虐待は特別な人が起こすものではない ~世界高齢者虐待啓発デーに考えたいこと~
「虐待なんて自分には関係ない」と思っていませんか?
こんにちは。
6月15日は「世界高齢者虐待啓発デー」です。
普段生活している中で、「虐待」という言葉を意識する機会はそれほど多くないかもしれません。
ニュースで報道された事件を見て、「ひどい話だな」と感じることはあっても、自分の生活とは遠い世界の出来事だと思う人も少なくないでしょう。
しかし、介護や医療の現場で働いてきた私にとって、虐待は決して特別な話ではありませんでした。
今回は、世界高齢者虐待啓発デーにちなみ、虐待について改めて考えてみたいと思います。
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私が現場で学んだこと
私は看護師になる前、老人保健施設で介護士として働いていました。
その頃から高齢者虐待についての研修を何度も受けてきましたし、看護師になってからも訪問看護の現場で高齢者虐待や児童虐待について学ぶ機会がありました。
また、事例検討会などでは胸が苦しくなるようなケースに触れることも少なくありませんでした。
実際の事例を聞くたびに感じたのは、
「虐待は特別な家庭だけで起きるものではない」
ということでした。
介護や子育てに懸命に向き合っていた人が、疲労や孤立の中で追い詰められ、結果として虐待につながってしまうケースもあるのです。
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虐待とは何か
虐待とは、保護者や養護者などの立場にある人が、子どもや高齢者、障害者などに対して行う暴力や放置、搾取などの人権侵害行為です。
対象によって法律は異なりますが、主に次の5つに分類されています。
身体的虐待
心理的虐待
性的虐待
経済的虐待
ネグレクト(放棄・放任)
虐待というと殴る・蹴るなどの暴力を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし実際には、それだけではありません。
言葉による傷つけや無視、必要な支援を受けさせないこと、お金を勝手に使うことなども虐待に含まれます。
身体に傷が残らないからといって、虐待ではないというわけではないのです。
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虐待の種類を知ることが大切
虐待にはさまざまな形があります。
身体的虐待
殴る、蹴る、つねる、火傷を負わせる、激しく揺さぶるなどの暴力行為です。
また、高齢者に対する不必要な身体拘束なども身体的虐待に含まれます。
心理的虐待
怒鳴る、脅す、無視する、人格を否定する発言を繰り返すなどの行為です。
目に見える傷は残らなくても、心には深い傷を残します。
性的虐待
本人の意思に反した性的行為や、性的なものを見せる行為などです。
ネグレクト(放棄・放任)
食事を与えない、病院へ連れて行かない、不潔な環境で生活させるなど、必要な養育や介護を行わない状態です。
経済的虐待
本人の同意なく年金や財産を使い込む、自由にお金を使えないようにするなどの行為です。
このように、虐待は目に見える暴力だけではありません。
むしろ周囲から気付かれにくい形で行われていることも多く、家庭内や施設内で表面化しにくいという特徴があります。
だからこそ、私たち一人ひとりが虐待について正しく知ることが大切なのです。
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子どもへの虐待も同じです
児童虐待も身体的虐待だけではありません。
近年よく知られるようになった「面前DV」も心理的虐待に含まれます。
子どもの前で配偶者に暴力を振るうことは、直接手を上げていなくても子どもの心を深く傷つけてしまいます。
また、
車内への放置
十分な食事を与えない
小さな子どもだけを家に残して外出する
といった行為もネグレクトにあたります。
「叩いていないから大丈夫」ではなく、
「子どもが安心して生活できているか」
という視点が大切になります。

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虐待の背景にあるもの
ここで大切なのは、
「虐待する人=悪人」
という単純な話ではないということです。
もちろん虐待は許されるものではありません。
しかし、虐待をしてしまう背景には、
介護疲れ
育児ストレス
経済的困窮
精神的な不安定さ
家族関係の問題
社会的孤立
など、さまざまな要因が複雑に絡み合っていることが少なくありません。
現場で学んできた中でも、
「最初から虐待をしようと思っていた人」
よりも、
「誰にも頼れず限界まで追い詰められていた人」
の存在を知る機会がありました。
だからといって虐待が正当化されるわけではありません。
しかし、虐待を防ぐためには加害者を責めるだけではなく、
「介護者や養育者が孤立していないか」
という視点も必要です。
支える側を支えることも、虐待防止の大切な取り組みの一つなのです。
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最後に
虐待は決して遠い世界の話ではありません。
身体的な暴力だけではなく、無視や放置、経済的な搾取も虐待に含まれます。
そして、虐待はある日突然起きるのではなく、疲労や孤立、余裕のなさの中で少しずつ生まれてしまうこともあります。
だからこそ、
「これは虐待かもしれない」
という視点を持つこと。
そして、
「助けを求めてもいい」
ということを知っておくこと。
それが虐待を防ぐ第一歩になるのではないでしょうか。
世界高齢者虐待啓発デーの今日。
高齢者や子どもだけではなく、支える側の苦しさにも目を向けながら、誰も孤立しない社会について考えるきっかけになれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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