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018.櫻坂46「The growing up train」─「Start over!」の旅の終着と新たな出発─

櫻坂46の14thシングル「The growing up train」において、藤吉夏鈴が再びセンターに立つ。この事実は、グループの物語における極めて重要な節目として立ち現れている。
彼女が初めてセンターを務めた6thシングル「Start over!」から数えれば約2年半。本作は、あの時彼女たちが叫んだ「やり直し」と「解放」の旅がたどり着いた、一つの大きな「終着点」であり、同時に新しいフェーズへの「出発点」でもある。

「Start over!」は、閉鎖的な会議室という空間で、既成概念や抑圧された感情を爆発させるような「破壊的なエネルギー」が象徴的だった。歌詞でも「いつかの自分をやり直せ」と、過去への決別と衝動的な再始動が歌われていた。
それに対し、今作ではその衝動が「成長」という形に昇華されている。

まず注目すべきは、歌詞における「認識のアップデート」である。
「空の色はきっと青だと思い込んでいないか?」という問いかけは、外側のルールを壊す段階から、自分自身の内側にある「当たり前」を再定義する段階へと進化していることを示す。
かつての彼女たちが「暗闇の中で手探り」をしていたのに対し、今作では「長いトンネルを抜け、眩しい光が差し込む出口」にたどり着いたことが、歌詞の中で明確に示されている。

この「明転」は、MVの演出にも色濃く反映されている。
冒頭こそライブ会場を彷彿とさせる暗がりのなかで始まるが、楽曲が展開するにつれて映像全体が光に満たされていく。これは、暗い室内で燻っていた内省的なエネルギーが外の世界へと解放され、開かれた場所へと躍り出たことの視覚的に示すものになっている。

MVにおける特徴の1つは、サテン生地のターコイズブルー一色に統一された衣装である。
近年の櫻坂46の表題曲MVで見られた複数の衣装チェンジをあえて排し、最初から最後まで一着で通すという演出は極めてストイックだ。この「一着の潔さ」は迷いの時間を終え、一本の線路(Tracks)を迷いなく突き進むという覚悟の表れに他ならない。
ターコイズブルーという、純粋な青(既成概念)とは異なる「自分たちの色」を纏い、サテンの光沢がトンネルの影と外の光を交互に反射させる様は、彼女たちが歩んできた苦難と栄光の軌跡を象徴している。

そして、その中心にいる藤吉の「笑顔」が楽曲の文脈を決定づけている。
かつての彼女が見せた笑顔が「狂気」や「不敵な解放」の象徴だったのに対し、今作で見せる笑顔は穏やかで、孤独やジレンマさえも「生きる素晴らしさ」の一部として受け入れた「受容」の笑顔である。
一対多というグループの根底にある伝統的な構図はそのままに、センターと周囲が「共鳴」しているように見えるのは、彼女が周囲を照らす「光」としての強さを手に入れたからだろう。

この疾走感溢れる楽曲と、一着の衣装で踊り切る力強いメッセージを携えて彼女たちが向かう先は、4月の国立競技場「5th YEAR ANNIVERSARY LIVE」である。「Start over!」で一度立ち止まり、ゼロから走り出した彼女たちが5周年という節目に「大人への階段」を上り、国立という巨大な舞台に立つ。
もしあのターコイズブルーの衣装が、夜のスタジアムの照明に照らされ、何万もの視線を一身に集めるならば、それは一つの物語の完結として、これ以上ないほど美しい情景になるだろう。

「The growing up train」は、かつて迷いの中にいた少女たちが自分たちの足で列車に乗り込み、目的地を見据えたことを告げる一曲だ。
その列車が国立競技場という「広大な駅」に滑り込む時、櫻坂46は真の意味で「やり直し」を終え、誰も見たことのない新しい空の色をそのスタジアムに映し出す。
これこそが、藤吉夏鈴が再びセンターに立つ意義であり、櫻坂46の新たな旅立ちを象徴しているのではないだろうか。

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