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“新しい当たり前”をつくる会社を、なぜ始めたのか

make standardsはなぜ生まれたのか、代表・佐藤雄希に聞く

会社の名前には、その会社らしさが出る。
特に、立ち上がってまだ間もない会社や、これから広がっていく会社ほど、「なぜその名前なのか」「なぜその会社を始めたのか」には、その会社の輪郭がよく表れると思います。
今回のテーマは、「なぜmake standardsという会社を立ち上げたのか」
代表の佐藤雄希に、社名に込めた意味から、創業時のリアル、会社として大切にしたい価値観、そしてこれから先に見ている景色まで、じっくり聞きました。
その根っこにあるのは、まだ広がりきっていない価値を、人を介して世の中に届けること。そしてもう一つは、人の可能性にきちんと向き合うこと。この二つなのだと思いました。




make standards 代表:佐藤雄希

「make standards」という社名に込めたもの

広報::今日はあらためて、「なぜmake standardsを立ち上げたのか」というテーマでお話を伺えればと思っています。まず最初に、社名の由来から聞かせていただきたいです。この名前には、どんな意味が込められているんでしょうか。

佐藤:もともと、起業する前に勤めていたリクルートで営業部長をしていた時に、「make New Standard」という言葉を部の標語にしていたことがあって。
その時やっていたのが、エアレジを含めた新規事業を世の中に広げていく仕事だったんだ。プロダクト自体を作るのは別のチームがいて、自分たちが担っていたのはプロダクトを世の中に広げていくことだったんだよね。

広報::作る側ではなく、広げる側だったんですね。

佐藤:そう。新規事業って、生まれた直後はまだ認知もされていないし、価値も十分に伝わっていない。言い方を選ばずに言えば、「いいものかどうか以前に、そもそも知られていない」状態なんだよね。
でも、そこから少しずつ広がっていって、ちゃんとビジネスとして成り立つようになっていくと、最終的には世の中の当たり前になる。その過程がすごくおもしろかったんだよね。

広報::なるほど。「新しい当たり前をつくる」という感覚ですね。

佐藤:まさにそうで。
それで独立する時に、その時の感覚を社名にも込めたいと思って、「make New Standard」をもとにして「make standards」という社名にしたんだ。
“New”も“Standard”もどちらも新しさを含んでいるので、少し言葉を整理して、複数形にした形。自分としては、ひとつの正解を押し付けるというより、いろいろな新しい当たり前をつくっていく、という感覚のほうが近かった。だから“standards”なんだよね。

広報::最終的に社名を決めたのが銀座のスナックだったと以前聞きました(笑)。

佐藤:そうなんだよね(笑)。
「独立するんだよね、じゃあ会社名どうする?」みたいな話を仲間と飲みながらしていて。みんなとわいわい話しながらその場で決めたんだよね。
かなりラフに聞こえるかもしれないけど、自分の中ではこの名前に込めたい思い自体は一貫してあって。最初は自分のニックネームを社名にするとかアイディアもあったんだけど、やっぱり自分がやりたいことや、もともと持っていた考え方をそのまま乗せられる名前のほうがよかったんだよね。


創業のきっかけは、きれいな理想より「自分で決めたい」だった

広報::いまの話だと、社名にはかなり明確な思いがあった一方で、創業自体は最初から綺麗に設計されていたわけではなかったみたいですね。

佐藤:そうだね。正直に言うと、最初から「こういう会社をつくるぞ」「こういう業界課題を解決するぞ」と、すごく明確な問題意識があって始めたわけではなくて。

むしろ大きかったのは、自分で決めたいという気持ちだった。
リクルートで部長をやっていた時、かなり大きな裁量を持たせてもらっていて。採用もある程度自由にできたし、社員の評価基準をつくるようなことにも関わらせてもらったんだよね。感覚としては、子会社の社長のような動きをさせてもらっていた。それがすごく面白かったんだよね。

自分で判断して、自分で責任を持って、人を採用して、組織をつくって、事業を前に進める。そういう働き方が、自分にはすごく合っていたんだと思う。

会社をつくると決めたのは設立の2〜3週間前くらい。だから、創業時に壮大な理想の会社像があったわけでもなく、自分の求める働き方を実現したいということ。
良くも悪くも、かなり現実的なスタートで、最初に決めていたのは、一緒にやる仲間をちゃんと食べさせること。そのくらいだったと思う。



何をやるかより先に、まず始めた。創業初期のリアル

広報::創業期って、実際はどのような感じだったんですか。

佐藤:今振り返ると、本当に“ひとまず始めただけ”という感じだった。
「 独立します」と周りに挨拶にまわっていたら、ありがたいことに仕事の相談を多数いただいたので、それを受けながらやっていた。最初から「営業代行をやる」と決めていたわけでもないし、「この事業モデルでいく」と決めていたわけでもない。
とにかく、いただいた仕事に応えながら、会社として形になっていった感じだね。

広報::最初から理想像があったわけではないぶん、かなり手探りだったのでしょうか?

