みんなが休みやすい職場なのに、時短勤務が苦しいのはなぜ?
子どものために帰れる。でも、仕事は減らない
育休中、SNSでよく見かけたワーママの姿がありました。
子どもが熱を出して、早く帰らなきゃいけなくなった時。
「すみません、先に失礼します」
そう言いながら、申し訳なさそうに職場を出る。
周りに仕事を残してしまった気がして、肩身が狭くなる。
そんな投稿を見るたび、私は思っていました。
みんなが休みを取りやすくなればいいのに。
もっと時短勤務を取る人が増えればいいのに。
子育て世帯が多い職場なら、
こんな悩みはなくなるんじゃないか。
そして育休明け、
仕事復帰と同時に今の部署へ異動になりました。
そこは、私が想像していた
「子育て世帯が多い職場」そのものでした。
パパも含めて、子どもの送り迎えをしている人が多い。
時短勤務で早く帰る人も、すでにたくさんいる。
保育園児や小学生の子どもがいる人が、
職員の半分くらいを占めています。
子どもの熱で休む時も、比較的休みやすい。
一番上の上司である課長も、親御さんの介護のために、
しばらく午前中だけの勤務にしていた時期もありました。
だから、子どものことで早退することも、
時短で帰ることも、そこまで周りに気を使わなくていい。
それは、とてもいいことです。
でも、ここで私は思うんです。
それなら、
この職場は理想の職場なのか。
みんなが目指すべき職場なのか。
周りに謝らずに帰れることと、ストレスがないことは別だった
みんなが休みやすい職場では、
早退する時に過度に謝らなくてもいい。
でもそれは、裏を返すと、
自分の仕事を誰かが代わりにカバーしてくれるわけではない。
ということでもあります。
休んだ分の仕事は、出勤した日に自分で取り戻す。
周りも時短勤務で、決まった時間に帰らなければならない。
みんな自分の仕事で精一杯です。
期限ぎりぎりの仕事の山がある。
分からないことが出てきても、
ゆっくり教えてくれる同僚を捕まえる時間がない。
一つ確認が遅れるだけで、期限に間に合わないかもしれない。
「今日は間に合わないから残業しよう」という選択肢も、
時短勤務にはありません。
保育園は、時短勤務だったらその分
早く迎えにくるように言ってくる。
上司も「早く帰って」と言う。
でも、仕事が終わらないから帰れない。
ここに、板挟みのストレスがあります。
自分だって帰りたい。
時短の分、お給料は減っているのだから。
それでも、次の日に回すのが怖い。
翌朝出勤すると、自分が帰ったあとに届いた、
要回答のチャットが溜まっている。
その返信で午前中がつぶれて、
午後からようやく本来の仕事に取りかかる。
なのに、今日も早く帰る時間は決まっている。
本来なら、1日1時間、2時間と勤務時間が短くなる人がいれば、
その時間分の仕事量も見直されるべきだと思います。
でも現実には、短い勤務時間の中で、
フルタイム1人分の仕事を抱えることになります。
みんなが時短なら、
誰かがその分をカバーすることも難しい。
特別扱いがないことは公平に見えて、
全員が苦しくなることもあります。
長期休暇なら代替の職員を雇える場合もあります。
でも、時短勤務で毎日1時間ずつ短くなった分には、
代替の人を雇えるとは限りません。
7人、8人が1時間ずつ短く働けば、
職場全体では1人分の勤務時間が足りない状態です。
それでも仕事が減らなければ、
個人が頑張って埋めるしかなくなります。
結果として、一人ひとりが
「短い時間で、フルタイムと同じ量の仕事を終わらせる」
状態になる。
給料は時短分減っているのに、仕事量は減らない。
静かに不満がたまっていく構造になっています。
時短の人が増えるほど、現場の調整役に負担が集まる
時短勤務や病気休暇の人が増えてくると、
現場を回す難しさは一気に上がります。
その時、実際に頼られるのは係長です。
係長が係員の仕事をカバーして、
優先順位を決めて、何とか回していく。
でも、その上の課長が介護や病気などで不在になれば
