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月1回くらい放送してほしい-NHK『あたらしいテレビ』の感想

お正月に放送されている特別番組であり、毎年とても楽しみに観ている。
毎年、出演者もテーマも構成も変わるので、新鮮な気持ちでじっくりと見ている。
今年の放送は、芸能人やアーティスト、テレビ局員、ドラマ・映画好きな著名人などが集まり、各自2024年に面白かったコンテンツを選び、雑談するといった内容だった。
番組中の「目の肥えた語り手5人」のパートについて、感想を書く。


毎年お正月恒例、コンテンツのいまとこれからを語り合う「あたらしいテレビ」。 2024年、あのひとはどんなコンテンツに触れていたのか。コンテンツから浮かび上がるのはどんな“時代”か。
▼朝ドラ脚本家・吉田恵里香さんほか注目のクリエーターたちが選ぶ超個人的なコンテンツ5選。話題作は、どんなインプットから生まれているのか? ▼そして、宇垣美里さんら目の肥えた語り手たちが、独自の視点でヒット作や見逃せない作品を語り尽くす。
▼さらに、2025年の朝ドラ「ばけばけ」で主演を務める髙石あかりさんが登場。最注目の俳優が語るいまとこれから。

NHK番組情報サイトから引用

まずは意見を聞いてみるという姿勢

番組は、前半と後半で異なる5人がそれぞれ選んだ「超個人的コンテンツアワード」を発表して話し合うという構成。
構成として、司会者がおらず、5人だけで雑談的に話すという形が好きだった。
「あたらしいテレビ」の前身番組と思われる「新春TV放談」は、芸人さんとNHKのアナウンサーの方が司会を務め、出演者に意見を促し、進行していたが、今回の「あたらしいテレビ」は司会者がいなかったので、出演者が自分のタイミングで話し、自由なリアクションができているように見え、自然な会話に近いように思えたので、リラックスして楽しめた。
もちろん司会者がいることで意見を引き出し、円滑な話し合いが出来る環境をつくることはできる。
だが、「あたらしいテレビ」の場合は、出演者の選んだ作品を「知っている」か「知らない」かで、周りの反応が大きく変わるので、司会者が知らないコンテンツだと全体の反応も鈍く、逆に司会者が知っていてなお好きなものなら大きく盛り上がるような空気になってしまうような気がする。
司会者の個人としての嗜好が全体の感情をコントロールしてしまうと、深堀される作品に差ができてしまう。

今回の出演者5人は、他の人が選んだコンテンツを知らなかったとしても、まずは意見を聞いてみようという意識があるため、知らなかったとしてもそこから派生した何かしらのテーマに対して個々の意見を言い合えていた。

目の肥えた語り手として出演者5人がそれぞれコンテンツを紹介するが、
とにかくみんな別々のものを選んでいて、出演者同士で選んだものが被ることがなかった。
前半の5人が選んだ「超個人的コンテンツアワード」を書き出してみる。

TaiTanさん

「ハイパーたいくつ」 松田いりの(書籍)
「The New Sound」 Geordie Greep(音楽)
「小山田圭吾 炎上の「嘘」東京五輪騒動の知られざる真相」 中原一歩(書籍)
「ルックバック」(映画)
「斎藤幸平VS村上隆」 ReHacQ(Youtube)
「INZM」 Number_i (音楽)
「大脱出2」(DMM TV)
「Right Place,Wrong Person」 RM(音楽)
「超RIZIN.3 朝倉未来VS平本蓮」(ABEMAほか)

大島育宙さん
「地面師たち」(Netflix)
「新宿野戦病院」(フジテレビ系)
「アンメット ある脳外科医の日記」(関西テレビ/フジテレビ系)
「Shrink(シュリンク)-精神科医ヨワイ-」(NHK)
「3000万」(NHK)
「夜明けのすべて」(映画)
「悪は存在しない」(映画)
「Chime」(映画)
「SUPER HAPPY FOREVER」(映画)
「timelesz project -AUDITION-」(Netflix)
「KILLAH KUTS 右翼左翼レース」(Amazon Prime Video)

