【BL二次小説】 運命のグラス⑦
女性客GHがバタバタと荒北に駆け寄ってきて尋ねた。
「荒北くん!聞いた?」
「は?何を?」
「まり子のこと!」
「!」
そういえば今日はまり子の姿が見えない。
この前、新開に勝負をかけるとかみんなが言っていたが、あれからどうなったのだろうか。
「まり子、フられたんだって!新開くんに先週」
「え……」
先週ということは、あの日荒北が帰った後の出来事だ。
「もうみんなビックリ!」
「あの狙った獲物は逃さないまり子がねー!」
「あ……そォ」
そうか……。
新開のヤツ、断ったんだ……。
荒北は少しホッとした。
しかし、かといって事態は何も変わってはいない。
新開争奪戦からまり子が脱落したというだけで、レースは依然開催中なのだ。
「まり子がダメだったってことは、あれよね。ゴージャス系は消えたってことよね」
「やっぱ清楚系?それでいく?」
女性客GHは大興奮だ。
……ほらな。
店内はもう次は誰が挑戦するのか、そんな話題でもちきりだ。
荒北はもうこんな世界はうんざりだった。
勝手にやっててくれ。
オレぁリタイアだ。
そもそもレースに参加する資格すら無かったけどな。
……しかし荒北は少し気になっていた。
あの、自信満々でプライドの高いまり子が、よくおとなしく引き下がったな、と。
結構な悶着があったのではないか。
新開は何も言わないのでわからないが。
その時。
コロンコロン。
入ってきた人物を見て、店内が一斉に静まり返った。
まり子だった。
