経験価値で脱コモディティ化する方法|経験経済・シュミットSEMで「価格競争」から抜け出す
コモディティ化で一番つらいのは、がんばって品質を上げても価格でしか比べられなくなることです。
この状態から抜ける最短ルートは、「機能」ではなく「経験価値」で選ばれる軸をつくること。結論から言うと、顧客の購買前・購買中・購買後に起きる体験を設計し、再現性のある仕組みに落とし込めば、脱コモディティ化は進みます。
マケメモ編集部では、ペット業界を含む“似た商品が並びやすい市場”の相談を多く見てきました。共通して効いたのは、イベントを増やすことではなく、「このブランドで買う意味」を体験として固定することでした。
経験価値と脱コモディティ化を一言で言うと
経験価値とは、商品やサービスに触れたときに生まれる「個人的な出来事」です。
ポイントは、購入の前後も含めて、企業がつくる刺激に反応して起きるという考え方です。
脱コモディティ化とは、比較の土俵を変えることです。
機能やスペックの横並びから離れて、「そのブランドである理由」を別の次元でつくります。経験や情緒といった高い次元の価値が必要になる、という整理がここに入ります。
経験経済とは|価値が「モノ」から「経験」に移る背景
経験経済は、価値が「コモディティ→製品→サービス→経験」へと進むという見立てです。
経験は差別化しやすい。だから価格も守りやすい。
さらに実務で役立つのが「4E」という考え方です。
経験は、教育(学ぶ)・娯楽(楽しむ)・脱日常(没入する)・美的(空間や世界観に浸る)の4領域が組み合わさって成立する、という整理です。
ここが競合記事でよく補足される点です。
SEMだけだと「どんな体験か」は語れるのに、「体験の型」まで落ちないことがあります。4Eはその穴を埋めるフレームになります。
経験価値マーケティングの基本|シュミットのSEMとExPro
経験価値マーケティングは、顧客の感覚・感情・思考・行動・関係を刺激して価値をつくる発想です。
シュミットは経験の種類を5つに分類しています(SEM)。
SENSE:五感を刺激する
FEEL:気分や感情を動かす
THINK:考えさせる、気づかせる
ACT:行動やライフスタイルを変える
RELATE:他者や文化とのつながりを生む
そして「経験は偶然ではなく誘発できる」という前提に立ち、刺激の手段(ExPro)も整理しています。
コミュニケーション、アイデンティティ、製品、コ・ブランディング、空間環境、ウェブサイト、人
ここで大事な注意点があります。
研究上、経験価値の代表事例はサービス業に偏りがちで、モノの領域に落とすのが難しいと言われます。だからこそ、製品でも「刺激をどこで出すか」を設計して補う必要があります。
競合より一歩進む補完ポイント|CX指標と価値共創
CXと「測る」問題を避けない
経験価値は雰囲気の話で終わりがちです。
だから競合は「CX(顧客体験)」や指標に触れます。
最低限、次の3つは押さえると実務が動きます。
・NPS:おすすめ意向でロイヤルティを測る
・CSAT:満足度(直後の体験の良し悪し)
・継続率、リピート率:行動で答え合わせする
価値共創は「参加の設計」
価値共創は、企業が一方的に価値を渡すのではなく、顧客が使う中で価値が立ち上がるという見方です。
サービス・ドミナント・ロジックでは「顧客は常に価値の共創者」と整理されます。
ただし、ここから先は推測も入ります。
現場で成功しているケースは、だいたい「顧客が参加できる余白」を意図的につくっています。コミュニティ、カスタマイズ、投稿、レビュー設計などです。
経験価値で脱コモディティ化する実務手順
ここからが、検索意図として一番知りたい「やり方」です。遠回りせず、手順で書きます。
1)まず「誰の」「どの場面」を決める
経験は全部を良くできません。
購買前、購買時、購買後のどこで勝つかを決めます。
基準(編集部で推奨)
・比較が起きる瞬間を選ぶ(カート前、来店直前、初回使用1週間など)
・離脱が多い地点から着手する(ここはデータで決める)
2)勝ち筋のSEMを1つに絞る
5つ全部は無理です。
最初は「主役SEMを1つ、補助SEMを1つ」くらいが現実的です。
例(ペット業界)
・サプリ:THINK(納得できる根拠)を主役、FEEL(安心感)を補助
・トリミング:SENSE(香りや触感)を主役、RELATE(スタッフとの関係)を補助
3)ExProで「刺激の出し方」を設計する
同じFEELでも、広告で出すのか、接客で出すのかで結果が変わります。
ここを具体化すると再現性が上がります。
例
・ウェブ:診断コンテンツでTHINKを誘発
・同梱物:初回の不安をFEELで潰す
・人:購入後7日目にフォローメッセージでRELATEを作る
4)4Eで「体験の型」を整える
最後に4Eで抜けを点検します。
娯楽だけだと一発屋になりやすい。教育だけだと堅くなる。美的がないと世界観が残らない。脱日常がないと“わざわざ感”が弱い。
基準(チェック用)
・Education:顧客が何を学べるか
・Entertainment:体験が楽しいか
・Esthetic:場やデザインが記憶に残るか
・Escape:日常から切り替わる瞬間があるか
5)測定して、1点だけ改善する
NPSや継続率など、最初から完璧は無理です。
1回の改善で動かすのは「1つの接点、1つのSEM」だけ。これが現場で回るコツです。
よくある失敗と注意点
注意点1:体験を盛って、オペレーションが崩れる
経験価値は現場負荷が上がります。人が詰まると逆効果です。まずは提供可能な水準で設計します。
注意点2:世界観だけ作って、意味が伝わらない
SENSEやEstheticだけだと、かわいいで終わります。THINK(納得)かRELATE(関係)を足すと継続しやすいです。
注意点3:イベント依存で終わる
単発の体験は、体験後に“戻る場所”がないと積み上がりません。購入後の体験(同梱、フォロー、コミュニティ)をセットにします。
経験価値で脱コモディティ化する最短ルート
経験価値で脱コモディティ化するには、「商品を良くする」だけでは足りません。
購買前・購買中・購買後の体験を設計し、SEMで狙う経験を絞り、ExProで刺激の出し方を決めます。
さらに4Eで体験の型を整え、NPSや継続率で測って改善します。
価格競争から抜けるコツは一つです。
比較される土俵を、経験価値の土俵にずらすこと。これが経験経済時代の王道です。
動画で学ぶ
https://www.youtube.com/watch?v=tZ5-qtRiyIk