宇垣美里さん
「虎に翼」(NHK)
「ナミビアの砂漠」(映画)
「マッドマックス:フュリオサ」(映画)
「窓際のスパイ」(Apple TV+)
「ルックバック」(映画)
「ベイビーわるきゅーれ」(映画/テレビ東京系)
「SHOGUN 将軍」(Disney+)

朝日菜子さん
「仮想儀礼」(NHK)
「Eye Love You」(TBS系)
「ケの日のケケケ」(NHK)
「帰ってきた あぶない刑事」(映画)
「おつむの良い子は長居しない 第12回インティマシーコーディネーター/高嶋政伸」

超個人的コンテンツアワード2024より引用

これを見ると、「ルックバック」しか選択に被りがなく、気持ちいいぐらいにそれぞれの個性が出ているラインナップだ。
 
例えば、流行語大賞になった「不適切にもほどがある!」は、一人も選んでいないし、話題になったドラマ「地面師たち」も一人しか選んではいない。
この場合、みんなが同じものを選んでいなかっただけで「あ!それ観たよ!面白かったよね!」といったかんじで雑談が盛り上がるのだと思っていた。
しかし、そんなことはなく、ただただ個々に観て面白かった、推したいコンテンツを発表するような流れになっていた。
番組の時間も限られているため、一つ一つのコンテンツを掘り下げることもあまりないままに終わってしまった。
かなり興味をひかれるコンテンツだったので、しっかり時間をかけて感想や選んだ理由を聞きたかった。

5人に語ってほしかったテーマ「どんなテレビドラマを見たい?」

若者のテレビ離れと言われることが当たり前になり、私の周りの20・30代ぐらいの人も、「家にテレビはあるけど見ない」「そもそもテレビは持っていないから、スマホやタブレットで動画サイトを見る」という声は何年も前から、よく聞くようになった。
 
5人のラインナップを見ると、テレビ離れと言われる中でもテレビドラマが多く選ばれている。
むしろ配信系のドラマよりも多く選ばれている。「配信は、テレビみたいにスポンサーの様子や意向を伺いながら制作しなくてもいいから、自由で良質な作品を作ることができる」という声を聞くことがあるが、その考えだとテレビドラマは配信と比較して面白くないと聞こえてしまう。
だが、実際にはテレビドラマもすごく面白い作品はたくさんあるし、逆に配信ドラマでも大規模な製作費をかけているはずなのに微妙なものもある。
 
配信ドラマは、テレビでは出来ない自由・過激・壮大な表現を可能とし、それが多くの視聴者の需要になっているのだとしたら、今後のテレビドラマは一体どのような表現やテーマが求められていくのかを語ってほしかった。
 
ここから作品の表現とか内容には関係ないけど、思っていることを書く。
私自身、ドラマは、配信もテレビもどちらも観るが、テレビドラマの良さとして、1週間に1話という放送の頻度が、作品をしっかり楽しめる要素になっていると思っている。
例えば、配信ドラマは、全話まとめてアップされるため、全10話以内なら、最短で2~3日で観てしまう。
いっきに全て集中してみることが出来るのは大きなメリットだと思っていた。
しかし、短時間で連続して観終わってしまうと、1話をかみしめ考える時間が少ないため、視聴後、何か月か経ってから思い出そうとしても、忘れている部分が多い気がする。

テレビドラマだと1話見てから、1週間あるので、ストーリーを反芻したり、頭の中で情報を整理する時間がしっかりとある。
なので、私の経験上は、リアルタイムで見たテレビドラマのほうが記憶に残りやすいと思う。
これは、私の生活リズムの中にテレビドラマを見る習慣が根付いているから思うことであり、配信だって週一回のペースで見ている人はいると思うので、個人的な思いにすぎない。
 
