TikTok活用はまだ間に合うのか ~TikTok一筋8年の代理店社長が見た、2025年に起きた地殻変動
TikTokは2025年に明確にフェーズが変わりました。
はじめまして、TikTok特化でクリエイター事務所、広告代理店事業を運営するstudio15代表の岩佐です。
studio15は、2019年からTikTokにフォーカスして事業をしていて、8年目になります。(TikTokの日本上陸は2017年)
studio15では、所属クリエイターが300組おり、これまで500社、5,000件以上のTikTok施策を支援してきました(2026年6月時点)。TikTok Shopにおいては、TSP/TAP/CAP/ISVとすべての資格を保有し、TikTok GOの認定エージェンシーであるほか、ショートドラマ等も事業として取り組み、TikTokに関する事業を総合的に展開しています。
TikTokが持つ構造的な強さに可能性を感じて、TikTok一筋で8年間会社として向き合ってきた中で、TikTokの現状となぜそこまで可能性を感じているのかを書きたいと思います。
TikTokの基礎的データおさらい
まず、TikTokの基礎的データですが、2026年5月時点で月間アクティブユーザーが4,950万人を突破しています。2022年11月時点が2,120万人だったので約3年半で2倍超と驚異的な成長を遂げています。年代別利用率でも、各年代で大幅に利用率が上がっており、2026年3月時点で30代40代で約3割が利用しています。もはや、若年層だけが使うアプリではなくなっています。

一方で、購買力のある30代以上では非利用ユーザーの方がまだ多く、ビジネス的な今後の伸びしろがまだ大きいと考えられます。SNSマーケティングを主力事業とするトレンダーズの決算説明資料でも2026年3月期第3四半期時点でTikTokの売上比率は10.1%とまだ小さく、広告代理店としての文脈でもまだまだこれからの媒体だといえます。

TikTokの強さの源泉は何か
そもそもTikTokの本質的な強さは何だと思いますか?いろいろな切り口で捉えられていると思いますが、TikTokに向き合い続けてきた立場として、①コンテンツによるラベリング、②クローズドループ、③AIエンジンの3つが相互に作用しあう構造だと考えています。

①コンテンツによるラベリング
TikTokではスポーツからLIVE配信(投げ銭)、ショートドラマ、観光、商品紹介など多様なコンテンツが揃っており、あらゆるユーザーのニーズを満たすことができます。そして、コンテンツに対するユーザーの反応を踏まえて、コンテンツを通じてユーザーをラベリングし、ラベリングに基づいて各ユーザーが興味を持つコンテンツを表示し、ユーザーをTikTokの中に滞在させ続けています。これが一つ目の強みです。
②クローズドループ
そして、コンテンツによりラベリングをしてユーザーを滞在させたうえで、そのユーザーが興味のあるコンテンツを発見させ、TikTok ShopなどのようにTikTok内で購入まで完了させ、さらにそれをほかのユーザーに投稿でシェアさせることまでができます。
これをクローズドループといい(反対にアプリの外に導線がひかれたものをオープンループという)、アプリ内でクローズドでループし続けることでユーザーが滞在し続ける形になっています。
③AIエンジン
そして3つ目がAIエンジンです。①コンテンツラベリングと②クローズドループにAIエンジンが組み合わさることで圧倒的な効力を発揮します。TikTokのレコメンドを支えるAIエンジンが優秀なことは有名ですが、AIエンジンが優れていることでコンテンツラベリングの精度が上がり、ユーザーがクローズドでループし続けることを支えています。また、多様なコンテンツに対するユーザーの反応やクローズドループの中でのユーザーの反応を踏まえてさらにAIエンジンの精度が上がるという、相互作用的な構造を成り立たせています。そのため、時間がたてばたつほどTikTokのアプリとしての完成度が高まっていく設計になっています。
ちなみに、中国では、このAIエンジンを基盤としたクラウドサービスは、Volcano Engine(火山引擎)として外部に提供されていて、中国のパブリッククラウドにおけるMaaS(Model as a Service)市場では、2025年通年で市場の約49.5%を占め市場1位のサービスとなっており、Alibabaが提供する阿里云(Alibaba Cloud)などを上回る存在となっています。
出典:https://finance.biggo.jp/news/uT6TSJ4BrAZSr0oSAIz-

