食事の記憶 14 漁港で買うからたっぷり太刀魚の唐揚げ
太刀魚は、泉州の漁港で初夏から大量にあがり、行商さんだと1尾(び)100から200円したので、より安く手に入る漁港へ、買い出しに行っていた。
当時、こちらでは、巻き網ではなく、船を出して釣っているという話を聞いた。
すると釣りあげる際に傷が入り、漁港で卸せないB級として扱われたり、大きすぎたり小さいといった規格外の魚も混ざっていて、1度に5から10尾(び)、だいたい500円前後で売ってもらえた。
だから、太刀魚尽くしを堪能できたのである。
因みに、太刀魚の仕入れだけでは、車を運転して出掛ける手間とガソリン代がかかるから、初夏なら一緒にシャコも買い求めた。
実家にあった車は、父が勤めていた会社の営業車だったが、家族で出掛ける時のガソリン代はさすがに会社へおねだりするワケにはいかず、近所のガソリンスタンドで入れていたのを、付け足ししておく。
そしてシャコについては明日に投稿するので、ご拝読をお願い致したい。
太刀魚だが、新鮮なのが何尾(び)も手に入れば、母は腕を振るったのだ。
それらを、造り、塩焼き、唐揚げにしてくれた。
中でも唐揚げが絶品だった。
長い太刀魚を4、5切れにぶつ切りし、片栗粉にまぶして揚げるのだ。
揚げたては勿論だが、冷めても美味い。
太刀魚の身は厚く、甘味は逃げない。
そして、この魚は骨が取り除き易いから、腹ぺこでも、背側(せがわ)と腹側(はらがわ)の縁(へり)に箸を入れて縁側の小骨(こぼね)を抜けば、あとは真ん中の大きな骨を取るだけで済み、がぶりとかぶりつけた。
じれったくないから、子供にはもってこいだ。
片栗粉のサクサクした衣に、太刀魚のしっとり脂が素晴らしいハーモニーを奏でる。
造りや塩焼きも勿論めちゃくちゃ美味い。
美味いが、この唐揚げにして食べる太刀魚が1番好きだったと、再度、宣言しておく。
弟も私もパクパクと3、4切れは食べるから、唐揚げだけで、3尾は必要になる。
なので、太刀魚だけは、行商さんでなく、漁港に買い出しに訪れていたのだ。
今はそんな食べ方はできないが、スーパーでパックに入った太刀魚を買い、塩焼きにすると、つい当時の光景を思い出す。
岸和田や泉佐野漁港では、漁師さん達が減っているが、今もこうした魚が手に入るのだろうか?
温暖化の影響で海水温が上がり、太刀魚の漁獲高はどうなっているのだろうか?
私が経験してきた美味しい食卓を、今のお子様達にも味わって欲しいと願っている、大阪は南河内のおばちゃんなのである。
因みに補足だが、私が生まれた昭和40年代、泉州は海苔の養殖が盛んで、上質な厚みある海苔が手に入った。
関西国際空港ができてから、めっきり減った泉州のり。
これも大阪っ子には口にして欲しいと思っている。
