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食事の記憶 15 漁港で仕入れてシャコの塩茹でをおやつに

    シャコは、4月から初夏まで雌は子を持ち非常に美味い季節である。

    このシャコという海老、我が家ではおやつになっていた。

    比較的近い泉州の漁港へ太刀魚を買い出しに行ったら、必ず一緒にシャコを買い求めた。

    ダンボールの端切れに、1ザル100円とマジックで書かれた文字を思い出す。

    青いザルに山盛りになっている、サーモンピンクのシャコを3(さん)ザル。

    ビニール袋には、ムカデのように足を動かすシャコが大量だった。

    帰りの車中では、活きがいいから、腰を曲げ伸ばししてシャリシャリと、ビニール袋はずっと音を立てていた。

    このシャコの大群を、自宅に着いたら、母は早速大鍋に入れて、塩茹でにした。

    更に色鮮やかな朱色にお化粧し、動かなくなったシャコ達は、大皿2枚にわけられる。

    朝に買い出しへ赴くから、このシャコは昼食からの登場である。

    しかし、シャコはおかずになることなく、昼食後からのおやつとして我々は食べた。

    私の食べ方は、先ず大きな爪を外して置いておく。

    次に両脇の足を外して、腹側(はらがわ)の殻を外す。

    頭をとり、背側(せがわ)の殻を剥く。

    胴体の身を食べる。

    頭の身を食べる。

   最後に大きな爪を親指と人差し指でギュッと押し、身を出して、チュッと吸い、食べる。

    これを永遠に続けるのである。

    塩でより甘く感じるシャコの身は、オレンジ色の子を持っていたら、尚、甘い。

    こうして日曜のおやつタイムは夕暮れまでに及ぶのであった。

    昨年、近所のスーパーで久々に生(なま)のシャコが売られているのを見た。

    しかし、シャコの色はサーモンピンクではなく、象牙色に近かった。

    活きがいいシャコしか知らない私は、とんでもない生き物を目撃した気持ちになった。

    だが、スーパーでは、
    「あら、シャコやん、珍しいわあ」
と、買い求める奥方様が。

    私は目を背け、見なかったことにした。

     とても買う気にはなれない商品だった。

    なのに価格は……。 

    あの元気なシャコ達は一体何処へ……。

    他にも姿を見かける機会を減らす魚介類。

    温暖化の海、プランクトンが減った海、漁師さん達が減り続ける海。

    漁港に将来はあるのだろうか……。

    この海に住める魚介類は、居続けてくれるのだろうか……。

    昭和の漁港が懐かしい。

    昭和の活気が、いと恋しい。