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【CSRD開示を観察する会】ROCKWOOL(Denmark)

ROCKWOOL Group(ロックウール・グループ)は、1937年にデンマークで創業されたストーンウール(岩綿)製品の世界的リーディングカンパニーです。現在では約12,500人の従業員を抱え、世界120カ国以上で製品を販売。製造拠点も23カ国にわたり、グローバルな存在感を放っています​。

同社の中核技術であるストーンウールは、断熱性・耐火性・吸音性・耐久性・リサイクル性に優れた天然素材。住宅や商業施設のエネルギー効率化、火災安全対策、音環境の改善など、現代社会が抱える課題に対して幅広いソリューションを提供しています。

「Annual Report 2024」の「The ROCKWOOL purpose and strategy」には、事業を通じた社会的価値の創出、ひいてはエネルギー安全保障といった地政学リスクの低減への寄与についても具体的に書かれています。

適切な断熱施工だけでも、建物の暖房需要を最大70%削減することが可能です。これに加えて、ヒートポンプや再生可能エネルギーといった他の技術を組み合わせた「ディープ・リノベーション」を行えば、さらなるエネルギー削減効果が期待されます。欧州をはじめとする多くの地域において、建築物のエネルギー消費を削減することは、輸入燃料への依存度を下げ、エネルギー自立とエネルギー安全保障を高める上で極めて重要なステップとなっています。

ROCKWOOL:「Annual Report 2024

ROCKWOOLの主な事業領域は以下の5ブランド:

  • ROCKWOOL(建物用断熱材)

  • Rockfon(音響ソリューション)

  • Rockpanel(外装材)

  • Grodan(園芸用栽培基材)

  • Lapinus(産業用繊維材料)

環境意識の高まりとともに、ROCKWOOLはサステナビリティ分野でも積極的にリーダーシップを発揮。例えば、スイス工場での再生可能電力を使った製造への切替や、21カ国で展開するリサイクルサービス「Rockcycle®」など、循環型経済の推進や温室効果ガス削減(Scope 1~3)に本格的に取り組んでいます​。

パーパス:
Release the natural power of stone to enrich modern living.
石の持つ自然の力を活かし、現代の暮らしを豊かにする

環境に配慮しながら高性能な建築素材を提供するその姿勢は、欧州を中心にグリーンビルディングの加速とも親和性が高く、今後のさらなる成長が期待されています。

①まとめ

ROCKWOOL のの開示は DMAの取り組みステップが細かく開示されており、サステナビリティの統合度が高いと感じました。

また、電化(Electrification)を軸とした脱炭素戦略や、循環型経済へのコミットメントなど、環境面での優れた取り組みが印象的でした。

②DMA

DMAのプロセス

ROCKWOOL は 2023年6~9月の3ヵ月間でDMAを実施し、2024年にアップデートしました。CSRD の要件に準拠し、インパクトマテリアリティ(Impact Materiality)財務マテリアリティ(Financial Materiality) の両方の視点から50以上のサステナビリティトピックを評価しています​。

ROCKWOOL Sustainability Report 2023

2023年のDMAは“初期モデル”として、以下の5つのステージで構成されています。

  1. トピックの洗い出し(Mapping)

  2. 社内外ステークホルダーとのワークショップ、アンケート、インタビュー等を通じた評価およびスコアリング(Assessment & Scoring)

  3. 評価結果の統合および重要度に基づく優先順位付け(Consolidation & Prioritisation)

  4. グループ経営陣による妥当性確認(Validation)

  5. 経営陣レベルでの最終レビュー(Review)


ROCKWOOL Group Annual Report 2024
ROCKWOOL Group Annual Report 2024

2024年では2ページに渡り、以下のプロセスでDMAを深化させています。

1. スコアリングの深化

  • インパクトおよび財務マテリアリティにおけるリスクと機会の評価項目に、「時間軸(短・中・長期)」と「顕在 / 潜在」の軸が追加

    • 2023年のスコアリング

      • インパクトマテリアリティ

        • 実際に発生している負の影響については:規模(scale)・範囲(scope)・不可逆性(irremediable character)

