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小さいながらも、私の城


今のアパートに住んで、8年になる。
New Yorkに来て1年目、
6回目の引っ越しで、ようやく見つけた部屋だった。

ビザは来年で切れるというのに、
大家がこのアパートを売ることになり、
8月までに出ていかなければならない。

この部屋を選んだ決め手は、
ドアと窓枠のブルーグリーンの色だった。
ひと目で、心を奪われた。

8年も住めば、
もちろん嫌なこともあった。
それでも、
少しずつ、この部屋は
自分らしい空間に変わっていった。

窓枠の色に合わせて、
チェックのカーテンを手作りした。
大好きなグリーンも、徐々に増えて
マイナスイオンを振りまいている。

気がつけば、
ここはただの部屋ではなく
私の城になっていた。

泣いた日も、笑った日も、
すべてを受け止めてくれた場所。

この部屋を出ていく時のことを思うと、
今でも、胸の奥がじんとする。

NYで一番苦労するのは、アパート探しだ。
英語が話せるかどうか、
そんな問題ではない。
また、あの苦労を繰り返すのかと思うと、
気が滅入る。

MixBという日本人向けのサイトで、
家賃の安い物件を探し、
いくつか実際に見に行った。

高く積まれた段ボールで仕切られたリビング。
その中で暮らす夫婦のアパートの一室——$750。

別の部屋は、家族3人が暮らす中の空き部屋。
広さは、今の部屋の半分ほど。
それでも家賃は同じく$750。
圧迫感が、息苦しいほどだった。

やはり、家賃の安さには理由がある。
場所はQueensの奥。
今の住まいよりも、Manhattanからさらに遠くなる。
どこか、都落ちしたような気分になった。

いつかはManhattanに住みたい——
そう思い続けて、来年で10年になる。
夢のままで終わるのか。
それとも、たとえ一年でも実現できるのか。

何か、いい方法はないものか。
そんなことを考えながら、
今日も部屋探しのことばかり考えている。


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