ひとりぼっちのヒヨドリ その1
10年ほど前のこと
晩秋の或る日
夫とふたりで隣の市にある親戚のリンゴ園を訪れた。
夫の叔父が若い頃、
公務員だった父親の猛反対を押し切って始めたというリンゴ園には、
フジ、秋映え、つがる、シナノスイート、ジョナゴールドなど、
何種類ものリンゴの列が整然と並んでいた。
信州一のリンゴを作るんだと、
リンゴ栽培に希望と誇りをもって取り組んでいる
どことなく草刈正雄似の
若者のように澄んだ瞳の「叔父さん」が私は大好きで、
お会いする度に胸がときめいた。
私だけではない。
夫の妹も、従妹も同様に言う。
子供達と友人に送るのと、自家用とでふじリンゴを4箱買ったら、
叔父さんが
「これも上げるよ」と、車にドンともうひとつ大きな箱。
少々形がゆがんでいたりヒヨドリに突つかれて小さな傷がついてたり、
「商品価値は無いけど味は遜色なし」という「省きリンゴ」を
どっさり頂いてしまった。
\(^∀^)/
叔父さんが丹精して作ったりんごは、
とーっても甘くてシャキシャキしてて
L級だって何個も食べられそうな気がするけど、
意外と一度に1個は食べきれない。
毎日夫と2人で半分こして食べたけど、
冬になってミカンも買ったりしてだんだんりんご消費は減り、
3月には、まだいっぱいあるのにすっかりボケてしまった。
そこで、
”小鳥のエサに‴ と くし形に切って
まだ若芽の出ないユスラウメの枝のあちこちに挿して、
どんな小鳥が来てくれるかなあと
庭に面した部屋で仕事しながら楽しみに待っていた。
まもなく 「ピーッ、 ピーッ」と大きく澄んだ声
ヒヨドリだ ‼

りんごのそばに止まって遠くを見て鳴いている。
ボサボサ頭がなんとも可愛い。

ナデテみたーい (*^_^*)
「仲間を呼んでいるのかな?」と見ていると
間もなくもう一羽、サーッと舞い降りた。
2羽であたりを警戒してキョロキョロしながら
りんごをついばむ。
私 「きっとあれ 夫婦なんでしょう?」
夫 「そうだろな」
少し食べては飛び去り、また2羽でやって来てついばみ、
枝からはずれて落っこちれば サ-ッと舞い降りて探し、
夕方までに皮の部分を残して1個分ほぼ食べてしまった。
そういえば !!
このりんごを買った時、
りんご園のおじさんが こぼしていたっけ。
「採れ時期になると
ヒヨドリに突つかれてキズになっちゃってなあ・・・・
あいつらはアレコレ突き散らすから困るんだ」
・・・ なんだか おじさんに悪いことしてる気分
・・・・悪いよねえ
「だって、ボケちゃったんだもの」と
心の中でおじさんに言い訳しながら、
私はヒヨドリの可愛さにすっかり心奪われてしまった。
つ ・ づ ・ く
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