TikTokの5大収益源
しかし、TikTokは2024年まではこれらの本領を発揮していない状態でした。
ByteDanceの視点で見たときに、TikTokにおけるマネタイズ方法は大きく5つあると考えていますが、2024年までは広告(企業が広告配信をした際に発生する収益)、投げ銭(TikTok LIVEでの投げ銭に伴う収益)の2つしかありませんでした。弊社のようなプレイヤーも基本的には、広告に関連するサービス提供か、TikTok LIVEに関連する収益でマネタイズするしか方法はありませんでした。

それが、2025年から一気に機能開放が進みます。中国版TikTokであるDouyinではすでに2020年から実装されていた、EC(TikTok Shop)の機能実装を皮切りに、TikTok GO(TikTokを通じて宿泊施設やアクティビティの予約ができる機能)も機能実装がされました。
TikTok Shopの機能実装は弊社のようなTikTok特化の代理店では、2020~21年ごろから毎年のように今年は実装されるらしい、と期待しながらずっと待ち続けていたので、2025年のハイペースな機能実装はTikTokがギアチェンジしたのだなということを感じました。

急激な機能実装の背景には、様々な要因があると思いますが、一つにはTikTokのMAUが一定の水準まで来て、ここからはユーザー数の増加<マネタイズに舵を切ったこともあるのかなと思っています。
Douyinの機能や動きをみるとTikTokにこれから実装される機能や動きが推測できますが、TikTok×コンテンツでの収益化の仕組みなど、まだまだ本格実装がこれからのサービスが多々あります。TikTok GOにおいても日本では、宿泊施設、アクティビティしか予約できませんが、Douyinでは飲食店の予約やデリバリーまで含めて決済ができます。
そのため、これから本格的にTikTok、およびTikTok周辺でビジネスを行う企業のマネタイズ機会が増えていくフェーズに入ったと思います。

TikTokの本領発揮フェーズに
そして、ここが重要なポイントですが、今までは、収益機能の実装をとどめていたため、コンテンツの幅がある程度限られていました。
これからはTikTok Shopの実装により商品紹介コンテンツの量が大幅に増え、TikTok GOの実装により観光・アクティビティの紹介コンテンツの量が大幅に増加します。また、今後のさらなる機能実装により、あらゆるジャンルのコンテンツ量が増加していくことが予想されます。
これによりTikTokの強みであるコンテンツラベリングが十分に機能しやすくなっていき、いままで以上にユーザーごとに最適化されたコンテンツが提供されるようになっていきます。
また、TikTok経由で欲しい商品の発見があっても今までは、オープンループの形で店頭やAmazon・楽天などの他ECモールに遷移するなど、TikTokの外で購入するしかありませんでした。「TikTok売れ」の現象も購買自体はあくまでTikTokの外で行われていました。
それがTikTok Shopの登場によりTikTokの中で購入まで完結するようになり、クローズドループ×AIエンジンのTikTokの強みによりドライブがかかるようになります。
TikTok GOにおいても、現状は最終的に他のOTAに遷移して予約するセミクローズドループの形ですが、従来と比較するとデータがとりやすくなるとともに、Douyinを見ると将来的に完全にTikTokの中で予約ができるようになる可能性も十分考えられます。
現状ではまだ実装されていない機能も今後機能実装されることであらゆるジャンルのコンテンツにおいてクローズドループが完成し、TikTokの中ですべての行動を完結することができるようになっていきます。
そのため、2025年以降TikTokの機能実装が拡充しあらゆるジャンルのコンテンツが拡充するとともに、もともとのTikTokの強みであるコンテンツラベリングやクローズドループと組み合わさることで、TikTokの本領発揮がこれからされていくと予想されます。
大きな市場へのアクセス
また、これら新しく機能実装されたTikTokの機能はそれぞれ大きな市場へアクセスすることが可能となっています。実際にDouyinや海外市場では、次のようになっています。
EC(TikTok Shop)
2023年にローンチしたアメリカでは、すでに2兆円超の市場になっています。東南アジアなどでも同様で、各国で市場の上位を占め、数千億円~兆円規模のサービスとなっています。

