秋ざけ三昧|酒と肴 その十
誰が言ったか食欲の秋。
季節の枕詞に三大欲求をつけるというこの画期的な発明によって、私たちは免罪符を手に入れました。おかげでこの時季は飲み過ぎても食べ過ぎても、いつもより罪悪感少なく楽しむことができます。(睡眠の春、性欲の夏なんて言葉もありそうですが、一般化すると問題が多そうなので定着しなくていいかと)
そして今ごろのスーパーは旬の食材で溢れていて、売り場を歩くと「食べて食べて」と視覚に訴えかけてきます。
野菜売り場を行けばさつま芋もカボチャも色濃く、鮮魚コーナーでは秋刀魚が銀色に輝いています。酒瓶にはひやおろし、秋あがりの言葉が並んで賑やか、まるでお店の中が色づき始めた山のようです。
誘惑だらけの店内、何を飲むか、何で飲むか考えながらうろついていると、紅葉みたくオレンジ色した秋鮭の切り身のそば、つるんと白磁のような食材が目に入りました。隣に並ぶ筋子には手書きのポップもついているのに、扱いも値段もお安い。それは秋鮭の白子、生物として妙な親近感を感じてカゴに入れます。
で、作ったのがこちら。

新鮮な白子はさっと湯がいて『白子ポン酢』に。秋の食材なので明鏡止水の秋あがりと合わせます。
おりがらみで薄くにごったお酒、爽やかな香りと酸味は秋の夜長にゆっくりと味わうのにぴったりです。だけど白子を食べる前に一口、食べながら一口、食べ終えて一口とやっていたら心地良くなり早々に入眠。夜更かしならず、思いがけず睡眠欲も満たす結果になりました。
残る欲求はあと一つですが、これは特に何もなく。翌朝、顔に吹き出物ができたくらいでした。
メニューと材料
・白子ポン酢(鮭の白子、大葉、万能ネギ、ポン酢)
酒と肴|その九 後始末の煎り豆
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