どうなるのでしょうか。
係長は課長の仕事まで担うことになり、
係員の仕事を助ける余力がなくなります。
助けてもらえない係員は、自分の仕事を抱え込む。
そして、係員まで倒れてしまう。
これは誰か一人の力量や、頑張りの問題ではありません。
係の中だけで助け合おうとしても、
人が足りなければ限界があります。
仕事量、人員配置、引き継ぎの仕組みまで、
会社全体で考えないと解決しない問題です。
育休が取りやすくても、引き継ぎと補充の問題は残る
男性の育休取得が進んでいることも、
とても大切な変化です。
うちの職場でも、半年や1年、
育休を取る男性は珍しくありません。
ただ、男性の育休には、
現場が急に、対応しなければならなくなる難しさがあります。
女性の場合は、産休に入る前から少しずつ仕事を調整したり、
引き継いだりする時間があります。
一方で男性の場合は、前日まで1人分以上の仕事をしていた人が、
奥さんの急な出産や入院をきっかけに、
次の日から長期で休みに入ることもある。
女性は出産予定日よりも前から産休に入りますが、
男性にはそれがないから、急な出産に備えるのは難しいです。
必要なのは「休みやすさ」だけじゃない
休みやすい職場は、大切です。
時短勤務も、育休も、介護休暇も、必要な人が遠慮なく取れるのは素晴らしいことだと思います。
でも、制度を使いやすくすることだけでは、
働きやすさは完成しないのかもしれません。
必要なのは、
・休む人がいても回る仕事量にすること
・急な欠勤でも止まらない引き継ぎの仕組みをつくること
・時短の人に合わせて業務を減らし、優先順位を決めること
・係長だけに調整とカバーを背負わせないこと
だと思います。
国が時短勤務や育児・介護のための休暇を推奨していくなら、
その前提として仕事量を減らす施策も必要なのではないでしょうか。
仕事量を減らす方法の一つとして、
私はAI活用ももっと進めるべきだと思っています。
「AIが人間の仕事を奪う」という話を耳にすることもありますが、
今の私にとっては「ぜひ奪ってほしい!」と切実に願う場面ばかりです。
議事録の下書き、情報整理、定型文の作成、資料のたたき台。
人がゼロから抱えなくていい仕事は、まだたくさんあるはずです。
もちろん、個人情報や社内情報を扱う以上、セキュリティを軽く考えていいわけではありません。
だからこそ、現場が不安なまま個人判断で使うのではなく、
会社が安全に使えるAIツールとルールを整える必要があります。
そこまで考えて初めて、時短勤務や休暇を取る人も、
支える人も、少しラクになれるのだと思います。
「みんなが休めるなら、みんな楽になる」
そう単純ではありませんでした。
でも、だからといって、
誰かが休むことを我慢すればいいわけでもない。
時短なのに仕事が終わらなくて、
お迎えの時間を気にしながらパソコンを閉じる。
帰り道も、明日やることを頭の中で並べ直している。
子どもと過ごしていても、
返していないチャットや、期限の仕事がふと浮かぶ。
「もっと要領よくできたら」
「私の進め方が悪いのかな」
そんなふうに、自分に原因を探してしまう日もありますよね。
でも、短い勤務時間の中で、
フルタイムと同じような仕事量を抱えていたら。
急な休みのあとに、自分で遅れを取り戻さなければならないなら。
苦しいのは、あなたの要領が悪いからではありません。
真面目に、ちゃんと仕事をしたいと思っているからこそ、
仕事が終わらない状態を放って帰るのが苦しいだけです。
だからまずは、
「私が何とかしなきゃ」を一人で背負いすぎなくていい。
休みやすいことと、仕事が回ることは、
本当はセットで整えられるべきものです。
今日すぐに職場の仕組みは変えられなくても、
せめて自分にだけは言ってあげたい。
「私はサボっているわけじゃない。限られた時間の中で、十分やっている」
そう思えるだけでも、明日の自分を少し守れる気がします。
もし、同じ状況の方がいらっしゃったら
コメントやスキをいただけると嬉しいです。

