📕「目標の第1話」 目標は毎日「部屋に貼って」見るものなのか?——船乗りは港ではなく風を見る
私
「ソクラ、成功するには目標を紙に書いて、部屋に貼ったほうがいいと言われます。」
「毎日見て、毎日口に出さないと達成できない、と。」
ソクラ
「では、お前はどう思う。」
私
「私は苦手です。」
「部屋に貼ると、なんだか圧力を感じます。」
「『まだ達成していない』と責められているような気がするのです。」
ソクラは少し笑って言った。
ソクラ
「それは、お前が怠け者だからではない。」
「目標との付き合い方が違うだけだ。」
目標が力になる人
私
「目標にも向き不向きがあるのですか。」
ソクラ
「ある。」
「例えば、途中で道に迷いやすい者。」
「誘惑に流されやすい者。」
「何のために頑張っているのか忘れてしまう者。」
「そういう者には、目標を見える場所に置くことは良い道しるべになる。」
ダイエットなら体重。
受験なら志望校。
営業なら売上目標。
未来を思い出すための看板になるのだ。
目標が重荷になる人
私
「では、私のような人は?」
ソクラ
「毎日コツコツ続けられる者。」
「作業そのものが好きな者。」
「職人、研究者、画家、作曲家、作家……。」
「こういう者は、目標を見続けるより、今日の仕事に集中したほうが力を発揮する。」
一枚描く。一曲作る。一本書く。
その積み重ねが、いつの間にか遠くまで運んでくれる。

船乗りは何を見ているのか
私
「では、目標は見なくてもいいのでしょうか。」
ソクラは静かに首を振った。
ソクラ
「船乗りは港を目指している。」
「しかし、航海中ずっと港を見ていたら、岩にぶつかる。」
私
「では、何を見るのですか。」
ソクラ
「風向きだ。」
「潮の流れだ。」
「そして今、自分が握っている舵だ。」
目標とは何なのか
私
その言葉を聞いて、私は少し考えた。
目標は毎日自分を追い立てるためにあるのではない。
迷ったとき、
「こちらへ進めばいい。」
と教えてくれる灯台なのだ。
船を進めるのは港ではない。
今日吹く風であり、
今日握る舵であり、
今日の一漕ぎなのである。
ソクラは最後にこう言った。
ソクラ
「目標とは、自分を責めるための監督ではない。」
「帰る場所を教えてくれる港なのだ。」
「船を前へ進めるのは、港を眺めることではない。」
「今日の風を読み、今日も舵を握ることだ。」
私
その日、私はようやく分かった。
目標に追われる人生より、
今日の一歩を積み重ねる人生のほうが、
案外、遠くまで行けるのかもしれない。
【有料マガジン】3話完結
第1話 無料
第2話『目標で動く人、意味で動く人——あなたの人生を動かしているのはどちらですか?』
第3話『習慣は才能に勝てるのか?——人はなぜ続けられないのか』
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