バンコクに誕生した世界レベルの現代アート美術館Dib Bangkok(ディブ・バンコク)
2025年12月21日、タイ最大の現代アート美術館「Dibバンコク」がバンコクにオープン。楽しみにしていたこの日、さっそく訪れました。
タイ最大と聞いてもピンと来ないかもしれませんが、Dibバンコクはタイや東南アジアという枠では収まりきらない、言うなら、世界レベルの現代アートの発信地という印象。
建物、空間、作品、キュレーション。どれもこれも上質で、洗練されたアートの中に身を置いて楽しめるすばらしい場所でした。

この日のDibバンコクはアートを愛する人たちが集っていました。
タイ国内ではすでに熱い注目を集めていたアートスポットです。待ちに待って来ましたというタイの若者やアート界隈の人たち、インスタグラムの発信を見て期待を膨らませてやってきた海外からのアート好きたち。
そしてDibバンコク運営側の人たちからも、オープニングをとうとう迎えた感動と、詰まった熱い思い、そしてこれからの希望を感じました。
Dibバンコクがここに至るまでをさらりとご紹介します。
創設者はタイで著名な実業一族のオサタヌグラ・ファミリー(Osathanugrah Family)。
アートに造詣が深く、自らもアーティストだったぺッチ・オサタヌグラ氏が、先代から引き継ぎ、自身も世界中で熱心に収集した、およそ70年間にわたる膨大な現代アートコレクションがその源泉です。
Dibバンコクではその優れたコレクションを、タイの人たちをはじめ、たくさんの人に実際に見て親しんでほしい、素晴らしさを分かち合いたい、という願いから生まれたと聞きました。
そして私財を投じて、美術館の創設を進めてきたのです。
美術館オープンへの道半ば、残念ながらぺッチ氏は天国へ逝ってしまったのですが、息子のプラット氏がその意思を引き継いで、この度のオープンに漕ぎ着けました。
そのプラット氏とともに、美術館を創るというぺッチ氏の夢を託されたのは、ニューヨークの現代アート界を牽引していた日本人キュレーターの手塚美和子氏です。
Dibバンコク館長として、膨大なコレクションである現代アート作品の管理から始まり、これほどの規模の美術館を世に生み出しました。成し遂げられたその大仕事に圧倒されてしまいます。

Dibバンコクがあるのは、チャオプラヤー川の埠頭に近い倉庫街。(最寄りはBTSエカマイ駅、徒歩18分ほど)
巨大な倉庫だった古い建物を現代の美術館の形に再設計したのは、ロサンゼルスとニューヨークを拠点に活動する「WHYアーキテクチャー」。タイ人建築家のクラパット・ヤントラサストが率いる世界的な建築設計事務所です。

力強い骨格に洗練されたアートの要素が盛り込まれた建築。どこから見てもかっこよくディテールも美しい、タイと世界と現代とレトロがしなやかに融合した建物群です。
ちなみにDibバンコクの屋外スペースは公開されていて、誰でも入れるという懐の深さ。
オープニング記念の企画展のひとつであるSHO SHIBUYAの作品が、巨大に引き伸ばされて、美術館の壁面を覆っています。圧巻、そしてきれい。

ニューヨーク在住のSHO SHIBUYA氏が毎日描くという空。本物の作品は館内で催されている企画展でじっくり鑑賞できます。

そのオープニング記念展は(IN)VISIBLE PRESENCE。美術館の3フロアを使い、40名の現代アーティストによる81点の作品を展示。素材、記憶、そして目に見えないものの間の変化する関係性を追う、という内容です。

広い空間を贅沢に使った展示。作品はどれも見応え満点。現地で楽しんでいただければと思い、詳細は書かないでおきます。
印象的だったのは、モンティエン・ブンマーをはじめとするタイ人アーティストたちの作品でした。
同じタイ人である彼らの創作を、オサタヌグラ・ファミリーは支援してきたそうです。そして彼らのために特別に用意された空間での展示。アーティストにとってどれほど幸せなことだろう、と思いながら鑑賞したのでした。
極上の現代アートを心ゆくまで楽しめる場所。本当にすばらしい美術館でした。これからバンコクを訪れる方、ぜひぜひ訪れてみてください。

Dib Bangkok
111 Soi Sukhumvit 40, Phra Khanong, Khlong Toei, Bangkok 10110 Thailand
Open Thursday–Monday 10:00–19:00
Closed on Tuesday and Wednesday
