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【2026年最新】事業承継における債務保証(個人保証)解除の完全ガイド|法的手続き・3つの要件・支援制度まで徹底解説

監修:M&A専門アドバイザー Aldea M&A Advisory株式会社
最終更新:2026年4月

この記事が解決する悩み:「後継者候補の息子が個人保証を嫌がって承継を断った」「会社を売却したいのに個人保証が外れるか不安」「そもそも個人保証はどうすれば解除できるのか知りたい」

この記事でわかること

  • 経営者保証(個人保証)の仕組みと事業承継への影響

  • 個人保証を解除するための「3つの要件」(ガイドライン基準)

  • M&Aによる売却時・親族内承継時の保証解除の違い

  • 事業承継特別保証制度・経営者保証改革プログラムの最新情報

  • 保証解除が難しい場合の代替手段と相談窓口

  • ケース別の手続きフローと注意点


個人保証(経営者保証)とは何か|基本を3分で理解する

経営者保証(個人保証)とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、経営者個人が会社の借入金の連帯保証人となることです。
わかりやすく言えば、「会社が借金を返せなくなった場合、社長個人が代わりに返す」という約束です。

なぜ個人保証が求められてきたのか

信用力が十分でない中小企業に対して金融機関が融資を行う際、会社の財務状況だけでは担保として不十分なケースが多くあります。そこで経営者個人の資産を「保証」として設定することで、融資が実現しやすくなる仕組みです。
日本では長年にわたりこの慣行が続いてきましたが、現在は大きな問題として認識されるようになっています。

個人保証が引き起こす3つの深刻な問題

問題① 経営者の個人資産が危険にさらされる
会社が倒産した場合、経営者の自宅・預貯金・資産が差し押さえられ、最悪の場合は自己破産を余儀なくされます。「会社の失敗=経営者個人の破滅」という構図が、思い切った事業展開を妨げ、早期の事業再生への着手を遅らせる原因になっています。

問題② 後継者が事業承継を拒否する最大の理由になっている
中小企業庁の調査によると、後継者候補がいるにもかかわらず事業承継を拒否するケースのうち、約59.8%が個人保証の引き継ぎを理由としています。「何億円もの借入金の保証人になりたくない」という後継者の気持ちは当然であり、個人保証の問題は後継者不在の大きな要因となっています。

問題③ M&Aによる売却時に保証解除の見通しが立たない
第三者へのM&A(会社売却)を検討する経営者にとっても、「売却後も個人保証が残るのではないか」という不安は大きな懸念事項です。買い手が決まっても、金融機関との保証解除交渉が難航すると、M&Aそのものが複雑になります。


「経営者保証に関するガイドライン」とは何か

こうした問題を解決するために、全国銀行協会と日本商工会議所が共同で策定した自主的なルールが「経営者保証に関するガイドライン(以下、ガイドライン)」です。2014年(平成26年)2月1日から適用が開始されています。

ガイドラインの位置づけ

  • 金融機関に対する法的拘束力はない(あくまで自主的ルール)

  • ただし、金融庁・中小企業庁も関与して策定されており、金融機関は遵守することが強く期待されている

  • 実態として、要件を満たしている場合に金融機関が合理的な理由なく保証解除を拒否することは難しい状況になっている

2019年12月:事業承継に特化した「特則」が追加

経営者保証が事業承継の阻害要因になっているとの指摘を受け、2019年12月に、ガイドラインの「事業承継時の特則」が公表されました(2020年4月から本格運用)。

この特則の核心は以下の点です:

  • 原則として前経営者と後継者の双方から二重に保証を求めない(二重徴求の禁止)

  • 後継者との保証契約は、事業承継の阻害要因となりうることを十分考慮して慎重・柔軟に判断する

  • 前経営者との保証契約は、前経営者が第三者となる可能性を踏まえて適切に見直す

個人保証を解除するための「3つの要件」

ガイドラインに基づいて個人保証の解除を求める場合、以下の3つの要件を満たすことが重要です。この3要件が、金融機関が保証解除を検討する際の判断基準になります。

要件① 法人と経営者の関係が明確に区分・分離されている

法人(会社)と経営者個人のお金が混在していると、金融機関は「経営者の個人資産が会社の借金穴埋めに使われるリスクがある」と判断します。

具体的に求められること:

