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データセクション株保有は天国か地獄か ── 売上は3.9%、利益は45%進捗


※本稿は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。 数字は会社が公表した決算資料などから取っています。投資判断はご自身の責任でお願いします。

決算を3行でまとめ


① 決算は絶好調に見えます。売上が9.5倍、赤字から48億円の黒字。

② でも売上63億円のうち56億円は、「契約をやめる代わりにもらったお金」でした。

③ そして利益は出ているのに、現金はほとんど増えていません。



株価は8月14日で1,877円。5月の高値6,140円から7割近く下がっています。決算後、PTSでストップ高をつけた後すぐ全戻ししています。

1.この会社は、何をしている会社か

昔は、ネットの書き込みを分析する会社でした。いまはAI用のデータセンターの会社です。
やっていることは、大きく2つあります。

やり方A ── 自分でデータセンターを建てる


千葉県の印西に、GPU(AI計算に使う高性能な部品)を5,000個以上並べたデータセンターを建てています。投資額は約509億円。オーストラリアとタイにも計画があります。
これは分かりやすい商売です。自分で設備を買って、貸して、毎月お金をもらう。

やり方B ── 他人のGPUを借りて、又貸しする


こちらが今回の話の中心です。
海外の会社が持っているGPUの「使う権利」だけを買って、それを別の会社に流していました。自分では機械を1台も持っていません。
マンションの又貸しに近いと考えてください。部屋は大家さんのもの。自分は借りて、別の人に少し高く貸して、その差額をもらう。

2.決算で何が起きたのか

数字だけ見ると、すごい
売上63.27億円、前の年の同じ時期の9.5倍。去年3.42億円の赤字だった営業利益が、48.43億円の黒字になりました。

でも、中身が変わっていました
会社が同じ日に出したもう1枚の書類を読むと、こう書いてあります。

「又貸しの契約から手を引きます。代わりに55.78億円を受け取ります。」

つまり売上63.27億円のうち、55.78億円(88%)は、契約をやめる代わりにもらったお金でした。GPUを貸して稼いだお金ではありません。

進み具合が、ちぐはぐです
会社は今年1年で1,621億円を売る計画です。そのうち、まだ3.9%しか進んでいません。
ところが利益のほうは45%まで進んでいます。

理由は簡単で、もらった55.78億円には元手がほとんどかかっていないからです。利益だけが先に立った、という形です。

3.いちばん重い一行 ── 消えた798億円

同じ書類の最後に、こう書かれていました。

「この案件で今年798.64億円の売上を見込ん
でいましたが、55.78億円だけになります。」

今年の計画1,621億円のうち、半分(49.2%)が消えました。
それでも計画は変えていません
会社の説明はこうです。

「他にも大きな案件をいくつか計画しているので、埋められると判断しました。」

つまり今年の計画の約半分は、まだ取っていない仕事で埋める予定になっています。ここが、この決算でいちばん確かめようがない部分です。

ただし、勘違いしてはいけないこと
やめたのは1件だけです。
自分でGPUを持っている印西とオーストラリアの案件は、契約は生きています。遅れているだけです。

「客を失った」のと「工事が遅れている」のは、まったく別の話です。ここを混ぜると、話がおかしくなります。

4.疑われていること、5つ

この会社には、疑いの声がいくつもあります。一つずつ見ると、どれも業界では珍しくない話です。

① 解約金でもうけるなんて、おかしくないか


似た例があります。2022年、NVIDIAがArm(半導体設計の会社)を買おうとして失敗したとき、ソフトバンクは12.5億ドルを受け取って利益にしました。
契約を途中でやめるときにお金が動くのは、ビジネスの世界では普通にあることです。

② なぜ、やめた側がお金をもらえるのか


普通は逆です。やめる側が違約金を払います。
理由は、この会社が「もうけの出る場所」を持っていたからです。
安く借りる契約を結んだあと、貸す値段のほうが上がった。2026年はGPUが足りなくて値段が荒れた年でした。だから「これから1年半ぶんの、もうけの見込み」を計算して、その一部をもらって席を譲ったという形になります。
株の含み益を確定させるのに近いと考えると分かりやすいです。

③ お客の名前を隠すのは怪しくないか


世界的にはむしろ普通です。
アメリカのApplied Digitalという会社も、大型契約を最初「名前は言えないお客」として発表しました(あとで大手だと判明)。IRENという会社も「秘密の大手クラウド」としか書いていません。
理由は、お客のほうが名前を出したがらないからです。どれだけAIに投資しているか、競合に知られたくないのです。

④データセンター稼働遅延は実力不足ではないか


千葉・印西のデータセンターは、当初計画のNVIDIA B200からB300への仕様変更と、液冷設備の施工難航でサーバー搬入が下期にずれました。

前世代のH100までは空冷(大型ファン)が主流でした。ところがBlackwell世代のラックシステムは1ラックあたり100kW〜120kW超に達するため、空気では物理的に熱を逃がしきれず、GPUに直接冷却液を流すダイレクト・リキッド・クーリング(DLC)が必須になりました。冷却分配ユニット、配管の耐圧・漏水防止設計、建物側の受電設備まで再設計が要ります。

