それぞれの歩幅で、春へ
少しずつ、空気がやわらいできました。
冬のあいだは、どこか縮こまっていた心も、
春の光に触れると、ゆっくりほどけていく気がします。
夕方の道を見ていると、
時間が静かに流れているのを感じます。
まっすぐに伸びる道路。
遠くに見える山。
咲きはじめた桜。
どれも特別なことをしているわけではないのに、
ただそこにあるだけで、
この世界のやさしさを教えてくれるようです。
春になると、人は少しだけ前を向きます。
新しいことを始める人。
何かを終えて、また歩き出す人。
ゆっくり休みながら進む人。
進む速さも、歩く距離も、
本当に人それぞれです。
大きく一歩を踏み出す人もいれば、
今日はほんの半歩だけ、という日もあるでしょう。
でも、どんな歩幅でもいい。
その一歩は、
その人だけの時間の中で生まれた
大切な一歩だからです。
遠くの山へ続く道のように、
人生もまた、まっすぐ続いているわけではありません。
時には遠回りをして、
時には立ち止まり、
振り返りながら進んでいきます。
それでも、
いまこの瞬間に歩いている時間は、
どれもかけがえのないもの。
誰かと比べる必要もなく、
急ぐ必要もありません。
春の桜が、
それぞれの木のタイミングで咲くように、
人の歩みもまた、それぞれ。
だからこそ、
すべての時間は尊く、
そして、どこか愛しいものなのだと思います。
今日という一日も、
誰かの大切な途中。
ゆっくりでもいい。
それぞれの歩幅で、
また少しだけ、春のほうへ。🌸
