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【建設業】その「節税」が命取り?経審のY点を下げる「決算でやってはいけない」6つのこと


「税金が高いから、なるべく利益を圧縮したい」 建設業の経営者様から、決算前によくいただくご相談です。


しかし、公共工事の受注を目指して経営事項審査(経審)を受ける場合、安易な節税対策は「自分の首を絞める」結果になりかねません。


なぜなら、経審のY点(経営状況分析)は、企業の「儲ける力」や「財務の健全性」を数値化したものだからです。税金を減らすために利益を減らせば、当然Y点の評価は下がります。


では、具体的にどの程度のダメージがあるのでしょうか? 結論から言うと、「たった100万円の利益圧縮」を取り戻すには、「数千万円の工事売上」が必要になるケースがあります。


今回は、行政書士の視点から、Y点を下げないために「決算でやってはいけないこと」と、その衝撃的な「数字のカラクリ」について解説します。


1. 経審のY点を下げる「決算でやってはいけないこと」6選

Y点アップを狙うなら、以下の6つの処理は避けるべきです。いずれも「節税」としては有効でも、経審のスコアにはマイナスに働きます。


① 完成工事原価の過大計上(未成工事支出金の計上漏れ)


まだ完成していない工事(未成工事)にかかった外注費や材料費を、当期の「原価」に入れて利益を減らす処理です。


ここがダメ: 本来は資産(未成工事支出金)とすべきものを原価にするため、X3(総資本売上総利益率)が大幅に低下します。X3はY点の中で最も点数差がつきやすい重要指標です。ここを下げることは致命傷になります。


② 販管費の不必要な積み増し


決算間際に、今は必要ない消耗品を買ったり、交際費を増やしたりして経費を使う行為です。


ここがダメ: 営業利益と経常利益が減り、X4(売上高経常利益率)が低下します。また、利益剰余金(内部留保)も増えないため、X8(利益剰余金)の伸びも止まります。


③ 減価償却の恣意的な計上(過大償却)


税法上の特例(即時償却など)を使って、一気に費用計上するケースです。


ここがダメ: 会計上、減価償却は規則的に行うべきものです。無理に費用を前倒しすれば、当期のX4(売上高経常利益率)を直接押し下げます。Y点計算上、減価償却費はプラス評価される側面もありますが、利益減少によるマイナス効果の方が懸念されます。


④ 節税目的の不必要な借入


保険加入や設備投資の「節税商品」を買うために、無理に借入金を増やすことです。


ここがダメ: 負債が増えれば、X2(負債回転期間)が悪化し、X6(自己資本比率)も低下します。さらに支払利息が発生すれば、X1(純支払利息比率)も悪化します。まさに「踏んだり蹴ったり」の状態になりかねません。


⑤ 自己資本(純資産)を減らす処理


過度な配当金や、役員賞与の無理な費用処理などです。


ここがダメ: 会社の基礎体力である純資産が減り、X6(自己資本比率)とX8(利益剰余金)に直撃します。特にX8は「過去の利益の積み上げ」を見る指標であり、長期的なY点アップの鍵です。


⑥ 退職金の不適切な処理(特別損失への計上など)


退職金を、経常利益を減らしたくないからといって安易に「特別損失」に計上することです。


ここがダメ: 建設業の会計ルールでは、退職金は原則として「販管費」です。ルール違反の処理は、Y点以前に「虚偽申請」とみなされるリスクがあります。(※逆に、正当な販管費計上であればX4は下がりますが、適正会計が最優先です)


2. 【衝撃】「利益100万円の圧縮」は「売上〇〇万円」の損失!?

「そうは言っても、税金を払いたくない…」 そう思われるかもしれません。しかし、以下の試算を見てください。


経審の総合評定値(P点)において、「Y点が10点アップ」することは、「完成工事高(X1)の評点が8点アップ」することと同等の価値があります。


これを踏まえ、節税で「利益(売上総利益)を100万円減らした場合」、下がった点数を「工事の売上アップ」だけで取り戻そうとすると、いくら必要かを計算しました。


【ケースA】年商5億円の企業の場合


利益を100万円減らすと、重要指標であるX3などが悪化し、Y点が約1.5〜2点下がります。 これを売上高(X1)でカバーしようとすると……


約500万円 〜 1,000万円 の追加売上が必要


【ケースB】年商1億円の企業の場合


規模が小さいほど、100万円の利益減少のインパクトは甚大です。X3が急落し、Y点は約7〜8点も下がる可能性があります。 これを売上高(X1)でカバーしようとすると……


約2,000万円 〜 3,000万円 の追加売上が必要


いかがでしょうか? 「たった100万円の利益を隠す(節税する)」ために、年商1億円の会社が「あと3,000万円売り上げる」のと同じだけの労力をドブに捨てていることになります。これほど割に合わない話はありません。


まとめ:Y点アップへの一番の近道とは?

Y点を上げるために裏技はありません。 「無理な利益圧縮(過度な節税)をやめること」 これこそが、最も即効性があり、確実なY点アップ対策です。


経審の点数が必要な建設業者様は、決算を迎える前に「目先の税金」と「来期の公共工事(点数)」のどちらが重要か、シミュレーションを行うことを強くお勧めします。


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