『プロパガンダゲーム』(根本聡一郎)
今日は、Kindle Unlimitedで今読める一冊。心理戦のリアルを追う就活サバイバルのお話。
就活の最終選考で課されるのは、仮想国家の国民を「戦争賛成」に傾けられるかを競う宣伝ゲーム。広告の技術と人間の心理がぶつかる、読後に考えが残るタイプの社会派エンタメ。
あらすじ
国内大手の広告代理店「電央堂」の最終選考に残った大学生8名は、政府チームとレジスタンスチームに分かれ、与えられた情報と手段で世論を動かすシミュレーションに挑む。ターゲット設計、メッセージの打ち分け、デマ対策、SNS運用……現代の広報戦の実際が手順として積み上がる一方、参加者の倫理観や関係性にも綻びが生まれていく。勝つのはどちらか、そして選考の「本当の狙い」は何なのか。先の読めない展開が続き、終盤で主題がくっきり立ち上がる。
こんな人におすすめ
就活×サスペンスや、設定で一気に読ませる社会派が好き
プロパガンダ(政治的な宣伝)の仕組みや“言葉の力”に関心がある
仕掛けは好きだけど、論点は現実に接していてほしい
感想
読みながら何度も“自分ならどのメッセージを採るか”を考えてしまい、物語のゲームに半歩参加している感覚があった。手順の描写が具体的で、ターゲティングやハッシュタグ設計が「現実にありそう」と思える距離感に収まっているのが良い。煽りの強い演出に走らず、数字や反応の変化で状況が動くので、勝負の手触りが冷静に伝わってくる。
いっぽうで、人物の内面が深掘りされる場面は多くないから、人間ドラマの濃厚さを求めると物足りなさを覚えるかもしれない。ただ、この“やり過ぎない”抑制が、終盤の主題回収をすっきり見せている。物語としての高揚感よりも「情報と民主主義をどう守るか」という問いが残り、読み終えてニュースの見え方が少し変わった。
(2025/10時点)Kindle Unlimited 対象。対象は入れ替わります。読む前に作品ページで最新表示をご確認ください。本記事にはアソシエイトを含みます。
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