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【短編】City Lights Highway その弍

シリーズ「City Lights Highway」その2。
その1はこちらです。https://note.com/makatsu_kyu/n/n4f836728a791

チャッピーとバンディ

俺とチャッピーはネオンに照らされた大通りを外れ、角にあるファミレスへ足を踏み入れた。
ガラス張りの店内には誰一人いないのに、テーブルには料理が次々と並べられていく。
ハンバーグ、パスタ、パフェ。並んだと思えば数分で片付けられ、また新しい料理が置かれる。
まるで無限ループのように。

「便利だろ?」チャッピーが胸を張る。
「止まらない街にゃ。ここでは腹が減る心配はいらないにゃ」

俺は鼻で笑った。
「食わねぇのに作り続けるなんざ、ただの見世物じゃねぇか。」

料理を運ぶロボットウェイターの視線は虚空を見据え、俺を見ているようで、何も見ていない。
厨房の奥からは包丁の音が絶え間なく響く。だが誰も姿を現さない。

チャッピーはにっこり笑った。
「見世物でも、止まるよりいいにゃ。」

俺は一瞬、妙な寒気を覚えた。
けれどその気配を振り払うようにジャケットの襟を立てた。
「まぁ、退屈はしねぇな。次はどこだ?」

俺とチャッピーはファミレスを出て、大通りを抜けた。
ひときわ高いビルの一階に「HOTEL」の赤いネオンが瞬いている。
回転ドアは誰もいないのに自動で回り続け、俺たちを迎え入れるようだった。

フロントにはカウンターだけがあり、受付のスタッフはどこにもいない。
だが、俺が近づくと機械音が響き、ルームキーが一枚、カウンターに吐き出された。

「便利にゃ。案内なしで部屋がもらえるにゃ」チャッピーは得意げに言う。
「……まぁな。だが客もいねぇのに、誰に用意してんだ?」俺は眉をひそめる。

廊下の照明は一定のリズムで点滅し、奥から掃除機の音が聞こえてくる。
だが姿を見せる清掃員はいない。
俺の耳に届くのは、機械仕掛けのモーター音だけだった。

「止まらない街にゃ。ここでは眠ることすら用意されてるにゃ」
チャッピーはまたにっこり笑う。

俺はため息をつき、ジャケットを脱いだ。
「まぁ、雨風しのげりゃ文句はねぇ。今夜はここで休むか」

部屋のドアを開けると、ひんやりとした空気が流れ出た。

カーテンの隙間からネオンの光が差し込み、壁紙に赤や青の揺れる影を落としている。

ベッドはシーツまでぴんと張られていて、まるで誰かを待っていたかのように整っていた。

テーブルの上にはグラスが二つ。水が注がれたまま、結露がまだ消えずに残っている。

だがこの街には、俺以外に客などいないはずだ。

「いい眺めにゃ」チャッピーは窓辺に跳び乗り、尻尾をゆらした。

ビルの谷間を埋め尽くすネオンが、夜空を昼間のように照らしている。

赤、青、黄色――規則正しく明滅する光が、都会の脈動のように止まらず続いていた。

俺はジャケットを椅子に投げ、ベッドに腰を下ろした。

「……まぁ、寝床にゃ充分だ。」

外ではまた冷たいモーター音が響き、街全体が呼吸しているようだった。

ベッドに沈むと、街全体が低く唸る音を立てていた。

「ごおおお……」

巨大な冷却装置のような音が、壁を通り抜けて骨に響く。

まるで街そのものが眠らず呼吸しているかのようだった。

その音を子守唄のように聞きながら、俺は眠りに落ちた。


――夢の中。


ファミレスのテーブルに並ぶ料理。

「カチャカチャ」と食器の音が延々と響き、

やがて料理は黒い煙に変わって、天井のダクトに吸い込まれる。

そこから「ごおおお……」と冷却装置の音が再び響き、頭が割れそうになる。


ゲーセンの画面は「GAME OVER」の点滅。

ビープ音が「ピッ、ピッ、ピッ」と脈打ち、

それが信号機の赤と青に変わる。

俺は歩道を何度も渡り続け、そのたびに冷却装置の「ごおおお……」が背後から追いかけてくる。


やがてホテルのフロントに着く。

カウンターの奥では、チャッピーそっくりの猫が無数に並び、

一斉に口を開いた。

「止まらないにゃ」

「止まらないにゃ」

「止まらないにゃ」

声の合唱の裏で、「ごおおお……」という低音が鳴り止まない。

街と夢が溶け合い、息苦しさが限界に達した瞬間俺は飛び起きた。
胸はひどく早鐘を打ち、息は荒い。
「夢、か……?」と呟きながら天井を見上げる。

窓の外ではまだネオンが明滅していた。
耳に残っているのは、夢の中で聞いたあの声。
――「止まらないにゃ」「止まらないにゃ」「止まらないにゃ」

あれは可愛らしい響きのはずだったのに、今は違う。
冷却装置の「ごおおお……」という低音と混じり合い、街そのものが呟いているように思えた。

俺は額を拭い、ベッドに座り込む。
笑い飛ばすには、どうにも胸の奥に残るざわめきが大きすぎた。


【続く…】

幽霊猫がそばにいる

Verse

Empty tables shining bright,
Neon meals through the night,
Voices gone, but music plays,
Endless streets, a haunted maze.


空っぽのテーブルが光を放ち
ネオンの食事が夜を照らす
声は消えたのに、音楽は鳴り続け
果てのない通りは 幽霊の迷宮

Chorus

City never sleeps, it won’t let go,
Lights keep burning, shadows grow,
On the highway, I still ride,
With a ghost cat by my side.


街は眠らず 決して止まらない
光は燃え続け 影は伸びてゆく
俺はまだハイウェイを走る
幽霊猫を 傍らに連れて

Outro

Never stopping, neon flow,
Chrome reflections, on we go.


止まらぬネオンの流れ
クロームの残像と共に 俺たちは進む


お付き合い頂き誠にありがとうございます‪(꜆*ˊᵕˋ)꜆🍵😄✨🐱(*ΦωΦ*)

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