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帰国半年前。英語を手放したら、心がだいぶ軽くなった

娘の高校留学を機に、2023年4月、メルボルンに移住しました。
高校卒業までの、期間限定の海外暮らし。781日目のあれこれをnoteに綴ります。


ちょうど50歳の節目でした。
人生初の海外暮らし。

英検2級は持っていますが、30年以上前に合格しました。
きっと想像できますよね、私の英語力。

移住して数ヶ月は暮らしの基盤を整えることで精一杯でしたが、少し落ち着いたころに思ったんです。せっかく海外に住んでいるんだし、時間もあるし、英語を勉強しようかなって。

「コミュニケーションをとるには英語だな」

そんな軽いノリで始めた英語学習が、のちにいろんな意味で自分を追い込むことになりました。

海外に住んでいれば、そのうち”自然に”英語が話せるようになる。
そんな風に思っていたんです、疑いもせずに。

結論から言いますと、2年たっても私は流暢に英語を話せるようにはなっていません。

もちろん、買い物をしたり、カフェで注文をしたり、あいさつを交わす程度の上っ面の英語は完璧です。でも、少し込み入った話になると、今もなかなかうまく言葉が出てきません。

つい先日、前から気になっていたメルボルン発のサロンでフェイシャルトリートメントを受けました。
なかなかいいお値段でしたが、長年美容ライターという仕事をしているので、ココは惜しみなく必要経費です。それに、今オーストラリアに特化した美容本を執筆しているところなので、実際に体験しないことには、リアリティのある文章は書けませんからね。

施術は1時間ちょっと。日本のサロンと同じように、担当のエステティシャンが最初にカウンセリングをしてくれます。肌悩み、アレルギーの有無、マッサージの強弱に始まり、そして今回行う施術内容について丁寧にひとつずつ説明してくれました。

専門用語が多く出てきますが、そこは長年、美容業界に身を置いてきた勘で乗り切りました。単語の意味がわからなくても、前後の流れや雰囲気で、なんとなく察することはできるのです。

ただ、彼女が言っていることがある程度理解できても、それを自分の言葉で返すのが本当に難しい。

英語での言葉のキャッチボールが、いまだにスムーズにできないのです。

ホントは肩がちょっと痛いのでデコルテあたりはやさしくしてほしいとか、フェイルラインのゆるみが気になるとか、目もとがとくに乾燥してるとか、肌がくすみやすいから透明感がほしいとか、シミじゃないんだけど、両頬に肝斑があるとか、いろいろ言いたかったんですけど、自分のいいたいことの半分ぐらいしか話せませんでした。

必死に知っている単語をつなげて話していることを察してくれたのか、彼女はわかってくれました。

海外に住んでいるだけでは、英語力は伸びません。
それが、私が身をもって感じた現実です。

でも、最近ふと思ったんです。
「そもそも私、英語を勉強するためにメルボルンに来たんだっけ?」

そのきっかけは、昨日の英会話レッスンでの何気ないやりとりでした。
週に1度だけ、コミュニティセンターの英会話クラスに通っていまして、いわゆる“授業”ではなく、英語を母語としない人たちが集まる、気楽な雰囲気のクラスです。フランス、中国、韓国、ウルグアイ、ブラジル、タイ、そして日本と、国籍も年齢もさまざまなメンバーが集まっています。

昨日はレッスン後、みんなでランチを食べに行くことになりました。
先生も含めて総勢11人。
にぎやかで、楽しい時間のはじまりです。

会場は教室から少し離れたカフェで、車で移動することに。
私は、車を出してくれた日本人の方に乗せてもらいました。
となると、車内の会話は当然、日本語です。

「わたし、このまま英語が伸びないような気がします」
「帰国したら、結局英語を使うことなんてないですからね」

その瞬間、私の心がものすごく大きく波打ったんです。
ああ、私もずっと、同じことを思っていた。

私は英語を勉強するために、メルボルンに来たわけではありません。
50歳という人生の節目に、大冒険するためにここへやってきたのです。
娘の高校留学という大きなチャレンジに便乗してやってきた、と言ってもいい。

そう思ったら、肩の力がすっと抜けました。

英語ができないとか、伸びる気がしないとか、ぐたぐたとくだを巻くのはもうやめにしよう。

帰国まで、あと半年もありません。 

英語を勉強している時間があったら、行ったことないカフェでおいしいコーヒー飲んだほうがいいし、行きたかったパン屋さんに足を運んだほうがいい。娘を連れて今が見ごろの紅葉をこの目にしっかり焼き付けたほうがいい、ちょっと遠いところのワイナリーでワインを1本買って帰ったほうが、はるかに有意義な時間です。

この小さなアパートのなかで、ひとり画面に向かってまったく会話のスピードについていけてないシャドーイングをしている場合じゃない。
使用頻度が明らかに少ない単語を暗記してるなんて、今の私にははっきり言って意味ないです。

もっと外に出て、まだ知らないメルボルンを、ビクトリア州を、オーストラリアというでっかい大陸を制覇したほうがよっぽどいい。

「あー、今気づいてよかった」
心からそう思います。

もし気づくのが、帰国の2ヶ月前だったら、とんでもなく悔やんでいたことでしょう。

よし、外に出よう。
もっと、冒険しよう。
もう、英語の勉強はやめだ、やめだ。

とすっきりしたら、隣で娘が英語字幕で映画を観ていました。
くーっ、悔しい……。
でも、いいんです。彼女は留学でここに来たんですから。

娘と語学力を比べる必要なんて、ありません。
むしろ、英語ができるようになった娘を褒めてやりますよ。

私は私。
これからも、そう胸を張って大冒険をしてやります。


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