社外取締役が見る、make standards代表という経営者|「あり得ないレベルで、約束を守る人です」【前編】
20年以上前、東京・西麻布。ある飲食店の店長のもとへ、一人の営業マンが通い詰めていました。
当時そのエリアは、クーポン誌の文化がほとんど根づいていない場所でした。ハイソな店が並び、「うちは割引などしない」というのが当たり前。営業先としては、控えめに言ってもかなり厳しい。それでもその営業マンは、名刺に手書きの手紙を添えて、店のポストに入れ続けていたそうです。
その営業マンが、のちにmake standardsを創業する代表の佐藤(社内では「じゃがさん」と呼ばれています)。そして手紙を受け取っていた飲食店の経営者が、現在make standardsの社外取締役を務める立花雄樹さんです。
二人はその後、同じ会社の先輩・後輩となり、20年以上にわたって付き合いが続き、2年ほど前からは社外取締役と代表という関係になりました。
今回は、外から会社を見つつ、経営にも責任を負う立場の立花さんに、率直に語っていただきました。前編では、立花さんご自身のキャリアと、社外取締役として関わることを決めた理由、そして経営者としてのじゃがさんをどう評価しているのかを伺います。

「友達と一緒に仕事をする」ことが、人生の目的だった
広報:本日はどうぞよろしくお願いいたします。まずは立花さんご自身のご経歴から伺えますか。
立花:よろしくお願いいたします。じゃがさんと同じで、新卒でリクルートに入りました。私は営業戦略を考える部署や、プロダクトを設計する部署が長くて、当時のグループ会社ではプロダクト担当の役員のような立場をしていました。
役割としてはシンプルで、このプロダクトをどうやったら世の中に普及できるのか、営業としてどう売っていけばいいのか。その2つを考えることですね。あとは社内でIT系の選抜のような枠にいたので、開発全般のディレクションもやっていました。
広報:営業とプロダクトの両方を見ていらっしゃったんですね。
立花:そうですね。2019年に独立して、今はその強みを活かしてマーケティング領域の会社を経営しています。クライアントの支援もしていますし、歯科医院や美容室のように、自分で投資してマーケティングを活かした事業運営そのものに関わってもいます。あとは何社かで社外役員をしています。
広報:じゃがさんとの出会いが、たしか西麻布のお店だったんですよね。
立花:そうです。最初に会ったのは20年以上前で、私が大学時代に西麻布で飲食店を経営していたとき、リクルートの担当営業マンだったのがじゃがさんでした。
広報:あの辺りでクーポンを使う店は、当時ほとんどなかったはずで。相当厳しいエリアですよね。
立花:ええ、誰も使わないエリアでした。だから本当に苦戦していたと思いますよ。でも、いつも名刺に手紙を書いて、ポストに入れていましたね。
広報:奮闘する姿を、お客様側から見ていたわけですね。その後、立花さんもリクルートへ入られた。
立花:じゃがさんの1年後に入社したので、社内では先輩・後輩の関係になりました。ただ、しばらくは「知ってる人」くらいの距離感で。仕事で関わったことは、実は一度もないんです。
関係が深くなったのは4年目くらいのときですね。ミドルリーダー層向けの研修が1つ上の入社者と合同で開催されて、そこで再会しました。実は二人ともその研修の場では、ちょっと浮いていたんですよ(笑)。それで妙に気が合って、研修を抜け出して遊んでいた記憶があります。
広報:仕事ではまったく接点がないまま、ずっと飲み仲間だったと。
立花:そうです。リクルート時代は完全にそれだけでしたね。私もじゃがさんが独立した1年後にリクルートを退職して独立したので、お互いこれからいろいろやらなければいけないという時期が重なって。そこからは2ヶ月に1回くらい会うようになりました。今はもう週に1回は会っていますけど。
広報:社外取締役に就任されたのは2年ほど前ですよね。引き受ける決め手は何だったんでしょうか。
立花:私の理由で言うと、「友達と一緒に仕事をする」というのが、昔からの人生の目的なんです。実際に、友人が経営している会社にはいくつか関わっています。その中でもじゃがさんは、とりわけ仲がいい。
もうひとつは相性ですね。キャリアも性格も違うので、じゃがさんが得意ではないことが、ちょうど私の得意なことなんですよ。
広報:世の中では「友達と一緒に起業するな」とよく言われますよね。そこは逆というか。
立花:私の場合は少し事情が違っていて。自分自身がやりたいことは、もうある程度叶えてしまっているんです。だから、まだやりたいことがある人を見ると応援したい、というより、率直に羨ましくも思う。
