ITからロボティクスエンジニアへの転職ってどう?

Physical AIやヒューマノイドなど、近年ロボットへの注目度が高まっている。企業の募集も増えており、これまでロボットとは関係ない仕事をしていた方でも、ロボットを自分の仕事として考え始めている人も多いのではないか。

かくいう筆者も、いわゆるDXと括られるような業界から、ふと思い立ってロボティクスエンジニアになった。キャリアチェンジに不安がなかったわけではないが、結果として非常に充実した日々を送っている。

IT系の職種に比べるとまだまだWebに情報が少なく、またハードウェアを取り扱うことからハードルが高いのではと思われる人も多いかもしれない。筆者が転職して感じていることが、読者の参考になれば良い。

シンプルにロボットは面白い

まず単純に、実機が動くのは面白い。設計や開発、組み立てしたものが、目の前で物理的に動く瞬間の面白さは、ソフトウェアだけを扱っていたときには味わえなかった感覚である。

またロボットは「総合格闘技」と言われるほど、扱う技術が多岐にわたる。メカ、エレキはもちろん、低レイヤーの組み込み・デバイスドライバから、通信・制御、さらには上位のセンシングやプランニングまで、極めて幅広い技術要素の統合が求められる。また近年のAI活用の本格化により、画像認識・機械学習、シミュレーションやデータ基盤構築など裾野は広がり続けている。

個人としても領域横断的な技術を経験できるだけでなく、多様な専門性を持つエンジニアと連携して複雑に絡み合った課題を解決するのは、非常に知的にエキサイティングである。

世の中に強く求められている

ロボット開発は、働き手不足という明確な社会課題の解決に直接貢献できる手段の一つである。

「人の仕事を奪うのでは」という指摘もあるが、筆者がこれまで関わってきた現場では、そもそも人手が足りていなかったり、過酷な労働環境で人が集まらなかったりする現実の方が目につく。仕事を奪うというより、人手不足を補う存在としてロボットが求められているというのが実感に近い。

このままでは社会インフラや経済活動を維持できないという危機感があり、なんとかしなければという気持ちになる。もちろん顧客からのロボットやフィジカルAI技術への期待値も高く、そういった環境で仕事をできること自体がエンジニアとして幸せなことだと思う。

余白の大きい業界である

ニュースや展示会に行くと、人のように何でも柔軟に対応できる汎用ロボットがすでに実現されているように錯覚する。

しかしデモでそれっぽく動くことと、現場で安定的に動くことには大きな差があり、筆者の見る限り、現場で定常的に使われているものはわずかという印象である。

期待される用途は多岐にわたる一方で、どの分野でも普及には乗り越えなければならない壁が多く、勝者もまだ決まっていない。裏を返せば、それだけチャンスが広がっている業界だということでもある。

研究と実用化、そして製品化の間にあるギャップについては、また今度詳しく書こうと思う。

転職時によくある不安

ハードウェアや組み込み開発の経験がない

これについては、それほど心配しなくて良いと思っている。

一つには、ソフトだけでも間口が広がっているという事情がある。前述の通りロボット開発は総合格闘技であり、全てに専門家レベルで精通するエンジニアはほぼいない。最初から全部できる必要はなく、得意な領域を一つ作り、そこから周辺に広げていけるエンジニアが活躍すると思う。

もう一つは、採用市場側の事情である。ロボット系のスタートアップが増える一方、そもそも経験者自体が不足しているため、未経験であってもポテンシャルとマインドさえあれば、採用のチャンスは十分にあると感じている。

給与が下がるのでは

確かに現時点ではIT業界の方が平均年収は高い傾向にある。ただしこれは職種そのものというより、会社ごとの給与テーブルによるところが大きいというのが実感である。

大手・スタートアップに関わらず、給与水準を引き上げなければ採用できないというのは、すでに常識になりつつある。稼ぐ力のある会社や大きく資金調達している会社を選べば、業界を問わず給与水準はそれなりに高い、というのが筆者の観測範囲での実感である。もちろん業界平均で見ればIT業界に軍配が上がる場面はまだ多いが、個々の会社選びによってその差は縮められると考えている。

転職先の選択肢の広さや絶対数については、確かにIT系の方が現時点では多い。しかしロボットはこれからより大きく成長する業界であり、時間軸をどう捉えるかの問題だと筆者は考えている。

リモートで働けるか

これは正直厳しいと思う。ハードウェアを扱う以上、フルリモートで働けるポジションは限られている。

逆に言えば、IT業界からの転職でネガティブに感じる可能性があるのはこの点くらいかと思う。筆者は特に気にならなかった。


今回は全体像の話にとどめたが、次回以降は個別のテーマについてより詳しく書いていこうと思う。

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