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老人ホームの現状

   認知症の介護基準を、市が、上げたことにより、認知機能の低下が、かなり重篤な利用者が増え、施設内は、毎日のように、怒声が飛び交っていた。

   1日中、
「おーい、おーい」
と叫びながら、徘徊し続ける男性。

   「助けてー。誰かー」
と、廊下で転んでいる女性。

   食事が終わり、1階のホールから居室に戻ると、知らない男性が、女性の部屋のベッドに寝ていると、怒りながらヘルパーさんを呼ぶ女性。

   そんな状況だから、私の居室にも、夜な夜な、男性が入ってきたり、ナースコールできずに、転んだままの女性の為に、私が、自室からコールして、ヘルパーさんに知らせたり、向かいの盲目の女性が、自室のお手洗と、私の居室のドアを間違えて、私の部屋のドアを開け、用を足そうとしたり、日々、トラブルが増えた。

   ヘルパーさんとのトラブルも、発生した。

   私の買い物支援に於いて、私が指定した物がないと、買ってきて頂けず、施設が提供する食事を、食べられない私は、自室で、電子レンジと、調理バサミで自炊していたが、1週間分の食材が揃わず、食事に支障が出始めた。

   逆に、ヘルパーさんが、勝手な判断で、似た物を購入してきて、私には合わない食材-アレルギー食材や、消化吸収できない食材を、渡された。

  「これは食べられないので……」
   「えっ?これ、おいしいよ」
と、トンチンカンな返答をされる始末。

   「このまま、置いて行かれても……」
と、言ったところで、交換にも、返品にも、行って頂けない。

   仕方がないから、
   「私は食べられないので、良かったら……」
と、言うや否や、
   「ありがとう」
と、言ってヘルパーさんは持ち去った。

   普通の感覚なら、
「お代を払います」
くらいは、言っても良いかと、思った。

   そんなことがあり、ヘルパーさん達に、私の金銭で、好き勝手に買い物をされては、困ると思い、買い物支援は、お願いできなくなった。

   通院の度に、通所介助をお願いしている、外注のヘルパーさんに、スーパーに寄って頂き、大量に買い物をして帰ることを、余儀なくされた。

   しかし、それを見た施設側は、
   「自分でできるんだから、もう、こちらは、動かなくていいですよね」
と、言った。

   契約事項と、どんどん変わり行く結末になった。

   体調不良の為、決まった時間の、お風呂介助が難しくなり、以前なら、振り替えて頂けたのだが、それが無理になって、2ヶ月、シャワーを浴びることが、できない状態を経験した。

   仕方がないので、電子レンジで、蒸しタオルを作り、清拭で過ごす他なかった。

   しかし、免疫抑制剤を、使用している身体だから、清潔を心掛けたい。

   極めつけは、私の部屋に入る際に、部屋の入口に消毒薬を、下げているにも関わらず、ヘルパーさん達が、
   「面倒くさい」
と、消毒せずに入室された。

   コロナ禍だから、危険極まりなかった。

   看護師さん達が、私への接触に対し、気をつけるように忠告して下さったが、改善はなく、時は過ぎた。


   更なるストレスは、部屋に勝手に入る、他の利用者さんが、増えたことで、私の部屋には、外から施錠をされたことだ。いわば、軟禁状態である。

   認知症利用者さん達は、話しを理解できないから、施錠をすれば、虐待になるらしく、話しの通じる私が、折れなければならなかった。

   また、慢性偽性腸閉塞症の為に、下痢と便秘を繰り返すのだが、下痢だと、1日に20回は、お手洗を使用する。

   隣室の利用者さんが変わると、お手洗に入る度に、壁をドンドン叩かれ、
   「うるさい」
と、叱られた。

   老人ホームに、入所した当初と、内情は一変し、居心地の悪い居住空間と化していた。
to be continue.