「ナナメの関係」が生む温かさ|女川の子供達と過ごした2週間

Tamami Makino | 牧野珠実
8/25-9/8までの2週間、一般社団法人まちとこで、地域おこし協力隊インターン生として働かせていただきました。
目次
子供達を掬い上げる|主な活動内容
「同じ」を意識すること|自己紹介
日常の中にある「ナナメの関係」
Profile
子供達を掬い上げる|主な活動内容
この2週間の主な活動拠点は、女川小中学校と女川向学館。
昼間は女川小学校で「放課後楽校」と「児童クラブ」での活動がメインでした。放課後楽校とは、女川町教育委員会主導のもと向学館と協力して行っている放課後プログラムで、通称:楽校(らっこう)と呼ばれており、放課後に子供達が宿題をしたり、外遊びをしたり、ボードゲームをしたりする時間。週の中で図書室に行く日があったり、アクティブというスポーツ活動をする日があったりします。基本、この時間の役割は一緒に遊ぶこと。ブランコ押してあげたり、一緒にキャッチボールしたり、時には12年ぶりくらいの一輪車にチャレンジしたりもしました(笑)
夜は、女川向学館で中学生の学習サポート。18時-20時の2時間、中学生が向学館にやってきて、受験勉強や試験対策、日々の予習・復習に取り組みます。基本こちらからなにか授業することはありませんが、様子を見ながら質問に答えたり、声がけをしたり、生徒を掬い上げることが主であったような気がします。
「同じ」を意識すること|自己紹介
その中でも私は大学生インターンとして来ていたので、中学生たち向けの自己紹介の機会をもらいました。
東京でのさまざまな活動で定期的に自己紹介スライドは作っていたので過去のものから発掘し、少し編集をして、1日目の自己紹介に挑みました。

「まあ所詮ただの自己紹介」くらいのマインドでいたことが大間違いで、子供達の反応はまちまち。よく頷いてくれる子もいたけど、ぽかーんとしてる子も多くいて、思ってたほど距離が縮まらず、そもそもなんで自己紹介するんだっけ?という原点に立ち返りました。
「お互いを知るため」「同じ空間を共有するものとして心理的安全性を確保するため」そう答える私に、スタッフの方が「同じ」を意識することをサジェスストしてくれました。
私が相手にしているのは人口約5000人、小中学校が一つしかない小さな町で暮らす子供達。そんな当たり前で肝心なことを頭の中で小さく認識してしまっていたことに気がつきました。自分のペースで自分の伝えたいこと、共有したいことを話すのが自己紹介ではなく、お互いに「同じ」を認識し、心の距離を縮めていくことが自己紹介なんだと捉え直し、自己紹介を通して子供達と関係性を作っていこう!ということになり、この2週間で計7回?自己紹介をしました(笑)
文字がたくさんで事実だけをつらつらと並べた1日目とは打って変わって、2回目の自己紹介は、写真を多用してクイズ形式の自己紹介を作りました。
中身もいろいろ工夫して、たとえば趣味の読書を広げて、女川向学館にある本の中に好きなブレイディみかこさんの本があったので、それをみんなにおすすめしてみたり、中学生時代に好きだった給食のメニューを紹介したり。同じ目線に立って、伝えることを意識した2回目。1回目よりははるかによかったと思うけど、でも自分の中ではある葛藤が残っていました。
それは、自分の切り取り方です。
目線を合わせた自己紹介をすると、自分のアイデンティティにそこまで関係していないことが多かったり、それで「たまちゃん」が切り取られていってしまうことにあんまり納得できなかったり、そんな葛藤を抱えながら2回目の自己紹介をしていました。
この葛藤をなだらかにすること、でも同じ目線でいることは決して忘れないように、2週間、自己紹介づくりをしつづけました。
自己紹介を通しての学びは、
自己紹介は相互的なコミュニケーション。
相手の背景を理解しながら、自分の引き出しを開けていく。
相手を知ることで、自分の中の引き出しが増えていき、
「同じ」がたくさん生まれていくのだということ。
そして、相手の切り取り方においても、自分の切り取られ方においてもそれは一面的なものであって、お互いが持つ奥行きを理解することが大切。
最初は「東京から来たなんかすごそうなお姉さん」だったのが、最終日には駄菓子を一緒に選びながら「ねえ帰らないでよー」って言ってもらえる「そこらへんにいるお姉ちゃん」になれたような気がします。
日常の中にある「ナナメの関係」
まちとこさんの理念「ナナメの関係」。
家庭でもない学校でもない第3の居場所として存在するサードプレイスを子供達に提供している地方の教育現場に触れたいと思い、今回地域おこし協力隊インターン制度に応募しました。
私自身も、幼い頃から両親にさまざまな場所に預けられ、居場所を作ってもらっていた経験があったり、高校時代に参加したサマースクールや今も居住しているレジデンシャルカレッジでサードプレイスの存在に救われたりした過去があり、私自身も誰かの日常に「らしくあれる」舞台を作れる人になりたいという願いを持っています。
女川は「サードプレイス」や「ナナメの関係」の存在が決して珍しいものではなく、日常の中に、毎日の生活風景に当たり前にあるように思います。
町に対して絶大な安心感を抱く子供達を見て、まさに親が子供を育てる以上に、町が子供を育てているのだと感じました。
女川の子供達はみんなオープンマインドで、はじめましての私のことも温かく歓迎してくれました。小さな町だとどうしてもコミュニティが固定してしまうような勝手なイメージを持っていましたが、小さい町だからこそ生まれている大きな輪が、周りを受け入れる温かさを持っているのだと思います。小学校によくわからない学生がいても、みんな元気に「こんにちは!(名札を見て)たまちゃんっていうの?あとで一緒にドッジボールしよ!」って一発目から声かけてくれる、そんな優しくて素直な子たちとたくさん出会えて本当に幸せでした。
2025.9.19
文責:牧野珠実
Profile

牧野珠実(まきのたまみ)
愛知県出身/青山学院大学総合文化政策学部2年
女川との出会いは、3年前のHLABサマースクール。
3年ぶりに教育インターン生として戻ってきた。
大学では舞台芸術や演劇を学ぶゼミに所属しているが、自らの教育体験から、教育学や文化人類学、コミュニティ論などにも関心を持っている。
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◆女川向学館(一般社団法人まちとこ)HPはコチラ
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