#9 うつ病の僕を救った「考え方の歪みを治す方法」とは?
認知行動療法との出会い
療養生活の後半、私は「認知行動療法」という言葉を初めて耳にした。
きっかけは、YouTubeで偶然見た樺沢紫苑先生の動画だった。
「認知行動療法は、自分の考え方の歪みに気づき、それを直していく方法です」
画面越しに語られたその一言に、私は思わず身を乗り出した。
「……これって、今の自分に必要なことなんじゃないか?」
心の中でそうつぶやいていた。
不安に支配されていた日々
当時の私は、毎日が不安でいっぱいだった。
朝、目を覚ました瞬間から胸がざわざわして落ち着かない。
「もし仕事がこのまま順調にいかなかったらどうしよう」
「今月はなんとか大丈夫だけど、来月はもう無理かもしれない」
「いや、そもそも来年には自分の居場所なんてなくなってるかも……」
頭の中で、そんな声が止まらなかった。
布団に入っても心臓がドキドキして眠れず、深夜に何度も天井を見つめていた。
「どうして自分はこんなに先のことばかり気にしてしまうんだろう」
そう思えば思うほど、不安は増していった。
完璧主義に追い込まれて
さらに厄介だったのは、自分の「完璧主義」だった。
仕事で少しでも出来に納得できないと、心の中で自分を徹底的に責め始める。
「もっとできるはずだ」
「なんでこんなミスをするんだ」
「全然ダメだ、これじゃ意味がない」
どんなに努力しても「まだ足りない」と思ってしまう。
周りの人から「よく頑張ってるよ」と言われても、全く耳に入らなかった。
「みんな優しいからそう言ってくれるだけだ。本当は、ちゃんとできてないのを知ってるんだ」
そんな疑いの声まで、自分の心の中に勝手に響いてきた。
気づけば、自分で自分を追い込む毎日になっていた。
認知行動療法を知る
だからこそ、樺沢先生の言葉を聞いた時、胸に刺さったのだと思う。
「考え方の歪みに気づき、それを直す」
「……そんなこと、本当にできるの?」
半信半疑の気持ちもあったが、心のどこかで「もしかしたら救われるかもしれない」とも感じた。
調べていくうちに、認知行動療法は心理学に基づいた方法であること、実際に病院でも行われていることを知った。
でも同時に、実際に認知行動療法を取り入れているクリニックはまだ少ないこともわかった。
「じゃあ、待っていても始まらない。自分でできることからやってみよう」
そう心に決めて、私は本を探し始めた。
『こころが晴れるノート』との出会い
そこで出会ったのが、大野裕先生の『こころが晴れるノート』だった。
手に取った瞬間から、どこか直感的に「これだ」と思った。
「読んで知識を得るだけじゃなく、実際に書き込んで練習していくんだ」
ページをめくりながら、私は小さくつぶやいた。
「これは、もしかしたら本当に自分を変えてくれるかもしれない」
ワークを通じての気づき
実際にワークを始めてみると、自分の心の癖が次々と浮かび上がってきた。
「こんな状況だから、きっともうダメだ」
「いや、待てよ……もしかしたら別の見方もできるんじゃないか?」
「完璧じゃなくても、なんとかなることもあるよな」
一つ一つのワークが、自分の心に新しい声を育ててくれるようだった。
書き終えたノートを見返すと、不思議と胸の中のもやもやが少し軽くなっていた。
「……あ、ちょっと楽になってる」
そう実感できた瞬間、涙が出そうになった。
今につながる習慣
この経験は、私にとって大きな転機になった。
今でも気分が落ち込みそうになると、ノートを開いてワークを繰り返す。
「この考え方、ちょっと偏ってるかもしれないな」
「もっと現実的に見てみよう」
そんな風に自分に声をかけるだけで、心は少しずつ落ち着いていく。
完璧じゃなくてもいい。
不安を完全になくすことはできなくても、向き合う方法を知っているだけで生きやすくなる。
あの時、認知行動療法に出会えたことは、私にとって大きな救いだった。
そして今も、その習慣は私を支え続けている。
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