つまり、私は主役の座を取りにいかないんですよ。そこがずれないので、喧嘩にもならない。だから相性がいいんだと思います。
広報:報酬をいただくという関わり方もあったと思いますが。
立花:そこはあまり興味がなくて。お客様としてお金をいただくのは違うなと思ったので、それなら中に入ってしまったほうがいい、という話でした。自分の貴重な時間を使うなら友達に使いたい、というのが正直なところです。じゃがさんが当時よく話していた売上の目標や実現したい世界観にも、心から届いてほしいと思っています。
社外取締役の役割は、「彼がもともと考えていたこと」を思い出させること
広報:実際に社外取締役として、どんな関わり方をされているのでしょうか。
立花:私が一番役に立てているのは、たぶん私が特別に賢いことを言うからではないんです。社長というのは自分が経営している会社だからこそ、考えが混乱しやすいんですよね。
広報:混乱、というのは。
立花:簡単に言うと、来月の売上の話と、3年後の売上の話が混ざるんです。本来はどちらも追いかけるものですが、どうしても手前の短期的なほうに考えが寄っていく。
だから、私が3年後のことを代わりに考えているというより、「彼がもともと考えていたこと」を思い出させているイメージですね。以前は将来の話をしていたのに、急に短期のために別のことを始めようとする。「あれ、それって合っているんでしたっけ?」と聞く。そのループです。
広報:短期でキャッシュが入る話に手を広げようとする、みたいなことでしょうか。
立花:そういうことも含めてですね。何でも決断が速い人なので、たとえば友達がラーメン屋で儲けていたら、ラーメン屋をやりたくなってしまうところがある(笑)。それを止めるのが私の役割かもしれません。
ただ、make standardsの本業のビジネス構想の話をしているときは、これまでの経験もあるし、お客様とも話していて現場感もある。だから大体ずれたことを言わないんですよ。聞いていて「そんなに外していないな」と思う。だから基本は、聞き役でいることが多いです。
広報:社外取締役になる前から、そういう会話をされていたんですか。
立花:していましたね。その頃から印象に残っていることが2つあって、1つは、人に本当に優しいということです。
従業員や関わっている人に対する責任感が強くて、しかも細部まで把握した上で「この人の人生をどうしよう」というところまで真剣に考えている。人へのコミットがとても強い人です。
広報:それは、立花さんが社外取締役として関わる前からずっとなんですね。
立花:ずっとです。このインタビューの前日もじゃがさんと会っていたんですが、まさにその類の話をしていました。これは働く側からすればもちろんいいことですが、ちょっとドライに言うと、じゃがさんが疲れてしまう。だから「そこまで背負うと、あなた自体がもたないよ」と言って、バランスを取る役回りをしてきた感じですね。
広報:そうだったんですね。もう1つは何でしょうか。
立花:事業環境が大きく変わった時期の話です。数年前、それまでの前提が通用しなくなってビジネス構造を大きく転換しなければいけない局面がありました。かなりしんどそうでしたよ、じゃがさんは。会社が傾くというような話ではないんですが、ビジネスが勢いよく伸びている状態からそうなると、精神的には堪えるものなので。
ただ、経営者として通るべき道でもあります。そして、じゃがさんのそのときの行動量が、とにかく異常だったんです。私も何人かお客様を紹介したりしましたが、それ以上にとにかく自分で動いて、新しいお客様をつかみにいっていた。スイッチが入ったときのあの勢いは、今でも強く印象に残っています。
経営者としての強み①:意思決定が、とにかく速い
広報:経営者としてのじゃがさんは、どのように見えていますか。
立花:良くも悪くもですけど、意思決定力がありますよね。特に、意思決定のスピードが速い。これが一番の特徴だと思います。
広報:立花さんが関わってこられた他の会社と比べてもですか。
立花:創業者は総じて速いものなんですが、その中でもかなり速いです。
広報:何かエピソードはありますか。「この話をしたら、このタイミングで変えてきた」みたいな。
立花:たとえば現在強化している採用の件もそうですね。組織の右腕・左腕となる人材をもっと採用していきたい、という話になったときに、私は「ちまちま攻めても取れない。相場を大きく超える条件を出してでも、幹部クラスを取りにいくべきだ」と話したんです。
そうしたら、次の日にはもう「そうだね」となっていて、実際に動き出していました。他社で組織の責任者をやっていたクラスの人に声をかけて、条件も乗せていく方向に切り替えていた。
広報:翌日ですか。
立花:翌日です。素直さと、意思決定の速さの両方があるんだと思います。
