はるひこの夢日記~ミートボール編~
「そのミートボールくれよ」
中学校の昼食時間、ひろきくんは唐突に私に要求した。
特別、仲の良い友人ではない
ひろきくんはサッカー部に所属する
少しやんちゃな少年だ
私は首を横に振った。
「ええやん、くれよ」
「むり」
私は次に、小声で抵抗して見せた。
「ええからよこせや!」
それでもひろきくんは食い下がる。
どうしてそんなに必死なんだろう
気持ち悪い
そんな風に思いながら、抵抗を続ける私
一向にやみそうにない、ひろきくんの声
ああ、めんどくさい
「嫌がってるんやから、やめたれよ」
そう言ったのは、ひろきくんの目の前でお弁当を
食べていた、ナンシーだ(あだ名、外国人ではない)
そこで私は目を覚ました。
皆さんは、この夢に、どんな感想をいだくのだろうか。
私は
私は、信じられないほど
すっきりした朝を迎えた。
それは、少しばかりの抵抗が
実を結んだからでも
ナンシーの助け舟に
感激したからでもない
私は、
悔しかったのだ
心から、尊厳を踏みにじられたくなかった
守られたくなかった
私はあの時
大きな声で
自分自身を守ってあげたかったのだ。
その自分の
心の声に
気がついたとき
驚くほど
すっきりした
私はとても泣き虫だった
こうすけ君と遊んでいるときに
冗談で部屋から閉め出されたときは泣いたし
姉の友達のしんすけくんが「ゲーム貸して」と
急に言い出した時にも泣いた
自分の部屋は与えられず
姉には寝室と勉強部屋がある
「この子はそれで平気だから」
そう言われているようで
もう、私から、奪うな
これ以上、私を追い詰めるな
存在も、尊厳も
これ以上、傷つけられてたまるか
奪われないためには
奪う側になるしかない
そんな、極端な顔も
私を追い詰めていた
そうじゃない
人を尊重するとは
その人の領域を守るのと同義だ
そして
それは私自身にも適用される
今なら、私から奪おうとする者には
反撃する
でも、その人を追い詰めようとは思わない
そうやって、自分の輪郭、領域を相手に示すのだ
そうすれば
私がどんなやつなのか
ひろきくんも
私も
わかったはずなのだ
「私はこうしたい」
「私は私だ!」
主張すると
家族が壊れそうだった
だから、私は私の場所を見つけて
密かに私を育ててきた
一見、溶け合って混ざり合って
ぐちゃぐちゃで
けど香ばしい
ミートボールのようなあの家で
外と、あの家とは違う
主張と攻撃は違う
それが、少し、わかった気がした。
言っていいのだ
「これは私のミートボール!」と