法人・個人分離チェックリスト(5項目)

よくある問題点: 経営者の生活費を会社の経費に計上している、会社の売上が一時的に経営者の個人口座に入る、経営者が会社に多額の貸付を行っているなどのケースは、要件①を満たしていないと判断されます。

要件② 財務基盤が強化されており、法人のみの返済能力がある

会社の収益力だけで借入金を返済できるのであれば、経営者個人の保証は不要です。金融機関は以下の観点で財務状況を評価します。
財務基盤強化のポイント:

  • 黒字経営の継続:直近の損益計算書が黒字であること

  • 十分なキャッシュフロー:借入金の年間返済額を上回るフリーキャッシュフローがあること

  • 内部留保の蓄積:純資産(自己資本)が充実しており、自己資本比率が一定水準以上

  • 債務超過でないこと:貸借対照表上、資産が負債を上回っていること

財務基盤が弱い会社は即座に要件を満たすことは難しいですが、計画的な経営改善によって要件充足を目指すことが可能です。

財務基盤強化の4つのポイント

要件③ 金融機関に対して財務情報が適時・適切に開示されている

経営の透明性を確保することで、金融機関が会社の実態を正確に把握できる状態を作ることが求められます。

求められる開示の内容:

  • 年1回の決算書だけでなく、四半期や半期ごとの試算表を提出する

  • 資金繰り表・事業計画書を定期的に提出する

  • 重要な経営事項(大型投資・役員変更・主要取引先の変化など)を事前に報告する

金融機関との面談の頻度・質を高め、「この会社の経営者は何も隠していない」という信頼関係を構築することが重要です。

情報開示の内容と経営者保証改革プログラム4分野


ケース別|個人保証解除の手続きと流れ

個人保証の解除手続きは、「①M&Aによる第三者への売却」か「②親族・従業員への事業承継」かによって異なります。

ケースA|M&A(第三者への会社売却)の場合

M&Aによる会社売却時に個人保証が解除されるか否かは、売り手にとって最も重要な関心事の一つです。

M&A売却時の個人保証の一般的な取り扱い:

M&Aで株式を全部譲渡し経営権が移転する場合、理論的には前経営者が保証人である必要はなくなります。しかし、金融機関との交渉が必要であり、自動的に解除されるわけではありません。

手続きの流れ:
① M&Aの基本合意書(LOI)締結後
└─ 買い手が金融機関に「株式譲渡に伴う保証解除の協議」を申し入れ
② 買い手の財務状況・信用力の評価
└─ 金融機関が買い手グループの信用力を確認
③ 保証解除または切り替えの協議
└─ 前経営者の保証解除 + 買い手(または新代表)が新たに保証人になるか無保証融資に切り替える
④ クロージングと同時または直後に保証解除が完了
└─ 保証解除確認書・解除通知を取得する

重要な留意点:

  • 買い手の財務力が十分でない場合、金融機関が保証解除に応じないケースがある

  • 売り手側が事前に金融機関と良好な関係を築いており、財務開示が十分な場合は交渉がスムーズになる

  • M&A仲介会社・弁護士が金融機関との交渉をサポートする体制を確認しておくこと

ケースB|親族・従業員への事業承継の場合

2019年12月に策定されたガイドラインの「特則」により、事業承継時の個人保証の取り扱いについて金融機関への明確な要請がなされています。

特則の核心:二重徴求の原則禁止
前経営者(旧代表)と後継者(新代表)の双方から同時に保証を求めることは原則禁止です。例外的に二重徴求が許容されるのは以下のケースのみです:

  • 前経営者が亡くなり、相続手続き完了までの一時的な期間(事務手続き上やむを得ない場合)

  • 後継者以外の者が新代表者となり、組織再編等の過渡期にある場合

事業承継時の手続きの流れ:
【6〜12ヶ月前】
└─ 3要件の充足状況の自己チ
ェック
└─ 不足している要件(法人口座分離・役員貸付金解消等)の改善に着手
└─ 経営者保証コーディネーターへの相談(無料)

【3〜6ヶ月前】
└─ 取引金融機関へ「事業承継に伴う経営者保証の見直し」を相談
└─ 財務情報・事業計画の出・説明
└─ ガイドラインの3要件充足状況を金融機関と共有