「テレビは面白くない」というイメージを植え付けられがちな中で、でもやっぱり面白いテレビドラマもあるよね、だからテレビ全体を否定するのは違うのではないかという気持ちがある。
テレビドラマ好きだからこそ、今回の5人の選んだ作品の中でテレビドラマが多かったのは嬉しかったし、これからさき、みなさんはどんなテレビドラマを見たいと思ってるのかを聞いてみたかった。

その他、気になったこと

例えば宇垣さんの推されていた「窓際のスパイ」は、2024年のアフター6ジャンクションの中で、宇多丸さんがとても面白いと話題にしていたし、その辺の盛り上がりも含めて宇垣さんの感想を聞いてみたかった。
宇垣さんの選んだ「マッドマックス:フュリオサ」や「虎に翼」といったフェミニズム的メッセージがある作品について、女性から見た視点と、男性やその他の立場の方からはどう見えたかとか聞いてみたかった。
 
TaiTanさんが挙げていた超RIZINは、あのメイン試合をどう捉えているのかを聞きたかった。
あと、「村上隆VS斎藤幸平」は、全員見た上で、アートと資本主義について語ってほしい。

月1回くらいの頻度で放送してほしいくらい魅力的なメンバーと内容

5人が共通して一つのコンテンツを観ることがなかったぐらい、今は数多のサービスが大量のコンテンツを発信し続け、私たちはその大量の情報の中に埋もれながら生活している。
 
番組を観て私は、もっと共感したいし共有したいのだと思った。
選ばれたコンテンツを見たり読んだり聞いたりしたうえで、もう一度5人の会話を聞きたくなった。
 
普段の生活の中で、日々観ているドラマや映画やテレビやラジオや小説・漫画などについて、同じものを観て読んでいる他人と語り合うことは、滅多にないし、各々観ているものは多岐にわたる。
そんな中で「あたらしいテレビ」から、テレビに出演されている人の感想や感動を私も共有して「あーわかるわー」とか、「そんな見方もあるんだー」とか言いたかったのである。
 でも今回のあたらしいテレビでは、なかなかそういう反応はできなかった。
 
もちろんみんながみんな同じ意見や感想を持つ必要はないし、それぞれの違うものを観て楽しんでいたなら、それはそれでいいのだが、なにか一つくらい5人が共通して観たものがあって、それぞれの目線で雑談したり、盛り上がる瞬間を観たいと思った。
 
だからこそ、あたらしいテレビは年1回ではなくて、月1回くらいのペースで放送してほしい。
今月はこれが面白かったとか、話題になったけど微妙だっとか、雑談的に大量に消費されるコンテンツをおさらいしながら、まだ見ぬ素晴らしい作品を知るきっかけになると思う。
また、知らない作品を次の放送までに見て、改めて感想を言い合うとかもできると楽しく見れる。
うまいこと言語化できてなくても、擬音満載でもいいから感情の起伏を感想として言ってくれるだけでもいい。
考察や解説じゃくて、いろんな人の感想を聞いてみたい。
感想に正解はないし、それを聞くことから始まる気づきはあるはず。
感想なんていくらでもSNSに溢れているのだから、そこでも満たされると思われるかもしれないが、それはそれで難しい。
人の感想は字面では100%伝わらないし、実際に五感を駆使して見て聞いて実感しないと伝わらない熱量があると思う。
 
月1回の放送にすることで、多産されるコンテンツの情報量にもある程度は適合できると思うし、こちらとしても色々知れるのは刺激になる。
 
以前このブログでも書いたが、「虎に翼」について職場の上司と感想を話し合えたのは、とても楽しい時間だった。こういう時間が日常にもっとたくさんあればいいと思うのだが、なかなか難しい。
だからこそ毎月ぐらいの頻度で「あたらしいテレビ」を見て、感想を聞きたいと思った。

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