HDD/SSDの故障予兆(SMART)を見逃していまう『ハードウェアの話③』
「なんか最近サーバ遅いな……」
「たまに I/O エラー出るけど、まあ大丈夫だろう」
──そう思って放置した結果、ある日突然ディスクが死ぬ。
実はその数週間前から SMART(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology) に
“はっきりとした故障予兆” が出ていた、という現場ではよくある話。
SMARTは“ディスクの健康診断”。
見逃した瞬間から、データ消失へのカウントダウンが始まる。
ひと言まとめ
SMART警告=「もうすぐ壊れる」ではなく「ほぼ壊れている」。
予兆が出たら即交換。迷ったら交換。それが正解。
症状(あるある)
実行中のプログラムが“急に固まる”
dmesg に I/O エラー(read error, I/O error)が出始める
FSチェック(fsck)が異常に長い
OS起動が遅くなる
ログに “SMART failure predicted” の警告
RAIDのリビルドが異常に遅い(SSDの書込み故障が原因)
原因と仕組み(なぜ起きる?)
SMART値に異常(Reallocated Sector / Pending Sector)が増加
SSDでは 書込み寿命(TBW)超過 に近づいている
バッドセクタが増え、読み書きにリトライが多発
ケーブル不良や振動も故障加速要因
「まだ動いているから大丈夫」という判断ミス
BMCアラートメールが監視対象外で誰も気づかない
図:SMART異常=バッドセクタが増えて読み書き不能領域が拡大
[HDD/SSD]
├── ■■■□□□□□□ (正常)
├── ■■■■□□■□□ (警告:Reallocated増加)
└── ■■■■■■■■□ (危険:読み書き不能へ)
切り分け(最短コース)
SMART情報を確認
smartctl -a /dev/sda
dmesg のエラー確認
dmesg | grep -i "error"
RAIDコントローラのログ
→ “Predictive Failure” が出ていないかBMCログ(iLO/DRAC)でディスク警告確認
同型番ディスクで過去にも多発していないか調査
今すぐ効く対処(テンプレ)
SMART警告が 1つでも出たら即ディスク交換
RAID構成なら 該当ドライブを速やかにリビルドへ
バックアップを最新化しておく
ケーブル・スロット変更で改善しないか一時切り分け
SSDの場合:TBW寿命超過なら即交換(延命不可能)
恒久対策/再発防止チェックリスト
BMC の“ディスク警告”をメール+Slackへ通知
smartd(SMART監視デーモン)を有効化
RAIDコントローラの予兆検知を監視ツールに取り込み
HDD/SSD の使用時間(Power_On_Hours)を月次確認
SSDは必ず TBW寿命 を把握して寿命管理
同ロットのディスクは同時故障のリスクがある
故障予兆が出たら「迷わず交換」
そもそもバックアップを常に取得
落とし穴(やりがちミス)
SMART異常を「警告だからまだ大丈夫」と軽視
dmesg の I/O エラーをアプリ不具合と誤認
RAID1/5 だから“片方動いてるしOK”と放置
SSDの寿命(TBW)を確認せず数年使い続ける
BMC通知がスパムに分類されて誰も気づかない
変更後の確認ポイント
SMART値が安定(エラー値が増加していない)
RAIDが Optimal で正常
dmesg に I/O エラーが再発していない
BMC/監視のアラート設定が正常に送信
バックアップが継続取得されている
まとめ(行動指針)
SMARTは“壊れる前に教えてくれる数少ない仕組み”。
問題は、教えてくれても気づかない運用が多すぎること。
SMART警告=即交換。
迷ったら交換。
交換すれば守れるデータがある。
これを徹底するだけで、ディスク障害起因のトラブルはほぼ防げる。