佐藤:そうだね。設立して最初の1カ月くらいは、あいさつ回りみたいなことをずっとやっていた。前職からの引き継ぎが大変すぎて、辞める時に十分にご挨拶できていなかったので、独立後に一日5〜7件くらい対面で会って話して、近況を伝えて、今後どうするかを考えていた。

その中で仕事がつながり、少しずつ人も増えていった、という流れだね。
 2018年に会社をつくって、その後しばらくは本当に必死だった。途中でコロナもあって、「会社終わるかも」と思った時期もあったし、どんな会社にしたいかを悠長に考えていられる状況ではなかった。

だから今のmake standardsを見て、「最初から全部描いていたのか」と言われると、全然そんなことはなくて、むしろ、走りながらできていった会社だね。



営業を“売る仕事”ではなく、“価値を広げる仕事”だと思っている

広報::その中で、今のmake standardsの核になっている営業支援の考え方は、どう形成されていったのでしょうか。

佐藤:自分の中では、営業って単に“売る仕事”じゃないと思っていて。
まだ必要だと認識されていないものに対して、「実はこれって必要なんです」「これって価値があるんです」と伝えて、相手の認識を変えていく。その結果として発注が生まれたり、サービスが使われたりする。
つまり営業って、価値を広げていく行為だと考えているんだよね。

広報::その延長線上に「当たり前=スタンダードになる」があると。

佐藤:そう。
営業が介在することで、まだ知られていないサービスが広がっていく。その先に、そのプロダクトやサービスが世の中の当たり前になっていく。
自分はその“ゼロから広げていく過程”に強く魅力を感じてきました。だから、営業代行にこだわっていたというより、新しい価値を広げていくこと自体が好きなんだと思う。



新規事業を広げる面白さは、「営業の価値」が見えやすいこと

広報::特に新しい事業を広げることに強く魅力を感じている、という話もありましたよね。

佐藤:そうだね。よくリクルートは営業が強い会社だと言われるんですけど、自分はどちらかというと、リクルートは企画が強い会社だと思っていて。商品企画、事業企画、組織設計、営業の仕組みづくりまで含めて、全部すごく強い。

営業は、その強い企画の上で価値を発揮している部分も大きいと思っている。だから、営業だけが偉いとも思わないし、企画だけが偉いとも思わない。役割分担の話だと思っている。

その中で、新規事業って、広がるか広がらないかがすごくわかりやすくて。
既に認知がある大きな事業をさらに伸ばしていく面白さももちろんあるんですけど、新規事業はまだ認知もないし、商品力の評価も定まっていない。その状態から広げるので、「営業がいたからここまで来た」という手応えを感じやすい。
そこがすごく面白かった。

広報::なるほど。単に数字が上がったというより、「広げる側の価値」が見えたわけですね。

佐藤:そうだね。
新規事業をつくる場合、プロダクトをつくった人に注目が集まりやすいけれど、広げる人にもちゃんと価値がある。そこは今もずっと思っている。
だからmake standardsでは、「事業をつくる人」だけではなく、「事業を広げる人」にもちゃんと光が当たるような仕事をしたいんだよね。



会社のあり方として大事にしたかったのは、「人に向き合うこと」

広報::make standardsの軸は「事業を広げる」だけではなくて、人への向き合い方もかなり大きいなと感じます。

佐藤:そうかもしれない。
世の中に対して大きな問題意識を掲げて創業したわけではない、とさっき話したけど、会社のあり方として大事にしたいことはどんどん明確になってきていると思う。
その中でも最初から大きかったのは、人にちゃんと向き合える会社でありたいということ。

人って、人生の中で働く時間が一番長いじゃない?なのに、転職の時って、上司や会社に本音で相談できないことが多い。自分もそうだった。上司には深い相談はせずに、自分自身で考えて、辞めると決心した後に伝えた。それぐらい自分の中で強い覚悟で決心しないと辞められないという気持ちもあって。

でも後から振り返ると、それってお世話になった人や会社と、人としてちゃんと向き合えていなかったな、という感覚が残ったんだよね。

広報::それはすごくリアルな感覚ですね。

佐藤:メンバーが辞める時も同じ。「次の転職先としてXXXに決まったので辞めます」と、全部決まった後で聞くことが実際は多い。仕方ない面もあるんですけど、やっぱり少し寂しい。

定年までずっと同じ会社にいる時代でもないし、リクルートも転職者がすごく多い会社だったし、これから時代としてもっとそうなっていくと思う。だからこそ、「この人がどうありたいのか」「どういう働き方がその人にとって幸せなのか」に、ちゃんと向き合える会社のほうがいいと思っているんだよね。



リクルートで見た「人にチャンスを渡す文化」が原点にある

広報::その感覚の根本としては、やはりリクルート時代の経験が大きいんでしょうか?

