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田んぼの景色とおばあちゃん

466文字
所要時間:声に出すと約2分
読み手人数:1人



「田んぼの香りがする」

風に含まれた
独特の土の香りを感じて、
思わず声を発していた。

香りは一瞬にして、
懐かしい記憶を呼び起こす。

泥に隠れて
見つけにくいカエルも

目を凝らさないと分かりにくい
オタマジャクシも

本当に目を回せるのかと
指を差し出したトンボも

この香りの中で探し、見つけ、追いかけた
まるで絵本のような思い出。

ふと、笑顔のおばあちゃんの顔を思い出した。

夏休みにやって来る私たちのために
何組もの布団を干しては 敷き
たくさんの食材を買い込んで
部屋をキンキンに冷やして準備して

それなのに 自分はというと

私たちの車が到着するのを
家の外の道路にまで出て
ひたすらに待っていてくれた
おばあちゃん。

もっとたくさん、話を聞いておけば良かった。
この風景になっていくまでの時代を。
おばあちゃんが育ってきた、これまでの景色を。

いつの間にか私は、
残していく側になっていたのだから。

青空には白い入道雲

さわさわと風にそよぐ稲穂は
まだ眩しい緑

これから、頭を重くもたげ
金色に変わっていく
季節の移り変わりを眺めながら

私の見た景色を
語り継いでいこうと決めた
ある夏の午後のはなし。




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