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SF掌編【ミライノカタチ】

『老夫婦』

 昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでおりまし
た。

 ある日の事、お爺さんは縁側でお茶を飲んでおりました。
 そばには三毛猫のミケが、丸まって眠っておりました。
 そこへお婆さんがやってきて話しかけるのでした。

「お爺さん、今日も元気で何よりですねぇ」
「ふむ。そうじゃな」

 眠っていたミケがうっすらと目を開け、呟きました。
『裏山に巨大隕石が墜落したにゃ』

 夫婦の暮らす家の裏山が、すべて吹き飛んでしまいました。

 次の日。

「お爺さん、今日も元気で何よりですねぇ」
「ふむ。そうじゃな」

 いつも通りのお婆さんの言葉に、いつも通りの返事を返すお
爺さん。
 
 ミケが目を細めて呟きます。
『隕石から何か出て来たみたいだにゃ』

 隕石から出現した怪生物によって、町はめちゃくちゃに破壊
されてしまいました。

 さらに次の日。

「おじ……いさん、今日……も元気で何……よりで……す」
「ふむ……そう……じゃな」

 お爺さんとお婆さんの身体の動きが体内の駆動系の
不具合の為、ぎこちなくなっていました。
 話す言葉も音声回路が接続不良を起こしたせいで、きちんと
出力する事が出来ません。 
 お爺さんの隣でミケがギギギ……と首を回し、ガラスで出来た
眼を見開きました。

『えねるぎー供給ぷらんと破損……疑似生命維持、困難。修復、
不能、AI機能低下……』

 町で暮らす人々……アンドロイドにとって、生命維持の要である
施設が破壊されてしまいました。
 大量の放射線が降り注ぎ、磁気嵐が吹き荒れました。
 AIを滅ぼす死の嵐です。

 そしてまた次の日。

 お爺さんは縁側で、お茶を飲もうとした姿勢でそこに座って
いました。
 その隣りでお婆さんが話しかけています。

「おじい……さん……おじ……い……さん……お……じい」

 お婆さんはAIによる制御を完全に失い、自動処理
された言語出力を繰り返します。
 更にお婆さんに話し掛けられても、お爺さんにはもうそれに
答えるだけの力は残ってはいませんでした。

 ミケはその手触りの良い毛皮を失い、金属骨格がむき出しに
なっていました。

 遠くで、キノコのような雲が昇る夕暮れ時の事でした。
                         (了)
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 皆さんおはようございます。(あるいはこんにちは&こんばんは)
 今週もよろしくお願いします。
 さて、今回はのっけから掌編SFを掲載しました。
 ママンマフィンの短編集に収録された作品のうち、まだこちらで
紹介していなかったお話です。

 いわゆる「破滅もの」の作品ですが、昔話形式で書いた、ちょっと
切なくちょっと変わった作品です。

 今回は自宅のAIさんに手伝いをして頂き、作品にぴったりなトップ画
を生成して貰いました。

 自作品の短編(掌編)の中で、これもかなりお気に入りの作品です。
 間接的ですが、この作品を書いたおかげで現在連載中の「サイボーグ・グラフィティ」が生まれたと言っても過言ではありません。
 noteでまだ未公開の作品が幾つかありますので、機会があればまたこちらに転載して、皆さんにご紹介したいと思います。

 この作品を読んだ感想、評価などコメントして頂けると幸いです。
 作者今後もますます張り切ります。

 それでは、また!

『こちらの作品もよろしくお願いします』




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