広報:メンバーインタビューでも、社内の人から言われたことを素直に受け入れて、すぐやってしまうという話が出ていました。
立花:アドバイスしたことをそのままやってくれる人って、そうそういないですから。そこがまたチャーミングで愛されやすいところなんでしょうけど、何でも速いので、たまに危ういときもある(笑)。ラーメン屋をやろうとしたりとか(笑)。
経営者としての強み②:あらゆる約束を、覚えている
広報:スキル面ではいかがですか。
立花:いわゆる営業代理店にいるような単純な営業マンではないですよね。リクルートという大きな会社で営業部長も経験しているし、組織を伸ばさなければいけない局面で人事も担っている。だから、一般的な営業出身の経営者と比べると、仕組みを設計することや、事業がどう回っているかを見る視野が全然違うと思います。そこはリクルート時代に相当鍛えられているはずです。
ただ、それ以上に大きいのは意思決定力と、人間的に好かれることじゃないですかね。そこは私も勝てる気がしないです。
広報:「人間的に好かれる」というのは、具体的にどういうところでしょう。
立花:面白い話があって。以前、社長同士が集まる会にじゃがさんを連れて行ったことがあるんです。その場は普通に盛り上がったんですが、終わったあと二人で飲みに行ったら、「ああいう場で、俺は面白いことが言えない...」と言い出して。人見知りだから...と。入社2年目みたいな悩みを、この歳になって言うんですよ(笑)。
でも私から見ると、まったく逆なんです。ああいう場でのじゃがさんは、一流のボケなんですよ。
広報:一流のボケ、とはどういうことでしょう(笑)。
立花:5人くらいの社長が、それぞれ緊張感のある話をしている。そういうときに、一人だけとぼけたことを言う。それで場がほぐれて、全員が仲良くなるんです。あれは器が大きくないとできません。狙ってできることでもない。
そう伝えたら「そうか、俺は一流のボケか」と納得して、それ以降は面白いことを言おうとしなくなりましたね(笑)。
広報:なるほど、知らないうちに場を和ませる力があるんですね。じゃがさんが周囲から信頼される理由は、どこにあると思われますか。
立花:その文脈で言うと、じゃがさんはとてもレベルの高い約束を、ちゃんと守るんですよ。何でも約束を守る。しかも、あらゆることを覚えている。これは言葉にすると「そんなことか」みたいに聞こえますけど、このインタビューを読んでくださっているみなさんの想像を超えるレベルで約束を守る。
広報:あらゆること、というと。
立花:たとえば後輩が冗談まじりに「3ヶ月後に飲みに行きましょうよ」と言ったような、その場限りの会話まで覚えていて「そろそろ飲みに行こうか」と誘ったり。相手が何を好きで、何を言われたら嬉しくて、何を言われたら嫌なのかも把握していて、嫌がることは言わないようにしている。
これは相当高いレベルだと思いますし、私も勉強になります。さすが営業で鍛えられた人だな、と。
広報:こちらが忘れているような細かい件でも、突然連絡が来て律儀に報告してくれることがありますね。「あの件、困ったことになってしまった、ごめんね」と。
立花:ありますよね。同じことを社内にも、お客様にも間違いなくやっているんだと思います。
私も大企業の事業責任者や社長と話す機会が多いので分かるんですが、こういうものは一瞬でバレるんですよ。話し方や表情に、積み重ねがあるかどうかが出てしまう。だからこそ、お客様の経営陣からも信頼されるんだと思います。やり切る力がすごいんです。
広報:そうした資質は、事業にどう活きているのでしょうか。
立花:そのまま活きていると思いますよ。採用力と営業企画力が、お客様の事業課題を解決することに直結している。加えて意思決定が速いので、お客様から見ると、短い期間で舞台を整えてくれるという価値になる。
この3つが揃っている会社は、そう多くないと思います。

後編へ
前編では、立花さんとじゃがさんの20年以上にわたる関係と、経営者としての人物像を伺いました。
意思決定の速さ、アドバイスを受け止める素直さ、そして約束を守り切る力。社外取締役という、褒める義務のない立場から出てきた言葉として受け取っていただければと思います。
後編では、より事業寄りの話に踏み込みます。外から見たmake standardsは、他の営業支援会社と何が違うのか。AIが浸透していく時代に、営業という仕事はどうなるのか。そして、マネージャー・ディレクター以上のレイヤーでこの会社に入ると、どんな成長機会があるのか。
make standardsでは現在、マネージャー・ディレクタークラス以上のポジションで、一緒に事業をつくる仲間を探しています。まずはカジュアルにお話しさせてください。

