最後の音圧です。PureWavs はどんな曲でも同じ音量にはしません。カルテの抑揚データを見て、曲ごとに最適な着地点を自動で決めます。
抑揚のあるダイナミックな曲 → 潰さず、呼吸を残したまま
隙間なく詰まった曲 → しっかり大きく
仕上げの途中では、耳につく共鳴(特定の音程だけキンキンするやつ)を狙い撃ちで抑え、最後に人には聴こえない超高域のゴミも切り落とします。
そして天井は True Peak -1.0dBTP。配信サービスで音が割れないための国際的な安全ラインです。サンプルとサンプルの間に隠れるピークまで補間して見張りながら、歪みの副作用が出ないように音圧を詰めます。
🚦 工程6: 最後の検品 — 不合格なら、出荷しません
ここが一番お伝えしたい工程です。
マスタリングが終わった後、PureWavs はもう一度、別の測定器で完成品を検査します。天井(-1.0dBTP)を守れているか、実測で確認する。
もし超えていたら、自動でリミッターをかけ直します。それでもダメなら音量を微調整します。それでもダメなら——エラーを出して、ファイルを出力しません。
「たぶん大丈夫」で出荷しない。検品に落ちた製品を黙って箱に詰めない。地味ですが、マスタリングツールとして一番大事な誠実さだと思って、ここは作り込みました。
🎧 で、結局どんな音になるの?
工程の話ばかりしたので、最後に「結果」の話を。ここまでの処理が全部うまく噛み合うと、耳にはこう聴こえるはずです。
AI特有のシュワシュワ・ヒスが減って、静寂が「黒く」なる
ボーカルや芯のある音が、埋もれずに前に出てくる
低音の土台はそのまま(軽くならない、痩せない)
配信に並べたとき、音量負けしない自然な音圧
「劇的に別の曲になる」タイプの変化ではありません。狙っているのは、AI音源の"あと一歩"を埋めること。効き方は曲によって変わります——それが「曲ごとにカルテを作る」ツールの正しい姿だと思っています。
もちろん、一番わかりやすいのは自分の曲で原音と比べてみることです。Gain Match をオンにすると、音量差の錯覚なしで比較できます。
☕️ 最後に
ここまで読んで「よくわからなかった」という方。大丈夫です、それが正解です😂 覚える必要はひとつもありません。
「無料のツールだけど、データの扱いは雑じゃない」——これだけ伝わったら、この記事は成功です。
そしてこの"データの扱い"には、もうひとつ意味があります。約20の工程はすべて、あなたのブラウザの中だけで動いていて、音声はサーバーに送りません。処理も、預かり方も、雑にしない。そういうツールです。
それでは、良い音楽ライフを!☝️