MicrosoftもEquinixも米国のネオクラウド各社も、同じ時期に同じ工事で遅れています。空冷から液冷への歴史的な転換点に、たまたま全員が居合わせているのです。

⑤会社の規模に対して、投資が大きすぎないか


会社の値段(時価総額)は約598億円。なのに印西だけで509億円を投じています。1件で会社の値段を使い切る計算です。
これも前例があります。ソフトバンクです。

5.ソフトバンクは、実際どうなったか

2006年、ソフトバンクはボーダフォンの日本法人を約1兆7,500億円で買いました。
自分のお金は約2,000億円だけ。残りの1兆円以上は借金です。買った会社が将来稼ぐお金を当てにした、大勝負でした。

株価は、どうなったか
すぐには戻りませんでした。

2008年9月に約1,500円だった株価は、リーマンショックを経て2009年2月に約700円まで落ちました。数カ月で半分以下です。

流れが変わったのは、iPhoneの独占販売でスマホが普及し、毎月確実にお金が入る形ができてから。買収から数年かかりました。

ここから学べること


大きな借金でインフラを買って成功した例は、実在します。
ただし成功した会社でも、途中で株価は半分以下になりました。

「いつか第二のソフトバンクになる」という期待は、「途中で株価が半分になる時期を耐える」という条件とセットです。

6.いちばん大事な話 ── 利益は出た。でも現金がない


ここが、この記事でいちばん見てほしいところです。
55.78億円をもらったのに、現金は3.45億円しか増えていない
決算書を見ると、現金は4.18億円から7.63億円になっただけです。

つまり、この55.78億円はまだ現金になっていない可能性が高い。「もらう約束」の状態です。
そして、この形は1年続いています

去年1年(2026年3月期)の数字を見ると、もっとはっきりします。
売上336億円、もうけ(粗利)64億円。ところが本業から出ていった現金は、マイナス49億円でした。
じゃあ設備を買うお金はどこから来たのか。株を新しく発行して、131億円を集めていました。

この会社は、事業も設備も、ほぼ全部を「株を出して集めたお金」で回しています。
銀行はほとんど貸していません

よく「銀行が貸しているなら大丈夫だろう」と言われます。この会社には当てはまりません。
銀行からの借金は5.06億円しかありません。

つまり、この会社を審査しているのは銀行ではなく、株主とお客さんです。
だから、引き金は株価です

株を出してお金を集める仕組みは、株価が下がると止まります。

株価が下がる → お金が集まらない → 設備が買えない → 計画が崩れる → さらに株価が下がる。


銀行が引き金を引くのではありません。株価が引き金です。

7.相手の会社が、少し変わっています

この会社の売上は、9割が1社向けです。相手はナウナウジャパンという、2022年にできた会社。
気になる数字が2つあります

1つ目、この会社の資本金は1,000万円です。そこに55.78億円を払うことになっています。558倍です。

2つ目、従業員は10人です。そして年間304億円の売上が、この会社を通っています。1人あたり30億円という計算になります。

実体のある事業会社というより、契約の窓口として機能しているのかもしれません。

そして、社長が途中で代わっています
会社の開示をたどると、2024年から2025年にかけての社長と、2026年8月の社長は、別の人です。持ち株90%の大株主も、同じタイミングで入れ替わっています。

空売りの調査会社がレポートを出してから、今回の解約発表までの約10カ月の間に起きています。
87.90億円の売掛金を抱えている相手の、持ち主が途中で変わったということです。

8.中国との取引が違法だ、という指摘について

アメリカの調査会社が、「この会社は中国のテンセントに違法にGPUを提供している」というレポートを2025年10月8日に公表しました。会社は同じ日に「そんな事実はない」と否定しています。


ただ、法律の話は少しややこしい
3つに分けると分かりやすいです。

① テンセントは「取引禁止」の会社ではありません。アメリカ国防総省のリストには載っていますが、これは国防総省が買い物をするときの制限で、民間の取引を禁じるものではありません。テンセント自身もそう説明しています。

② 日本にある機械にネットでつないで使わせるのは、いまの法律では「輸出」に当たりません。機械が国境を越えていないからです。

③ そこを塞ぐ法律が、いま作られている途中です。アメリカの下院を圧倒的多数で通りましたが、上院でまだ止まっています。

つまり「グレー」というより、「禁止する法律がまだない」状態です。会社が「弁護士に確認した」と言えるのは、これが理由かもしれませんし、取引先が中国企業以外の可能性もあります。

でも、投資家にとっては別の話です
法律で白でも、事業は止まりうるからです。
当局が調べ始めるだけで、NVIDIAがGPUを売ってくれなくなるかもしれない。有罪と決まるのを待つ必要がありません。

そして上院が動けば、いま合法な形が明日から違法になります。時間は中立ではありません。

9.では、株はいくらが妥当か

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