ラテンの宴 20250315 「Disco+Latin」
横浜は関内、吉田町の新進の音楽スポット「Listen」にて実施した
「ラテンの宴(エン)」の音楽紹介コーナーのテキストです。
今回(vol.46)のテーマは「Disco+Latin」
単にラテンディスコの音源を紹介してもつまらんので「Discoの踊りやすさってなんだろう?」という視点から3つのポイントをピックアップ、そのポイントの濃淡にて音楽がどんな風にかわるのか?ってのを聞いて考えてもらいました。
前半はその3つのポイントの極端な例を挙げて「踊りやすいってなに?」「ポップっなに?」ってことを考えてもらうコーナー。
後半は純粋にラテンディスコの紹介。(まんぼばかクラッシックばかり)
【前半】

まずは問いかけ。
ディスコミュージックって基本的にはだれでも踊れる。
でも何で誰でも踊れるんだろう。
毎週クラブ行ったりDJしてる人でも、当たり前過ぎて考えることも無かったと思う。
でもサルサをはじめとする「訓練しないと踊れない」ジャンルの関係者からすると「なぜポピュラーミュージックの中には訓練不要なダンスと訓練必要なダンスがあるんだろう」って不思議になるの。

んで、いきなり答え。
(というか、まんぼばかの考え)
「おどりやすいディスコミュージックってのは、上の3つのポイントが重要なんじゃね?」と。
そして3つのポイントを強めたり弱めたりした音楽はどうなるのか?ってのを具体的な曲を聴きながら考えてみましょう!って会。
…穴だらけなのは重々承知の上です。静かな教室での講義ではなく、ダンスミュージックが流れ、寿司をほおばり、パペットを操り、酔っ払い、爆笑が起きている場での解説です。細かく詰める事は正義ではなく分かりやすさと勢い(言い切り)が正義なのです。
【1】Barry Manilow / Copacabana

誰もが知るド定番のラテンディスコ。
3つのポイントは強調されまくりです。
つまり①一定のリズムテンポ(バストラが4つ打ち)②Aメロ/Bメロ/サビ/ブレイクがハッキリ分かれていて展開がわかりやすい。③ラテン系の打楽器/ストリングス/バックコーラス等々のわかりやすく「ディスコです!」なアレンジが施されている。
耳なじみやすいし、踊りやすいし、まあ鉄板の曲です。大変重宝します。
(レコードも安いしね)
【2】Gil-Scott-Heron / The Bottle

【1】と同じような特徴をもった曲が他のジャンルでもないか?と探すとこの曲なんか引き合いに出してみてはどうか?と。
レア・グルーヴやUKジャズダンスシーンなんかでは定番のこの曲、①の等速リズムはバスドラムではなくリムショット(スネアドラムの縁を叩いてソリッドな打撃音を出す)でテンポをキープ、②の曲展開もわかりやすい。③のアレンジの部分にはディスコ感は皆無ですが、ダンストラックとしての訴求力は並のディスコより高いのではないでしょうか?
(実際リリース時にも当時のダンスフロアでカルトヒットしたようです)

今回は①②の要素に注目していろいろな音源を聞いてみます。
【3】KEZ YM / Console Swing

①の等速偶数拍子と②展開の枠だけ、③装飾的要素がほとんどない音楽もあります。TechnoやHouseといわれているものがそうかと思います。
現在ダンスフロアであそんでいる人達にとっては当たり前になっている音ですね。①②だけの音楽でも現代の耳ではポップに受け取れるのではないかと思います。
(ここのサンプルとしてはテクノ/ハウス系音源ならなんでもよかったんだけど、最近買ったこの盤がなんか良かったので紹介。)
【4】Steve Reich / Music for 18 Musicians

次に①だけの音楽、②③も殆ど無いといってよい音楽。
現代音楽のミニマルミュージックと呼ばれるものですが、この手の音楽もDJ文化を経由した耳では心地よくポップにきこえます。
DJでの「フロアーで否応なく爆音を浴びる」という体験から、非常にシンプルな音楽でも「きいていて気持ち良ければイイんじゃん」という価値観が普通になっていったんじゃないかと。
DJ文化が一般化する前はミニマルミュージックとか一部のジャーマンロックとか過度に「高尚」ととらえられていた節もあるようです。
DJが聞き方を変えたという一例じゃないかな?とおもいます。
(ちなみにまんぼばかクラッシックでよくDJで使います)
【5】富樫雅彦クインテット/情景-panorama-

