目上の人に「壁打ち相手になってください」と頼むの失礼な行為か?
ニュースを見ていて、興味深い話がありました。
ある大学の准教授が、学生あるいは後輩(対象は明かされず)から壁打ち相手になってほしいと頼まれたのに対し、失礼だと指摘し、「1人でやってください」と返したという話です。
その意見に同意する人と同意しない人がいたようです。
1.わたしは壁打ち相手になってほしいと頼まれたら嬉しいと感じる
わたしは仕事柄もあると思いますが、10年前から「壁打ち相手」という言葉を使っていました。シャープにいた時からです。スタートアップ界隈で使われ、コンサルが使うようになり、良い意味で使われる言葉でした。
使い方としては、「壁打ち相手に使ってください」とか「今日は壁打ち目的の会議にしましょうか」とかいう感じです。
今回のニュースで記憶をさかのぼってみると、向こうから壁打ち相手になってほしいと申し込まれるよりは、こちらから提示するか、相手の意図をくみ取り「壁打ち相手だな」と察してこちらから提案することが多かったような気があります。
まだ生煮えの段階で恥ずかしいのですが、ちょっと相談に乗ってほしいかも、というノリのやり取りです。無駄な時間になるかもしれない、何か結論や成果が出る可能性は低いから申し訳ないと思っていそうな遠慮がちな相手に対し、いいですよ壁打ちで、と誘い水をかける感じでしょうか。
うぬぼれていると非難されそうで怖いのですが、壁打ち相手としては適任と自分では思っています。もちろんすべての分野ではありません。投資プロジェクト、資本政策、グループ再編、経営計画、グループ会社ガバナンス、契約の建付け等に関わることです。
壁に向かって打つというより、わたしが相手の球を打ち返しながら、こう来たらどうする?ここはカバーできてる?と微妙な位置に微妙な球を配球する作業ですから、簡単ではないんです。
ただふーん、そうなんだね、がんばってとか、人生の悩み相談を受けるのとは違います。それはそれで別の難しさがあり、わたしは苦手なんですが。。
2.すべての相手に対しうれしいと感じるわけではない
わたしにとって壁打ち相手になるというのは名誉なことだし、選んでもらったという嬉しさがある一方、記事のような不快な気分になるようなことが果たしてあるのか考えてみました。
すると、一つだけ思い浮かびました。
仕事ができる人、優秀な人から頼まれるとうれしいが、適当なやつからカッコつけた感じで頼まれるとイラっとくるかもしれない
これまでそういう経験はないですが、ニュースに出ていた准教授のケースは、バカ学生から言われたから腹が立ったのかもと思いました。
(1)壁打ちの技量不足、準備不足がみえる
お前壁打ちって言うけど、そもそも球打てるの?俺が返す球を受けられるの?ラリーが成立するの?10年早いよ。という気分になる可能性はあります。
壁打ちという言葉を使わなかったとしても、相談がありますとか、報告がありますと来て、あまりに準備不足だとイラっとしますよね。パワハラになっちゃうからイラっとしてはいけないんですが、もう少し自分でちゃんと考えたり調べたりしようね、わたしはChat GPTじゃないよ!という気分になる人はたくさんいるんじゃないでしょうか。
わたしの年代では「ググレカス」という罵声を浴びせられていたタイプですね。
(2)中身が空っぽなのにカッコだけつけているのが見える
空疎なバズワードや外来語をむやみやたらと使いながら、実体がない人というのは世の中にはたくさんいます。
どこかで聞いてきた「壁打ち」という言葉をコンサルっぽい響きでかっこいいなと思い使っている学生がいたのかもしれません。
お前、壁打ちってどうやるか分かっている?やったことある?あるいは誰かの壁打ち相手になった経験ある?もしあるならどういうシチュエーションでどういう内容だった?とツッコミどころ満載の人物だったらどうでしょう。わたしもイラっと来たかもしれません。
パワハラにならないように気を付けないといけませんが。
このニュースで指摘されているのは、AIとの対話を壁打ちと称するようになり、すっかり自信過剰になった学生の例です。
AIはやさしいし忖度しますから、ダメな人ほど自信過剰になってしまうんですよ。メタ認知ができないですから。
わたしはAIに失礼のない程度に、そういう意味のない反応はわたしは嫌いだからしないよう依頼しています。
(3)相手に不穏な悪意や敵意を感じるとき
壁打ちという名を隠れ蓑にした、議論のふっかけの可能性があるかもしれません。
ビジネスの世界では、そういう無駄な行為はないのですが、象牙の塔と言われる大学の中ではあるかもしれません。
このケースでいくと、バカ学生ではなく、お互いに嫌いあっている准教授同士の関係で想定されます。
3.結論
壁打ち相手になってくださいというのは、相手やシチュエーションによって不快に感じることがある。
ただし、目上の人に対して失礼というような言葉ではない。
なぜなら、壁打ち相手になってもらうのは、自分より知見のある人だから。壁打ちという構造上、目上の人が相手になることが多いはず。
もしかしたら、わたしが日本を離れたこの3年の間に、壁打ちという言葉が、何か高度なことをやっている感を出すバズワードとして広まり始めたのかもしれません。
そのせいで、壁打ちの意味を理解していない、壁打ちの技量がない人たちが、使い始めているのでしょう。裾野が広がると自然にみられる現象です。
あるいは、壁打ちという言葉の意味が、AIなどの影響により、わたしが使っていた時代から変容した可能性もあります。
以上
