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街角のモーニングサービス|名古屋の文化

 「名古屋のモーニング文化」について知ったのは、学生時代に名古屋方面にゆかりある先輩が話題にしたからだ。と言っても、当時は南国・土佐の地に居た私には滅多に赴く機会が無い。「名古屋はモーニングが有名」と頭の片隅にメモ書きしただけで、そのまま時は流れていった。

 それまでの自分のライフスタイルからして朝食は家で食べるものだったし、学生にも優しい価格で手に入る食材が豊富で日々自炊に勤しんでいたこともあって、自分の生活とはかけ離れた縁のないものだと思っていた。

今ではコメダ珈琲も大好き

 コーヒーを頼むともれなくトーストやゆで卵が付いてくる。
 そんな名古屋流のモーニングサービスは、チェーン店の展開により各地でも楽しめるようになった。

 だが現地へ赴けば、名古屋モーニングの顔とも言えるつぶあんとホイップクリームを乗せた通称『小倉トースト』のみならず、変わり種としておにぎり、サンドイッチ、カレーなどもあるらしい。

 「モーニングサービス」と言いながらも一日中オマケをつけたりする店もあるから面白い。朝食という位置付けを軽々と飛び越える「モーニングサービス=お得なオマケ=店主の心意気」という構図には惹かれてしまう。

 奈良から近からず遠からずといった名古屋のとあるお店の「たまごサンド」モーニングが気になっているけれど、未だタイミングを掴めずにいる。度々通りがかってはいるのだけど、ちょうど朝食時ってのが難しかったりする。

ある朝のカロリーMAXモーニングサービス

 そんな私でさえもここだけは行ってみた。それは2019年の冬だった。

シャンティルージュスペシャルモーニング|コーヒーハウス かこ 花車本店

 ポーカー界最強の役みたいなメニューの名前もまた目を惹く。
 マスターこだわりの小倉あんとホイップの定番『小倉トースト』に、さらにフルーツコンフィチュールがたっぷり盛られた高カロリーモーニングだ。

朝から強くなれそう

カウンターにフルーツコンフィチュールの瓶が並ぶ

名古屋モーニングの起源

 名古屋モーニングの文化がいかにして生まれ、土地に根付いたかについて、今更私が語る必要は一ミリも無いと思う。何しろ名古屋在住のフリーライター、大竹敏之氏がその見解を詳しく解説されているのだから。

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 BRUTAS(No.895)の名古屋特集でも、モーニングサービスの話題を取り上げないはずがない。以下では要所のみを簡単に参照させていただく。

(詳しく知りたい方は書籍を参照ください)

2つの発祥地

 まず、昭和30年代に繊維業が盛んだった一宮市(愛知県北西部)がモーニング発祥地である、と考えるのが通説だそうだ。

 機織り機の騒音で商談がままならず、こぞって喫茶店を応接間として利用し始めたところ、常連客のコーヒーにピーナッツとゆで卵を添えて出す店が現れたのだと言う。
 それが朝食代わりのサービスとして発展した。

 そして繊維業者が商品を卸す先、名古屋の長者町問屋街(日本三大繊維問屋街の一つ)へと伝播した。特に喫茶店数の多かった名古屋で、他店との差別化を図るにもってこいだとして「モーニングサービス」としてさらに発展したと考えられている。

 一方で、豊橋市(愛知県東部)でもほぼ同時期に、夜勤明けの水商売の従業員に朝食が振る舞われ始めたそうだ。ただし地理的な観点から、「名古屋モーニング」のルーツは距離的にも近い一宮に由来するものだろうと解釈されている。 

外から姿が見えない、隠れ家的な空間が良い

ライフスタイルに根ざした発想(文化的背景)

 とはいえ「喫茶店」なる場所に足を向かわせた発想はどこから来たのだろう。その視点で大竹敏之氏が唱えるのはモーニングの「茶の湯起源説」だ。

 自然環境に恵まれ大きな飢饉がほとんど無かった濃尾平野では、庶民の暮らしぶりも比較的ゆとりがあった。武家や商人だけでなく、町人も番茶や煎茶に親しんでいたと言う。
 さらに戦前まで農家には野点道具があり、農作業の合間に一服する習慣が浸透していたとも伝えられるそうだ。

 戦後、産業構造が変化しても、民衆の生活には「一服」の精神が根付いていた。それに呼応して「喫茶店王国」と呼ばれるまでになった。
 必要に応じて生まれ、同時に喫茶店側の「おもてなし」精神との相乗効果によって魅力ある文化として普及し、今に至るという訳だ。

カップの持ち手部分にもサンタがいる

 ちょうどクリスマスシーズンだったせいか、季節のカップで珈琲を出してくださった。

 別にどんなカップで出したって、中身も売り上げも変わらない。
 けれどそういったこととは無関係の次元で交わされるもの、それを心意気なのだと思っている。

ある年の名古屋駅前のメリーゴーランド|2019

後日談

例の先輩「モーニングと言えば岐阜もだよ。岐阜も」
   私「あ、ハイ」

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