【3つのお題に空想のひらめきを】消えない砂時計|ショートショート
不思議な夢をみた。
霞の向こうから、やわらかい女の人の声が聞こえた。
「消えない砂時計を使いなさい」
それだけ告げると、世界はぱっと明るくなり、僕は目を覚ました。
手のひらには、夢の中と同じ“固い何か”。
茶色い木でできた小さな砂時計。
中の砂はキラキラと光の粒のようで、まるで生きているみたいだった。
「きれい……」
思わず声がこぼれた。
僕は嬉しくなって、大好きなおばあちゃんに見せようと部屋へ走った。
いつもならとっくに起きているはずのおばあちゃんが、
その日は静かに横になったままだった。
信じたくなくて、頬に触れた。
でも、温もりは帰ってこなかった。
朝の光はあんなにやさしいのに、
僕の胸の中だけが真っ暗になった。
涙が止まらなかった。
泣き続けてふと気づいた。
——砂時計が、光っている。
僕はそれを枕元にそっと置いた。
その瞬間、意識が遠のき、深い眠りに落ちたようだった。
暗闇の奥に一筋の光。
その先で、おばあちゃんが微笑みながら
「おかえり」と手を差し伸べていた。
僕は迷わず、その手を握った。
——消えない砂時計は、
たった一度だけ“もう一度会える時間”をくれたのかもしれない。
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