        • 正の影響については、規模・範囲に加え、発生可能性(likelihood) も考慮

      • 財務マテリアリティ

        • リスクおよび機会の発生可能性と、それに伴う財務的影響の大きさを評価

2.ステークホルダーエンゲージメントの強化

  • 2023年に「社内外のステークホルダー」や「バリューチェーン全体」と表現されていた言葉の解像度が高まる

    • 社内のステークホルダー = 社内の従業員満足度調査の他に、「HR、ESG、事業開発、法務など部門横断」のワークショップを実施

    • 社外のステークホルダー / バリューチェーン全体

      • 上流バリューチェーン:主にTier 1(直接取引先・ビジネスパートナー)を対象としつつ、Tier 2やTier 3(原材料採掘、高リスク地域における人権・環境リスクなど)も、必要に応じて考慮

      • 下流バリューチェーンの評価では、Tier 1(法人顧客)、Tier 2(製品のエンドユーザー)、Tier 3(建物の所有者など)を対象

      • 上記以外に、環境・社会課題の専門家

3. プロセスの文書化と監査対応

  • DMAプロセスの詳細を報告書内に明記

    • 適用範囲(Scope)、マテリアリティ評価のアプローチ、ステークホルダー・エンゲージメント、スコアリング(Scoring)、マテリアリティの閾値(Threshold)、経営陣および取締役会によるレビュープロセスおよびステップ

  • 独立監査人によるLimited Assuranceの対象にも含まれる構成に進化

    • サステナビリティ報告書に関する独立監査人の限定的保証報告書:「適切な閾値を選択し適用することで、持続可能性に関する事項に関連する特定された影響、リスク、機会のマテリアリティ評価を実施した」

③ E : 脱炭素戦略

ROCKWOOL Group Annual Report 2024

3つのレバー(軸)

ROCKWOOLの脱炭素戦略は、以下の3つの主要な軸を中心に構成

  1. エネルギー効率の向上
     ストーンウール製造工場および管理部門の施設改善を通じて、エネルギー消費量およびScope 1・2の温室効果ガス(GHG)排出量の削減を目指します。具体的には、生産プロセスの最適化(熱回収の活用)、設備の高度化(太陽光パネル、断熱材、電動フォークリフト、エネルギー効率の高い機械など)、および施設管理の改善

  2. 技術革新
     Scope 1・2・3におけるGHG排出削減を実現する技術的なアプローチです。生産ラインの電化と再生可能エネルギー供給の確保、新工場への電気溶解技術の導入、石炭から天然ガス・バイオガスへの燃料転換、バインダーに関する研究開発および関連インフラの整備など

  3. 循環型経済の推進(サーキュラリティ)
     主にScope 3のGHG排出削減に貢献する取り組みです。重点分野として、製品の耐久性向上、市場からの廃棄物回収プログラムおよびインフラの整備(Rockcycle®やブリケット化プラント等)、廃棄物・汚染の発生防止、高付加価値での資源循環、さらにはバージン原料使用量の削減を目指す設計思想の導入

気候変動に対するアクション・リソース

気候変動の緩和および適応に関する取り組み:4つのテーマ

1. ISO 9001およびISO 14001への準拠

  • ISO規格に準拠している工場では、内部監査に加え、毎年外部による認証審査を実施

  • この認証審査は、環境および労働安全衛生に関するグループ共通の必須最低基準(Group Mandatory Minimum Requirements)を補完

  • 2024年には、全工場のうち76%がISO 9001(品質マネジメントシステム)に、74%がISO 14001(環境マネジメントシステム)に外部認証付きで準拠

2. エネルギー属性証書(EACs)の活用

  • 2024年、欧州における全工場の電力消費に対して、エネルギー属性証書(EACs)を購入

  • また、中国の工場1カ所に対しても、2023年および2024年分のEACsを取得

  • これにより、Scope 2のGHG排出量は2023年比で41%削減

3. 製造ラインの電化

  • 2024年には、スイスの工場においてグリーン電力を活用した電気溶解技術への切替が完了

    • さらに、ルーマニア、オランダ、フランスでも製造ラインの電化を推進しています。

  • ルーマニア:新たな電気式製造ラインを導入予定で、CO₂排出原単位は実績値と比較して40〜50%の削減が期待され、2029年から効果が現れる見込み

  • オランダおよびフランス:既存ラインの電化により、実排出量ベースでCO₂排出量が50%以上削減されると予測され、2027年から効果が反映される予定

4. 研究開発(R&D)

  • スイス工場では、自社開発によるストーンウール用電気溶解炉の設置と稼働が完了しており、この設備はスイスの水力発電由来の再エネ電力を使用

  • 加えて、低排出型バインダーの導入に向けた技術実証も実施

  • 2024年の研究開発投資額は6,700万ユーロに達し、224件の特許取得


Appendix


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