見出し画像

インフルエンザにまつわる「時間」の話|慌てて病院に行かなくていい3つの理由

年末からインフルエンザが急速に増えています。
高熱が出て「インフルエンザかも」と思った時、多くの方がすぐに病院へ駆け込もうとします。お気持ちはよく分かります。つらいし、不安だし、早く楽になりたい。
でも実は、インフルエンザには「急いで受診しなくていい理由」がいくつもあります。
今日は、知っておくとちょっと得をする「インフルエンザと時間」の話をします。
───────────────────

① 検査の話:早すぎると「陰性」になる

インフルエンザの迅速検査は、鼻に綿棒を入れてウイルスがいるかどうかを調べる検査です。
この検査には、実はタイミングがあります。
熱が出てから12時間ほど経ったあたりから陽性が出始め、はっきり判定できるのは発熱から24時間経った頃です。
つまり、熱が出てすぐ病院に行っても、体内のウイルス量がまだ検査で拾えるレベルに達していないことがあるのです。
「陰性でした。でもインフルエンザの可能性はあるので、明日もう一度来てください」
こう言われて翌日また受診する——実際にこのパターンはとても多いです。体調が悪い中、二度手間になってしまいます。
特に注意したいのが休日です。休日の救急外来は、この時期2〜3時間待ちということも珍しくありません。高熱でつらい中、長時間待って検査して「陰性」。翌日また受診——これは本当に消耗します。
よほど重篤な症状(意識がもうろうとしている、けいれん、呼吸が苦しいなど)がない限り、休日に慌てて救急を受診する必要はありません。
ちなみに、保険診療では一度の発熱に対してインフルエンザの検査は2回までしか認められていません。早く行きすぎて1回目を「消費」してしまうと、後で必要な時に検査ができなくなる可能性もあります。
じゃあいつ行けばいいのか?
目安は、熱が出てから12〜24時間後。「昨夜から熱が出て、今朝まだ高い」くらいのタイミングがベストです。
───────────────────

② 治療の話:48時間以内なら間に合う

インフルエンザの治療薬は現在いくつかの種類があります。タミフル(飲み薬)、リレンザ・イナビル(吸入薬)、ゾフルーザ(1回飲み切り)など。
これらの薬に共通しているのは、発熱から48時間以内に使い始めれば効果があるということです。
つまり、熱が出てから丸2日間は「治療の窓」が開いています。焦る必要はありません。
そしてもう一つ、知っておいていただきたいことがあります。
インフルエンザの薬の効果は、しばしば過大評価されています。
薬を使わなかった場合、高熱は平均して4日間ほど続きます。薬を使った場合、これが3日程度に短縮されます。
つまり、薬の効果は「熱が続く期間を約1日短くする」というのが実際のところです。
もちろん、1日でも早く楽になりたい気持ちは分かりますし、重症化リスクが高い方(高齢者、基礎疾患のある方、妊婦、小さなお子さんなど)には積極的に薬を使うべきです。
ただ、「薬を飲めばすぐ治る」「早く薬をもらわないと手遅れになる」というのは誤解です。48時間という十分な猶予がありますので、体調と相談しながら、無理のないタイミングで受診してください。
───────────────────

③ 感染力の話:実は症状が出る「前」からうつる

最後に、周囲への感染についての時間の話です。
インフルエンザの感染力は、実は症状が出現する1日前からあると言われています。
つまり、「まだ元気だった昨日」の時点で、すでに周りにウイルスをまいていた可能性があるのです。
そして発症してからは、5日〜7日間程度は感染力が持続します。
ここで一つ大事なことをお伝えしておきます。
病院で「もう人にうつしません」と証明する検査は、存在しません。
よく「インフルエンザが治ったら病院で陰性の証明をもらってきて」と職場から言われる方がいますが、医学的にそのような証明を出すことはできないのです。検査で陰性になっても感染力がゼロとは限りませんし、逆に感染力がなくなっていても検査で陽性が出ることもあります。
お仕事を休む期間については、職場ごとにルールを決めていただくのが現実的です。一般的な目安としては「発症後5日間、かつ解熱後2日間」(学校保健安全法に準じた基準)が広く使われています。
───────────────────

まとめ:インフルエンザは「慌てない」が正解

検査 → 熱が出てから12〜24時間後がベストタイミング
治療 → 発熱から48時間以内なら薬は間に合う
感染 → 発症前日〜発症後5〜7日間は感染力あり
高熱でつらい中、慌てて病院に行っても、検査は陰性、待ち時間は長い、体力はさらに消耗する——いいことがありません。
もちろん、以下のような場合はすぐに受診してください。
・意識がもうろうとしている
・けいれんが起きた
・呼吸が苦しい、顔色が悪い
・水分がまったく取れない
・乳幼児でぐったりしている
それ以外であれば、まずは自宅で水分を取って休んでいただき、翌日の日中に一般の外来を受診するのが最も効率的で、体にも優しい受診の仕方です。
───────────────────

みなとファミリークリニックでは、インフルエンザの迅速検査・治療を行っています。
「いつ受診すればいいか分からない」という場合も、お電話でご相談いただければお答えします。
無理せず、適切なタイミングで。
お体を大切にお過ごしください。
みなとファミリークリニック|名古屋市港区|内科・小児科・皮膚科・リハビリテーション科

いいなと思ったら応援しよう!