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土地に呼ばれた話

現在、トランジットの水星が逆行している。
そのせいなのか、それとも、ここ最近ずっとサターンリターン(以下、SR)の記事を書いていたからなのか・・・。
ふと思い出したことがある。

今から28年ほど前、私が1回目のSRを迎えた時、お気楽な独身生活を強制終了させられ、自活することになった。
一人暮らしの予備知識も無ければ、前もって物件探しをしていた訳でもない。とにかく青天の霹靂のような展開で、一人暮らしをスタートさせた。

家賃、間取り、周辺環境、通勤時間やルートなど、自分なりの条件を挙げ、限られた候補の中から何とか部屋を決めた。
〇〇沿線の人気エリアに住むとか、デザイナーズマンションに住むとか、そんな憧れを持つ余裕は無かった。

ただ、「一日も早く実家を出たい」

その一心で決めた、人生で初めての自分だけの城。
城と言っても、6畳とダイニング、風呂・トイレ別の小さなアパートだった。

一人暮らしを始めて間もなく、母が部屋を訪ねてきた。
何を話したのかはほとんど覚えていない。
でも、一つだけ、今でも忘れられない言葉がある。

「引っ越し先の住所を聞いて、『ああ、ここなら大丈夫だ』と思った。あんた、自分が生まれた産院の近くだって覚えてたんだ?」

私も妹も同じ産院で生まれている。
妹の出産前後に、母に連れられて何度かその場所へ行ったことがあったかもしれない。
でも、当時4歳だった私がその場所を覚えていたとは思えない。

仮に覚えていたとしても、父と喧嘩をして実家を飛び出すように部屋を探していた時、その記憶を頼りに物件を選ぶだろうか。

母の話を聞いて、私は


「この土地に呼ばれたんだな」 


と思った。


産院と私のアパートは徒歩5分ほど。
さらに少し歩くと、私には記憶が無いものの、写真だけが残っている七五三をした神社もある。

一人暮らしを始めてすぐ、両親にあれこれ言われることのない生活は、驚くほど自由だった。

「もっと早く自活していれば良かった。」

そんなことまで思うようになった。
今振り返ると、あの土地に守られているような安心感が、私の背中を押してくれていたのかもしれない。

現在、水星は蟹座で逆行している。


水星逆行は過去を振り返ること、そして蟹座は家族や故郷、安心できる場所を象徴するとされている。
だからなのか、それとも単なる偶然なのかは分からない。
ただ、今回思い出したこの出来事は、トランジット水星逆行(蟹座)が象徴するとされるテーマと、不思議なくらい重なっていた。


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