ふぃり夫さんアドベンチャー・その2
『抱腹絶倒、驚天動地のSF冒険ギャグ小説』
【作:ママンマフィン(旧名・トリケラ河井】
【第2話:ヤスさんの困惑】
「うわぁぁぁーー!」
ふぃり夫さんは悲鳴と共に、UFOに吸い込まれてしまった。
そしてUFOは弾むようなジグザグ飛行を繰り返し、最後は
びよょょーーんと跳ねるように空高く上昇すると、あっという間に
何処へともなく飛び去って行った。

「ふ、ふ、ふぎゃぁーーっ!」
その様子を一部始終見ていた、ふぃり夫さんのセールストーク相手の
三毛ネコが、有栖堂家電の広告看板の下で目を丸くし、毛を逆立てていた。
そしてUFOが飛び去ると同時に看板の下から飛び出し、一目散に逃げ出して行った。
商店が立ち並ぶ路地裏には、再び静寂が訪れた。
暫くして、有栖堂の店内からふぃり夫さんを呼ぶ声が聞こえてきた。
「おい、ふぃり夫! 一体いつまで掃き掃除をしてるんだ? さっさと
戻って在庫のチェックや注文票の整理をやってくれ」
声の主は店のオーナー、ヤスさんこと安辺さんだった。
ふぃり夫さんがいつまでたっても店内に戻ってこないことを不審に
思ったのである。
だがそのふぃり夫さんはUFOにさらわれ、店先から姿を消してしまった
後である。
……返事を返せるはずもなかった。
「おい、ふぃり夫? あ、あれ? どこに行ったんだ、あいつ」
店から出てきたヤスさんは辺りを見回し、首を傾げていた。
「変だな、いつもは真面目に仕事をしてるあいつが……」
根が真面目なふぃり夫さんの勤務態度は評判が良かった。
接客態度も良く、顔なじみの客も付くほどの店員であるふぃり夫さんが、仕事をボイコットするとは考えにくい。
……きっと何か理由があるんだろう。
どっかの迷子のばあちゃんの道案内でもしてるのかもしれない。
ヤスさんはそう考えた。
店先に立ち辺りを見回し、軽くため息をつくと店内に引き返す。
「あいつのおせっかいは、今に始まったことじゃないしなぁ」
陽が高くなってきて、少し汗ばむくらいの陽気になってきた。
「……そういえば、店のトイレの調子が変になってたんだっけ。ふぃり夫に直させようと思ってたんだよ」
実はふぃり夫さんは有栖堂家電のエンジニア。
電気工事の資格なんかも持っていて、見かけよりは出来る男である。
そんな彼は今現在アブダクションの最中であり、今頃はどこで何をされているのやら。
ふぃり夫さんの行方を気にしつつも真相を知らないヤスさんは、信頼していた社員の思わぬ行動に心安らかではいられない様子だった。
「始末書でも書かせるか」
店長室に戻りデスクに向かったヤスさんは呟いた。
湯呑を手に取り、冷めきったお茶をすする。
「やはりけじめは必要だ」
そして眉間にしわを寄せ、目を閉じる。
今、有栖堂家電の中には店長のヤスさんが一人きり。
ふぃり夫さん以外の社員は、配送担当の多田さんが荷物の配達で出払っているところだった。
他に誰もいない店長室の壁掛け時計の針の音が、やたら大きく聞こえる
ほど静かであった。
それからヤスさんは、来週の広告準備のためPCの電源を入れようとした。 その時。
ぴよよ~ん! ぴよよ~ん!
店に誰かがやって来たことを知らせるドアチャイムが鳴った。
「や、もしかしてふぃり夫の奴か?」
ヤスさんの直感は見事に当たっていた。
デスク横の監視モニターには、ふらつきながら店に戻ってきたふぃり夫
さんの姿が映し出されていた。
ヤスさんは大急ぎで店長室から飛び出して行った。
無事に帰還したふぃり夫さん。
さらわれた円盤の中で何が行われたのであろうか?
第3話に続く
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