【代表者交代時】
└─ 前経営者との保証契約の解除を書面で確認
└─ 後継者の保証契約の要否について金融機関と合意
└─ 「事業承継特別保証制度」の活用検討

【交代後】
└─ 定期的な財務報告・面談を継続(透明性の維持)
└─ 後継者自身が3要件を引き続き充足するよう経営改善を継続

個人保証解除を後押しする支援制度・相談窓口

支援制度① 事業承継特別保証制度

中小企業庁・信用保証協会が提供する制度で、経営者保証を不要とした資金調達を支援します。

概要:

  • 事業承継前後に必要な資金について、経営者保証なしで信用保証協会の保証を受けられる

  • 保証限度額:2億8,000万円(一般保証枠と別枠)

  • 前経営者と後継者の双方が経営者保証を負担しないかたちでの資金調達が可能

利用条件(主なもの):

  • 中小企業・小規模事業者であること

  • 法人と経営者の関係が明確に区分・分離されていること

  • 直近2期の財務状況が要件を満たすこと

  • 中小企業活性化協議会または事業承継・引継ぎ支援センターの確認を受けていること(令和5年4月以降)

支援制度② 経営者保証コーディネーター(無料相談)

全国47都道府県の「事業承継ネットワーク事務局」に配置されているのが「経営者保証コーディネーター」です。無料で以下のサポートを受けることができます。

  • ガイドライン3要件の充足状況のチェック

  • 保証解除に向けた「経営改善計画」の策定支援

  • 金融機関との「目線合わせ」(経営者と金融機関の間を取り持つ調整)

  • 保証解除が難しい場合の代替策の検討

相談窓口: 各都道府県の商工会議所・商工会、事業承継・引継ぎ支援センターから紹介を受けることができます。

支援制度③ 経営者保証改革プログラム(令和4年12月策定)

金融庁・財務省・中小企業庁が連携して策定した政府全体の改革プログラムです。以下の4分野に重点的に取り組んでいます。

①スタートアップ・創業:創業時から経営者保証を不要とする新制度(スタートアップ創出促進保証)
②民間金融機関:経営者保証に依存しない融資の積極的推進
③信用保証付融資:保証協会付き融資での無保証対応の拡大
④ガバナンス:3要件充足に向けた企業支援の強化

このプログラムにより、以前と比較して金融機関が無保証融資・保証解除に応じやすくなっています。2026年現在も改革は継続中です。

個人保証を解除できない場合の対処法

3つの要件を満たせない場合や、金融機関との交渉が難航する場合でも、以下の選択肢があります。

対処法① 「停止条件付保証契約」への切り替え

財務状況が改善した段階で自動的に保証が解除される、という条件付きの保証契約です。「今すぐ解除は難しいが、要件を満たしたら解除する」という金融機関との合意形成に活用されます。

対処法② ガイドラインに基づく保証債務の整理

万が一、個人保証が残った状態で会社の業績が悪化し返済が困難になった場合も、ガイドラインを活用することで個人破産を回避できる可能性があります。

ガイドラインに基づく保証債務整理の特徴:

  • 破産手続よりも多くの財産を手元に残せる可能性がある

  • 「華美でない自宅」に住み続けることができるよう金融機関が検討する

  • 年齢等に応じた一定の生活費(約100万〜360万円)を残すことを検討

  • 返済しきれない残額は原則として免除

  • 信用情報機関への登録(いわゆるブラックリスト入り)は行われない

ただし、ガイドライン整備に精通した弁護士のサポートが必要です。

対処法③ 要件充足に向けた計画的な改善

保証解除がすぐに難しい場合は、中期的な計画で3要件の充足を目指します。特に効果的なのは以下のアクションです。

  • 役員貸付金のゼロ化:最もよく指摘される問題。計画的に返済・相殺する

  • 役員報酬の適正化:過大な役員報酬を是正し、内部留保を蓄積する

  • 月次試算表の金融機関への定期提出:透明性確保のための最も効果的なアクション

  • 事業計画書の策定と共有:将来の返済見込みを数字で示す

個人保証解除に関するよくある質問(FAQ)