佐藤:かなり大きいと思う。リクルートで働くのは本当に楽しくて、一緒に働く人たちも本当に好きだったんだよね。もちろん大変なこともたくさんあったけれど、自分がいたリクルートにはおせっかいな人が多かったし、人にチャンスを渡す文化があった。学歴や社歴だけで判断するのではなく、「やってみろ」と任せる空気があったんだよね。

もともと自分自身にも「成り上がりたい」みたいな気持ちが強かったので、そういう空気はすごく気持ちよかった。
もちろん「全員に機会を与えれば全員が伸びる」という単純な話ではないし、結局はその人の素養や努力もある。でも、それでも最初から可能性を閉じるのではなく、まずチャンスを渡す会社のほうがいいと思っているんだよね。

広報::その人がどこで輝くかは、本当にわからないですからね。

佐藤:そう。
お金を稼ぐことだけがすべてでもないし、肩書きだけが成功でもない。どんな働き方でも、どんな生き方でも、その人が「これが自分にとっていい状態だ」と思えているなら、それは価値のあることだと思っている。

だからmake standardsでも、単に成果を出せる人を集めるだけではなく、その人のあり方や幸せにちゃんと向き合える会社でいたい。そこはかなり大事にしている。



作ってから変わったこと。回り道をして、また「人」に戻ってきた

広報::創業後に考え方が変わったことはありますか。

佐藤:たくさんあるよ。
事業的に言うと、最初はスタートアップ案件を受けて、支援先が上場していくことで「make standardsに頼めば伸びる」と言われるような、いわば『上場請負会社』みたいな立ち位置も考えていた。
でもそれは現実的に難しかった。支援の仕方、お金のもらい方、ストックオプションの扱いなど、いろいろ考えると綺麗には回らなかったんだよね。

広報::なかなか理想通りにはいかなかったんですね。

佐藤:そうだね。それからもう一つ、育成に対する考え方も変わったかな。
リクルート時代は、育成ってすごく大事だと言っていたんだけど、独立してからは余裕がなくて、どうしても目の前の売上や利益を優先してしまう時期があった。

育成の成果って中長期で返ってくるものなので、創業期の苦しい時期には、そこまで思い切って投資できなかったんだよね。
でも、最近またそこに戻ってきていて。
やっぱり人が商品でもあるし、人を大事にしたいという気持ちは変わっていなかった。だから結局、育成と採用が大事だよねというところに最近は戻ってきている。

遠回りはしたけれど、会社として何を大事にしたいのかを改めて確認した感じだね。



make standardsがこれから目指す場所

広報::最後に、これから先のmake standardsについて聞かせてください。

佐藤:今やっている営業支援はもちろん、人に向き合う事業の一つとして人材紹介事業も始めていきたいと思っている。

ただ、それだけで売上が100億円を超えるような会社になるとは思っていないし、営業代行だけだと利益率の面でも限界がある。だから先々では、自分たちで新しい事業をつくることも必要だと思っているし、ITに限らず、何かしらの新しい挑戦はしていくつもり。

何をやるかは変わるかもしれないけど、人を介して価値を返す仕事をしていきたい、という軸はずっとあると思う。
営業代行も人材紹介も、その延長線上にある。これから先、新規事業やM&Aなど全く違う業態に挑戦するとしても、根っこにあるのは、人の可能性を信じること、人を介して価値を広げることだと思う。

広報::どんな人と一緒に働きたいですか。

佐藤:自分の可能性だけじゃなくて、他人の可能性も信じられる人かな。
人ってもっとできるかもしれないし、今の延長線上だけじゃない未来もある。その前提に立てる人と一緒にやりたい。
make standardsという会社も、そういう前提に立つ会社でありたいと思っている。



おわりに

make standardsの創業は、最初からきれいにデザインされた物語ではありませんでした。
「こういう社会課題を解決するために始めました」というような、整理された始まりではなかったと思います。
でも、そのリアルさがこの会社らしさでもあるのだと思います。

自分で決めたい。
まだ広がっていない価値を広げたい。
そして、人の可能性にちゃんと向き合いたい。

その思いが少しずつ重なりながら、make standardsという会社の形ができてきた。今回の対談を通して、そんな思いが見えてきました。

「新しい当たり前をつくる」
それは派手なスローガンではなく、make standardsがこれまでやってきたことでもあり、これから先も向き合っていくテーマなのだと思います。

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