次に①②③がほとんど無いといってよい音楽、フリージャズを。
視聴は2:26~から(「情景-panorama-という曲の頭を視聴」)
日本の最初期のゴッツいフリージャズを聴いてもらいました。
ジャズはアドリブの音楽、一回性の音楽といわれますが、40年代中盤にビバップが発生してからは「コード進行の中でアドリブをする。リズムはそれが行いやすいように訛りのないものとする」という不文律みたいなものがあったようで、それらを全部取っ払った表現しようよ⇒フリージャズ発生、って流れがあったようです。なもんで当然踊りやすさ(=リスナー側の理解しやすさ)なんてコレっぽっちも含まれてない音楽ができるわけです。
(だだし勢い・衝動的なものはすごくこれまでのジャズにない訴求力を誇示したとは思いますが)
【6】Aphex Twin / Bucephalus Bouncing Ball

今回講義の山場。
コレを聞いて考えてほしかった。
みなさんご存じのテクノ界の天才(にして奇人) 、エイフェックス・ツイン。ライブで自分のCDかけるだけで終わり!とかしたり、契約でお金いっぱいもろた!=>戦車買うお!って購入したり、他には…(キリないので止めます)
掲題のCome To Da… あれ?オフィシャルのページにあがってるの曲名違うぞ…おい!12inchのラベル曲名の順番違うじゃねーかよ!(さすがだよ…)
イベントでは「Bucephalus Bouncing Ball」という曲を視聴してもらいました。
んで
「この曲は②の要素だけなんとなく存在する感じがします。Aメロ/Bメロ的な展開があり、フリージャズと比べるとなんとなくポップに感じられませんか?どうでしょうか?」
と問いかけました。
(今回はこの問いかけを一番したかったのです。自分できいていたときに「なぜこの滅茶苦茶さでポップに聞こえるのだろうか?」という疑問が最近あって、無理やりディスコとつなげるのに3つのポイントをひねり出してきたわけです。まあ「お酒の場のお話」なのでムリクリ感、穴だらけな展開についてはご容赦下さい…)
ーーーー【休憩タイム】ーーーー

【後半】
後半はラテンとディスコが混ざったり混ざらなかったりする曲の紹介。

【7】Sonora Poncena / Vas Por Ahi

プエルトリコの老舗サルサバンド、ソノーラ・ポンセーニャ。
典型的なサルサから始まり、ブレイクでいきなりディスコにチェンジする曲。こうゆうタイプの曲は珍しいのですが、これ生音系DJでは非常に受けるんです。サルサ(リズム難いよくわからん)⇒ディスコ(わかるぅ!!!)で盛り上がるんですが、サルサダンサーに向けてかけるとまあ嫌がります…
「そうゆう変化もとめてないの…」との雰囲気を出されてフロアが死にます。
DJってムズカシイね…
【8】Larry Harlow / Digan Que Si

ラリー・ハーロウが関わったプロジェクト(?) の一枚。
ディスコのビートを基調にしながらもラテンのリズムエッセンスをうまく取り入れていて内容の濃い一枚じゃないかと思います。
週末のパーティーの香りというか、煌びやかなダンスフロアの雰囲気をまとった音ではないかと。
重く甘い香りの香水を一滴、ボディラインが見える服のオネイサンが目の前をカクテルグラス持って横切っていくような、ピンク色の意味でもワクワクするようなイベントの幕開けを想起させるよい音
【9】Chico Mendoza / I'm so Excited

個人的にはこの曲(I’m So Excited)はこの盤で知ったので、オリジナルのポインターシスターズ版よりこっちの方が良い出来なんじゃないかと思っています。DJの時には上のLarry Harlowの盤とセットで使っています。
こちらも針を落とすとフロアーに煌びやかさが充満してくる曲。
【10】Juan Pablo Torres / Raspadura Dulce

キューバの異才アレンジャー、トロンボーン奏者のファン・パブロ・トーレスのコンピから。70~80年代のキューバのポピュラーミュージックってアメリカとの国交断絶もあって相当に奇形的なものがあり、彼はその重要人物の一人なんですが、(つまり、すげえ変な音楽残してる)紹介している曲はそのなかでも割とディスコに近いものじゃないかと。
メロディラインの切なさが8月後半に殺人的に刺さるのです。
動画、ファン・パブロ・トーレスのライブ映像がありました。音質は最悪ですが、曲の雰囲気は感じられるかと。
(しかしこんな映像まであるYoutubeマジですげえな…)

イベントの様子
ラテンの宴 Vol.46 「Disco+Latin」@横浜 関内 吉田町 Listen
— まんぼばか (@mambo_ykhm) March 18, 2025
おこしいただいた方々ありがとうございました。
寿司、DJ(ラテン、ディスコ他)、パペット…といつも以上に多要素でしたが、あの場にいた方々は各々楽しんでいただけたのではと思っております。
過去最高の集客数でした。ありがとう! pic.twitter.com/zn0JHW3A5C