予約(TikTok GO)
DouyinでTikTok GOに相当するサービスは、ライフスタイルサービス部門として提供されており、宿泊施設・アクティビティの予約だけでなく、飲食店やデリバリーの予約など、あらゆるサービスの決済をできるようになっており、2025年時点で約17兆円(2025年、8,000億元超)となっています。店舗送客(到店)領域では、飲食店予約・デリバリーにおいて業界トップである美団(Meituan)に迫るサービスとなっています。
コンテンツ(Hongguo/TikTok Minis)
こちらは日本ではまだ全面的に展開されていないですが、中国ではDouyinと別アプリでHongguoとしてショートドラマ専用アプリが提供されています。Hongguoは中国のショートドラマ市場を圧倒的にけん引する存在となっていて、中国ではショートドラマ市場は2024年に映画興行収入を超え、2025年には約2兆円規模に倍増しています。
Instagramからの示唆
上記のように、2025年以降矢継ぎ早に機能実装を進め、マネタイズを進めているTikTokですが、参考になる事例があります。Instagramです。
Instagramは、もともときれいなビジュアルのイメージのメディアでしたが、Facebook(現Meta)による買収以降、ストーリー機能の実装やアフィリエイトの増加など、マネタイズにつながる機能が次々に実装され、よくも悪くもビジネス感の強いメディアとなっていきました。
その辺りのストーリーは下記の本にも詳しく書かれています。
結果としてInstagramはビジネスとしては大きな成長をし、周辺でビジネスを行う事業者の収益も大きく拡大していき、日本でもInstagramを主力とする代理店の上場がこの数年で重なりました。
また、世間でイメージされている以上に、メディアとしての衰退が言われるようになってからも成長し続けています。

これと同じことがこれからのTikTokに起こると考えています。マネタイズがしやすくなることで、広告主、代理店、クリエイターの参入が増え、さらにメディアとしての構造的な強さが増し、さらなる参入が増えるサイクルに入ります。
それにより、冒頭で触れた30代以降の非利用者も利用せざるを得ないサービスとなっていき、購買力のあるユーザーがさらに増えていくと考えられます。
TikTokはこれからが本番
上記の流れにより、TikTokはこれからビジネス的に本番のフェーズに入ります。これまで認知・ブランディング施策中心で活用されてきたTikTokですが、TikTok ShopやTikTok GOなど、直接収益につながる機能が実装されてきたことで、今後は成果報酬施策などよりローワーファネルに近いものも増えていくと考えられます。中身は現状と変わりつつ、市場規模は拡大していくと考えています。
また、Douyinで実装されていて、TikTokに実装されていない機能もまだまだ多いので、さらなる機能実装とともに、アクセス可能な市場規模そのものの拡張もされていきます。

一方で、Douyin ECでも2020年にローンチがされ、爆発的に成長したのは2023年からなので、一直線に成長していくかというとそうでもないと思っています。
実際にTikTok Shopも2026年前半の成長はやや緩やかだった部分があります。ただ、日本企業の成功事例は増加してきており、質的には確実に充実してきています。消費者の行動変化はある程度時間がかかるので、ゆるやかに確実に成長していき世の中が気づいたときには大きなマーケットが出来上がっていると思います。
私も実際にTikTok LIVE(投げ銭)では市場の立ち上がりを見過ごしました。TikTokはコンテンツラベリングが優秀なので自分が対象ユーザーでない市場は成長に気づかず見過ごしてしまいがちですが、TikTok Shop、TikTok GO、ショートドラマの各プロダクトで事業に向き合っている人だけが気づける市場の成長が着実に進んでいくと思います。
そのような中で、市場が大きくなる前から参入した企業・クリエイターが先行者としてのメリットを得られると思います。TikTok Shopで特に感じますが、資金力がない企業でも戦い方次第で勝てるフェーズが今なので、是非弊社としてもサポートさせていただきたいと思っています。
TikTokはこれからが本番です。2026年はまだまだTikTokを活用するには、先行者利益の得られるタイミングです。
TikTokを活用していきたい企業の方や、studio15でTikTok市場にチャレンジしたい方は下記に是非ご連絡ください。
また、これからTikTokについて役立つ情報を様々な角度から発信していくので、是非noteをフォローしていただけると嬉しいです!
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