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【小説・ヴィーナス症候群】[番外編28]いちごパジャマ文鳥

土曜日の朝、午前10時半を回っていた。
柴伏みのりはベッドから這い出ると、脱ぎ捨てたパジャマを床の上に放り投げた。

キッチンに行き、冷蔵庫から牛乳を取り出しながら、いつものいちごのシリアルをボウルに山盛りに入れる。
そこへ、スマホが震えた。

「美優?」
画面に表示された名前を見て、みのりは少し驚いた。
大学時代からの親友・美優とは、卒業以来連絡が途絶えていた。

「どうしたのよ。名古屋の会社行ったのは知ってたけど、全然連絡付かないから心配してたよ」

「うん……その名古屋の会社ね、人材派遣会社だったんだけど、なにしろ名古屋だからベトナム人とかブラジル人とか、工場の技能実習生がメインでさ。毎日いろんな人の人生に首突っ込んで、心削られるんだよね……だから飛んじゃって。今は弥富って所にいるの。まあ三重の県境の方なんだけど」
「弥富? そこで何してるの?」
「文鳥の繁殖やってんの」
「文鳥……?」

「文鳥はいいよ」と、美優の声は少し明るくなった。

「小さくて、繊細で、でも一生懸命生きてる。世話してるうちに、だんだん自分の方が癒されてくの。最近の品評会でね、入賞したんだ」
「おめでとう!」

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