【小説・ヴィーナス症候群】[694]ショートどうだ?
「공원에서 찍자!」(公園で撮ろう!)
新大久保・HANEULのアトリエは、なぜか全員ノリノリだった。
ミニスカートに着替えたスタッフたちが、
すでにスマホとリングライトを持っている。
完全に“やる気”だった。
「요즘은 밖에서 찍는 게 더 잘 돼」(最近は外で撮った方が伸びる)
「공원 분위기 좋잖아」(公園、雰囲気いいし)
「하루카도 같이 가야지?」(はるかも行くよね?)
試着モデル(トルソーさん)の万之瀬はるかは、少し考える。
「……チュム、チュルス イッスルカナ?」(……ダンス、できるのかな?)
「괜찮아!」(大丈夫!)
「그냥 느낌만 살리면 돼」(雰囲気だけでいいから)
「……クェンチャナヨ、ハミョン デヨ」(……いいですよ、やればいいんでしょ)
軽く言ったつもりだったが、
それで決まった。
⸻
近所の公園。
子ども、ベビーカー、散歩の人。
その中に、ミニスカートの一団が現れる。
ベンチにHANEULの紙袋。
リングライト設置。
スマホ固定。
完全に浮いていた。
「간다!」(いくよ!)
音楽。
全員で同じポーズ。
腕を曲げ、肩を入れ、揃う。
はるかは、一拍遅れて入る。
(……マ、ハミョン デゲッチ)(……まあ、やればなんとかなるでしょ)
脚で合わせる。
腰で拾う。
「좋아!」(いいね!)

そのとき。
「ちょっと!!」
どこかのお母さんが立っていた。
「ここ、公園ですよね?」
誰も答えない。
「そんな肩だのヘソだの脚だの出して、腰振って下品に踊ってたら、娘が真似したがるんです!」
空気が一気に冷える。
「저기… 죄송합니다」(あの…すみません)
スタッフが言いかける。
その横で、はるかがぽつりと口を開く。
「でも、見られた方が、スタイル良くなりますよ?」
一瞬、静止。
母親の表情が変わる。
「いや、だからそれが危険だって言ってんの!!」
完全に火がついた。
周囲の視線が集まる。
スタッフたちが一斉に「아…」という顔をする。
「저희 그런 의도가 아니라…」(そういう意図じゃなくて…)
「죄송합니다, 바로 정리할게요」(すみません、すぐ撤収します)
手際よく機材を畳み始める。
はるかは、少しだけ首をかしげる。
「……何か間違えた?」
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