子供の成長を妨げる”教本通り”の進め方
人が千差万別であるように、子供の個性も実に多様です。
得意、不得意もそれぞれ異なる中、皆が同じプログラムで進めるのは果たして正しいのでしょうか?
日本には「スズキメソード」や「新しいヴァイオリン教本」のような世界に誇る素晴らしい教本が数多く存在します。1巻~2巻の間までは教本通り進めても問題はありませんが、この頃になると、少しづつお子様の個性が見え隠れしてきます。この時点で指導者、もしくは親御様はお子様に合わせた練習メニューを検討する必要があります。その為「このように進めなければならない」といった画一的なメニューを、すべてのお子様に当てはめることには大きなリスクがあると感じています。
私自身はスズキメソードの教本を用いて指導を行っています。これは、私自身がこの教材で学んできた経験があることに加え、曲のステップアップが非常に理想的で、選曲にも深い魅力を感じているためです。
しかし、ある程度弾けるようになった2巻の途中辺りで様子を見て一度別の曲を入れるか何曲か先に進み、難しい曲にチャレンジしてみるのも良いと考えています
ここで勘違いしてほしくない点は、遠回りをして別の曲を入れるという事が先に進まれるお子様より劣っているという事ではない点です。このブログでも度々お伝えしてきましたが、お子さまの身体的な発達や理解力の成長スピードはそれぞれ異なります。だからこそ、まだ未完成だと感じる部分には、成長期のうちにしっかりと向き合う必要があります。課題が多く見えるこの時期に丁寧に取り組むことで、将来的には大きな助けとなるからです。
技術面での成長だけでなく、「教本通りに進めること」そのものが目的化してしまうと、本質的な学びを見失ってしまう危険性があります。この問題はお子様だけでなく親御様にも共通して見られる傾向です。
教本の順序に沿って進むことが「○巻まで進んでいる=優秀」「まだ○巻=遅れている」といった誤った認識を持ちやすくなり、焦りや不安が生まれてしまうことがあります。こうした価値観が根付いてしまうと、音楽の本来の楽しさや、個々の成長に寄り添う姿勢が損なわれてしまいます。そのため、教本への過度な依存はできる限り避けるべきだと考えています。
教本はあくまで「道しるべ」であり、すべての子どもにとって最適なルートとは限りません。
私自身がおすすめする具体的な曲の進め方については、また別の機会に詳しくご紹介できればと思っております。
今回は教本の進行が一つの「レース」のようにってしまう危険性に対して、警鐘を鳴らす目的でこの記事を書かせていただきました。
もし現在お子様の曲の進み方がゆるやかに感じられている親御様がいらっしゃいましたら、どうかこのことを念頭に置いていただき、決して焦らず、何が不足しているのかを先生としっかりご相談をされ丁寧に観察しながらお子様のご成長を温かく見守っていただければと思います。
