叱ったあと、親のほうが気まずくなる。そんな時に考えたいこと
子どもを叱ったあと、親のほうが気まずくなることはありませんか。
言うべきことは言った。
間違ったことを言ったつもりはない。
でも、子どもが黙ってしまったり、部屋に行ってしまったり、いつもよりよそよそしくなったりすると、胸のあたりが少し重くなる。
「言いすぎたかな」
「でも、あれは叱るべきことだったよな」
「謝ったら、叱った意味がなくなるのかな」
「明日、普通に話しかけていいのかな」
そんなふうに、叱ったあとの空気に戸惑う親御さんは少なくないと思います。
宿題、テスト、直し、塾の予定、志望校。
親が気にしなければいけないことも多く、子どもに言わなければいけない場面も増えます。
だからこそ、叱ることもあります。
嘘をついた。
約束を破った。
人を傷つける言い方をした。
やるべきことをごまかした。
そういうときに、大人が何も言わないことは、やさしさではないと思います。
ただ、叱ることが必要だったとしても、叱ったあとの気まずさは残ります。
それは、親が弱いからではありません。
親子の関係を大切にしたいと思っているからです。
もし本当にどうでもよければ、気まずくもならないはずです。
「この子を傷つけていないかな」
「ちゃんと伝わったかな」
「関係が悪くなっていないかな」
そう気になるのは、子どもとの関係を壊したくない気持ちがあるからだと思います。
謝ることと、叱った内容を取り消すことは違う
叱ったあとに、親が迷いやすいことがあります。
それは、
「謝ったら甘くなるのではないか」
という不安です。
でも、親が謝ることと、叱った内容を取り消すことは違います。
たとえば、子どもが約束を破ったとします。
そこは、きちんと伝えていいところです。
でも、そのときに親の言い方が強くなりすぎた。
人格を責めるような言葉になってしまった。
過去の失敗まで持ち出してしまった。
そう感じたなら、そこだけ戻ればいいのです。
「約束を破ったことは、やっぱりよくなかったと思っているよ。
でも、さっきの言い方はきつかったね。そこはごめんね。」
これは、叱った内容をなかったことにしているわけではありません。
行動は変えてほしい。
でも、傷つける言い方になった部分は、親も戻る。
その姿を見せることは、子どもにとっても大切な学びになると思います。
人は感情的になることがある。
でも、あとから言い直すことができる。
関係を修復することができる。
もう一度、話し合うことができる。
これは、受験勉強以上に大切な力かもしれません。
すぐに仲直りしようとしなくてもいい
叱ったあと、すぐに空気を戻したくなることがあります。
親のほうが気まずくて、早くいつも通りにしたくなる。
子どもに笑ってほしくなる。
「わかった?」と確認したくなる。
でも、子どもにも気持ちを整理する時間が必要なことがあります。
叱られたあと、すぐに素直になれない。
謝りたいけれど、言葉が出ない。
自分でも悪かったとわかっているけれど、すぐには認められない。
親に何か言われたら、また泣いてしまいそう。
子どもの沈黙や不機嫌は、必ずしも反抗だけではありません。
気持ちを整理している途中かもしれません。
自分の失敗を受け止めるのに時間がかかっているのかもしれません。
だから、叱ったあとにすぐ完璧な仲直りを目指さなくてもいいと思います。
「今すぐ話さなくてもいいよ」
「落ち着いたら、少しだけ話そう」
「今日はここまでにして、明日また考えよう」
そんなふうに、少し時間を置いてもいい。
親子関係は、その場で全部きれいに回復しなくても大丈夫です。
大切なのは、戻る道を閉ざさないことです。
小さな接点で、空気は少し戻る
叱ったあと、何を話せばいいかわからないときは、大きな話をしようとしなくても大丈夫です。
いきなり反省会をしなくてもいい。
無理に笑わせなくてもいい。
長い説教の続きをしなくてもいい。
たとえば、
「お茶飲む?」
「明日の予定だけ確認しようか」
「今日はもう寝よう」
「寒くない?」
「お風呂、先に入る?」
そんな日常の小さな言葉でいいと思います。
叱った内容を流すわけではありません。
でも、親子の関係まで切らない。
この小さな接点があるだけで、子どもは少し安心することがあります。
「叱られたけれど、見捨てられたわけではない」
「行動は注意されたけれど、自分そのものを嫌われたわけではない」
そう感じられることは、子どもにとって大切です。
親も、戻り方を練習している途中
親も完璧ではありません。
不安になる日もあります。
疲れている日もあります。
言い方が強くなる日もあります。
あとから「あれは言わなくてもよかった」と思うこともあります。
でも、それで全部が終わるわけではありません。
親も、子どもと一緒に練習している途中なのだと思います。
叱り方を整えること。
言いすぎたあとに戻ること。
子どもの気持ちを待つこと。
自分の不安を少し横に置くこと。
どれも簡単ではありません。
でも、少しずつでいいのだと思います。
昨日より少し早く言い直せた。
前より少し短く伝えられた。
今日は最後に「さっきは言いすぎたね」と言えた。
それだけでも、親子の空気は少しずつ変わっていきます。
おわりに
叱ったあと、親のほうが気まずくなる。
それは、子どもとの関係を大切にしたい気持ちがあるからです。
叱ることは、親子関係を壊すためのものではありません。
本来は、子どもが次に進むために必要なことを伝える関わりです。
でも、叱ったあとに戻る道がなければ、子どもは「怒られた記憶」だけを持ってしまうことがあります。
だから、叱ったあとの小さな一言を大切にしたい。
「さっきは言い方がきつかったね」
「でも、伝えたかったことはあるよ」
「落ち着いたら、また一緒に考えよう」
そんな言葉が、親子の関係を少しずつつなぎ直してくれます。
完璧な親でなくていい。
完璧な仲直りでなくていい。
気まずさを感じたそのあとに、少しだけやわらかい言葉を足してみる。
それだけでも、親子の時間は変わっていきます。
叱ったあとにも、また戻れる。
言いすぎたあとにも、また話せる。
ぶつかったあとにも、また笑える。
その積み重ねが、親子の信頼を育てる小さな種になっていくのだと思います。
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