電源ユニットの片系故障を放置『ハードウェアの話⑤』
サーバが“普通に動いている”からといって、
**電源ユニット片系故障(PSU片落ち)**を放置すると危険。
電源が2本刺さっている=冗長化されている、ではない。
片系でも故障すると、その瞬間から サーバはもう一方の片系だけの“無保護”状態 になる。
電源は静かに壊れる。
ファンのように音も出ない。ログにも残らないことがある。
だからこそ、放置されやすく、事故につながりやすい。
ひと言まとめ
電源片系故障=冗長性ゼロ。
小さな障害ではなく“もう一つの片系の停電=即死”の状態。
症状(あるある)
BMC(iLO/DRAC)が「PSU Failed」「PSU Not Redundant」と警告
PSUランプが橙色点灯のまま数週間放置
ラック電源A/Bどちらかだけ生きている
大きな負荷がかかると突然サーバが落ちる
再起動後は正常に見えるが、PSU冗長性は失われたまま
片系故障を放置中にさらに停電 → サーバ全停止・起動不能
原因と仕組み(なぜ起きる?)
PSUが 経年劣化 で自然故障
電源ケーブルの抜けやすい環境(重いケーブルが引っ張っている)
PDU側のブレーカー落ちで片系だけ死んでいる
BMCの通知設定がオフ → 運用者が故障に気づかない
「電源2本刺さっていれば安心」という誤解
PSU交換作業が面倒で後回しにされがち
図:PSU片系故障=見た目は2本でも実質1本運用
[PSU1]──OK(給電中)
[PSU2]──FAIL(無給電)
→ 実質:単一電源運用
→ 停電・電源断でサーバ即死
切り分け(最短コース)
BMCログ確認
iLO/DRAC の「Power Supply」「Redundancy Lost」
PSUランプ確認
緑(正常)/橙(故障)/消灯(未給電)
PDU電源確認
A/B どちらから給電されているか
ケーブル状態確認
ケーブル抜け・たるみ・ロック未使用
負荷時の挙動確認
バックアップ時に再起動しやすい
今すぐ効く対処(テンプレ)
片系PSUの 即交換(ホットスワップ対応が一般的)
ケーブル抜けの場合、ケーブルロックを使用して固定
PDU側のブレーカー確認、電源復旧
PSU交換後、BMCエラークリアを必ず実施
一時的に負荷の高い処理を抑制(再起動防止)
恒久対策/再発防止チェックリスト
PSUは A/B系統で別PDU から給電
ケーブルロックを標準装備で運用
BMCアラート(電源系)をメール+Slack通知へ
月次で PSU 状態を点検(BIOS/BMC)
PSU交換履歴を台帳管理
ラック電源を“冗長前提”で設計
定期的に PSU ファームを更新(必要な場合)
PSUも消耗品として 3〜5年更新サイクル を意識
落とし穴(やりがちミス)
PSUが1つ壊れても“まだ動くからOK”と誤解
ケーブル抜けを故障と勘違いして交換しない
A系統とB系統を同じPDUに挿す(本末転倒)
故障を検知しても「次のメンテでやる」と放置
PSU交換後にBMCの警告表示だけ残って混乱
変更後の確認ポイント
BMCで “Redundant” に戻っている
PSU1/PSU2 ともにステータス Green
PDU A/B から両方給電されている
サーバ再起動がなく安定稼働
交換履歴が記録され、今後の管理が明確
まとめ(行動指針)
電源は“見えない”からこそ軽視されがち。
しかし PSU片系故障は、
サーバが“無保護状態”になる重大インシデントの一歩手前。
片系故障を見つけたら、
迷わず交換・迷わず復旧。
これだけで、電源起因の突然死は確実に回避できる。
