意見は一方だけでなく両方がいい『自慢話でも武勇伝でもない「一般男性」の話から見えた生きづらさと男らしさのこと』を読む
私が生まれ育った場所は、男尊女卑と家父長制がスタンダードな土地で、それなりにしんどい人生でした。
その後、自立した人間になろうと高専に進学するも、今度は友達だと思っていた男子からしんどい扱いを受けることも多く、
昨今の「ジェンダー論」について共感しています。
しかし、
一方で男性の友人たちの中には「男らしさ」「男性社会」にしんどさを感じている人も多くて
私も「反転してみれば、男社会を生きるのもしんどいよなあ」と感じています。
ジェンダー問題を扱うと感情的な対立構造になりがちなんだけど、平行線にしかならない議論に違和感もある。
前段が長くなってしまいました、以下感想です。
ジェンダー論の書籍は女性作者が多いので、男性サイドの意見をライトに読みたいと、この本を読みはじめました。
とはいえ、この本の著者の清田隆之さんは、恋バナ収集ユニット「桃山商事」のメンバーなので、女性視点の見知がある方なのですが。
語りおろしで書かれた10人分の個人史は、読んでいて時に重く、時にしんどく、ページをめくる手も遅くなります。
ただ、どの方の話も多層的で複雑、人が小さな出来事の積み重ねでできていることを実感しました。
一人称で語られる話の中に登場する描かれることのない女性や家族の言い分に思いを馳せます。
そして、彼らが語る経験は、「女性であっても同じような人はいるよなあ」とも思いました。男だけに発生する物語ではないような。
ただ、彼ら(彼女ら)が苦しんでいるのは、個人的な感情を社会という入れ物に入れた時に、常識とか慣習だとか社会が用意した間仕切りによって、収まらずにあふれ出したり、窮屈で息苦しかったりするからなのかもしれないと思うのです。
この社会の間仕切りは、男女によって違う形なのだということ。
男女問わず、その社会に居心地の良さを感じる人もいれば、それがしんどい人もいる。そういうことなのかも。
あと、気づきとしては、学生時代の男子グループの一発逆転のチャンスに「おもしろ」があるということ。
運動も勉強も苦手、かっこよくなくても、クラスで「おもしろい奴」と認められたら一発逆転できる。それについて「売れっ子芸人を目指してM-1に出場 おもしろい男になりたい! 顔もキャラも『普通』だけど」の章を読んで発見がありました。
学生時代の女子グループでも「おもしろ」は人気につながるけれど、「おもしろ」だけでは、スクールカースト上位にはくいこめない…と思う。
この章を読んで、お笑い芸人の学生時代トークに感じていたひっかかりが飲み込めたような気がします。
この本の「おわりに」で、清田さんは友人の花田菜々子さんへの謝辞が掲載されていました。
この本、中古で買ったのですが、本の間に2022年に閉店した「HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGE」のしおりが入っていました。
本の発売当時、花田菜々子さんはHIBIYA COTTAGEの店長として働いていたはず。HIBIYA COTTAGEは、私にとって「いつか行ってみたい本屋」のひとつでした。
思いがけず、一冊の本をきっかけに、もう行くことはできない憧れの本屋とつながった感覚。
そして、HIBIYA COTTAGEで、この本を買った前の持ち主にも思わず想いを巡らせてしまいました。
お仕事用の課題図書がたまっているので、これからしばらくはそいいう本が続くと思います。
※ 花田菜々子さんは現在、高円寺で蟹ブックスを経営していらっしゃいます。
普段は、静岡県御殿場市で私設図書館の運営をしています。
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