Q. 個人保証は必ず解除できるのですか?
A. 保証解除はガイドラインに基づく金融機関への「要請」であり、法的な義務ではありません。最終的な判断は金融機関が行います。ただし、3要件を満たしている場合に金融機関が合理的な理由なく解除を拒否することは困難な状況になっています。解除できない場合は、必ずその理由の説明を求めてください。

Q. 会社を売却(M&A)した後も個人保証が残ることはありますか?
A. 残るリスクはゼロではありません。買い手の信用力が低い場合や、金融機関との交渉が不十分な場合は、前経営者の保証が一定期間残ることがあります。必ず最終契約書に「クロージングまでに個人保証が解除されること」を条件として明記することを専門家に相談してください。

Q. 後継者に個人保証を引き継がせないことはできますか?
A. 可能です。ガイドラインの特則(2020年4月運用開始)により、後継者に対して一律に保証を求めることは原則禁止されています。後継者が保証を引き継がなくてよい状況を作るためには、3要件の充足状況の確認と事業承継特別保証制度の活用が有効です。

Q. 個人保証の解除を交渉するのは自分でできますか?
A. 金融機関との交渉は専門的な知識が求められるため、経営者保証コーディネーター(無料)や弁護士・税理士・中小企業診断士のサポートを受けることを強くお勧めします。特に保証債務の整理が絡む場合は、ガイドラインに精通した弁護士への依頼が不可欠です。

Q. 個人保証がある状態でも事業承継・M&Aを進めることはできますか?
A. できます。個人保証の解除が確定していない状態でもM&Aや事業承継の手続きは進められます。ただし、最終的な成約の条件として「個人保証の解除」を盛り込み、未解除のままクロージングしないよう取り決めておくことが重要です。

Q. 相談できる窓口はどこですか?
A. 主な相談先として以下があります。

  • 事業承継・引継ぎ支援センター(全国47都道府県設置、無料)

  • 商工会議所・商工会(経営者保証コーディネーターに繋いでもらえる)

  • 中小企業活性化協議会(財務改善支援と保証解除支援を一体で受けられる)

  • 弁護士・税理士(複雑なケースでは専門家への依頼が不可欠)

個人保証解除を成功させるためのロードマップ

【今すぐできること】
└─ 役員貸付金・社内のどんぶり勘定がないか確認する
└─ 直近の決算書・試算表で「法人・個人分離」の状況を自己チェック
└─ 経営者保証コーディネーターに無料相談する

【3〜6ヶ月以内】
└─ 役員貸付金がある場合は解消計画を立てる
└─ 月次試算表を金融機関に定期提出する仕組みを作る
└─ 取引銀行の担当者に「保証解除を目指していること」を伝える

【6〜12ヶ月以内(承継・売却準備期)】
└─ 3要件の充足状況を経営者保証コーディネーターと確認
└─ 事業承継特別保証制度の活用を検討・申請
└─ M&Aの場合:仲介会社と連携して金融機関との事前協議を開始

【承継・売却の完了時】
└─ 保証解除確認書を書面で取得(口頭合意では不十分)
└─ 前経営者の保証解除と新経営者の保証契約(または無保証)の両方を確認
└─ 解除されない場合は停止条件付保証への切り替えを交渉

まとめ|個人保証の問題は「早めの相談」が解決の近道

経営者保証(個人保証)は、後継者不在の最大要因の一つであり、M&Aによる売却を複雑にする要因でもあります。しかし、2014年のガイドライン施行、2020年の特則運用、そして2022年の経営者保証改革プログラムと、制度環境は着実に整備されてきています。

重要なのは「自分から動くこと」です。金融機関は申し出がなければ保証解除の提案をしてくれません。3要件の状況確認から始め、専門家や支援機関を活用しながら計画的に取り組むことが、個人保証解除の最短ルートです。

まずは今日、経営者保証コーディネーターへの無料相談の予約を入れることから始めましょう。

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本記事の情報は2026年4月時点のものです。ガイドラインの内容・支援制度は改正・更新される場合があります。最新情報は中小企業庁・金融庁・全国銀行協会の公式情報をご確認ください。個別のご状況については、必ず専門家(弁護士・税理士・経営者保証コーディネーター等)にご相談ください。

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