menu撤退は当然だと思っていた私。フードデリバリー戦争を現場目線で考えてみたよって話
こんにちは、となりの店長です。
飲食業界で働く方も、そうでない方もお疲れ様です。
今回は
飲食業界で気になるニュースについて。
2026年8月19日、KDDIから発表がありました。
フードデリバリーサービス「menu」が
2026年9月30日をもってサービスを終了するそうです。
さらに、運営会社であるmenu株式会社も
サービス終了後に解散・清算される予定とのこと。
KDDIは終了の理由について
「フードデリバリー市場を取り巻く
競争環境の変化や今後の事業見通しを
総合的に検討した結果」
と説明しています。
単純に
「利用者がいなかったから」
という話ではありません。
今回のニュースで私が気になったのは
「フードデリバリーって、これからどうなっていくのか?」
という事。
やっぱりな、と思う私
本題に入る前に
現場でmenuを使っていた時に感じた事を。
端的に言うと
menuは店舗側にとって
非常に使い勝手の悪いツールでした。
商品の写真を変えるにしても
審査に時間がかかる上に棄却される。
しかも何がダメなのか教えてくれない。
ページ編集のUIも分かりにくく
「こんなのパソコンに疎い飲食店オーナーは
そもそも加入しないんじゃないか」
と思っていました。
現に私が管理する店舗からも
「menuの編集がしんどい」
との声が上がっていました。
私はそこに現場のリソースが
取られてしまうくらいならと
menu自体をやめる決断をしました。
その後も何度も再開を打診する電話がある度に
「UIを根本から見直して現場がストレス無く
動かせるようになるなら再開します」
と断り続けました。
本社があるような大手企業でもない限り
フードデリバリーのメニューを
編集するのは現場の人間です。
営業をこなしながらデリバリーページを編集する。
中小企業の飲食店なら当たり前ですが
menuはここに全く寄り添っていませんでした。
現場目線で言うと
最大手のUber EatsのUIは
分かりやすく編集もしやすい。
それを丸パクリしているロケットナウも
現場からしたら慣れたシステムで扱いやすい。
出前館は当初はUIは最悪でしたが
ちゃんと修正を重ねて来た。
現場も余計なストレスが無い分
「このキャンペーンに参加してみよう」
となりやすいのが見ていて素直に感じる所です。
盛り上がっている所に人は集まる。
店舗もデリバリーサービスも一緒です。
menuは「利用者」に
クーポンをばらまく戦略だけではなく
「加盟店」にもっと寄り添った所にリソースを
割くべきだったと個人的には思います。
menuが終わる事より、気になる事
お客様が店まで来てくれる。
これが飲食店の基本でした。
ところがスマホが当たり前になり
コロナでフードデリバリー利用が急増し
「家から出なくても店の料理が食べられる」
という時代になった。
飲食店にとっても
「店内のお客様だけを相手にする」
という商売から
「店の外にいるお客様にも料理を届ける」
という商売ができるようになりました。
これは本当に大きな変化だったと思います。
私自身
飲食業界に長くいますが
デリバリーが売上の一つの柱になっている店も
珍しくありません。
ただし
ここには一つ、大きな落とし穴があります。
売上が増えることと、利益が増えることは別。
「注文が増えた」だけでは喜べない
デリバリーになると
そこに新しいコストが乗ってくる。
プラットフォームへの手数料。
配達に関わるコスト、容器代。
場合によってはキャンペーンや値引き。
そして、注文が増えれば当然
厨房の仕事も増えます。
「デリバリーで売上が100万円増えました!」
だけでは、本当の意味で
店が儲かったかどうかは分かりません。
100万円の売上を作るために
いくらコストが増えたのか。
ここを見ないといけない。
店の数字を見るとき
私はいつもここを気にします。
売上は目立つ。
利益は目立たない。
でも、店を続けるために必要なのは後者です。
それでもデリバリーには価値がある
「デリバリーなんてやらないほうがいい」
という話なのか。
私はそうは思いません。
むしろ逆です。
デリバリーは
飲食店にとって非常に面白い販売チャネルだと思っています。
店の立地という制約をある程度飛び越えられる。
駅から少し離れている店。
雨の日に客数が落ちる店。
夜になると人通りが減る店。
店内の席数に限界がある店。
こういう店にとって
デリバリーは新しい売上を作る可能性があります。
だからこそ、多くの飲食店が参入した。
それ自体は、とても自然な事だと思います。
でも「誰でも儲かる市場」ではなかった
今回のmenu終了で
私はここが一番大きいと思っています。
フードデリバリーという
市場そのものが無くなる訳ではありません。
実際、現在も複数のサービスが競争しています。
ただ
「デリバリー市場がある」
事と
「デリバリー事業者なら誰でも生き残れる」
事は全く別の話。
これまでにも日本では
foodpanda、DiDi Food、Chompy
などがサービスを終了してきました。
そして2026年3月には
Woltも日本市場から撤退しています。
そこに今回のmenu。
こうして見ると
「フードデリバリーが終わった」
というより
「フードデリバリー市場の淘汰が進んでいる」
と考えた方が近いのかも知れません。
飲食店も「出店する場所」を考え直す時代
飲食店にも同じ事が言えると思っています。
昔なら
「駅前だから強い」
「人通りが多いから売れる」
という考え方がありました。
もちろん今でも重要です。
でも今は
店舗
↓
Googleマップ
↓
SNS
↓
デリバリー
↓
テイクアウト
↓
EC
と、お客様と接点を持てる場所が増えています。
つまり
「店をどこに出すか」だけではなく
「お客様とどこで接点を持つか」
を考えなければいけない。
便利だから使う。でも、便利だけでは続かない
デリバリーサービスを利用する側からすれば
「家まで料理を届けてくれる」
これはものすごく便利です。
飲食店側からしても
「自分たちの店を知らなかった人に料理を届けられる」
というメリットがあります。
でも、その裏側では
「このサービスを何年続けられるのか?」
という事業者側の問題があります。
お客様にとって便利。
飲食店にとって便利。
でも、運営会社が利益を出せなければ続かない。
これは飲食店にもそのまま当てはまります。
「売上を作る」から「利益を残す」へ
売上を作る。
これは大事。
でも、それ以上に大事なのは
「その売上から、いくら残るのか」
です。
デリバリーも同じ。
新しいサービスが出てきたから、とりあえず登録する。
注文が増えたから、とりあえず喜ぶ。
それだけでは足りない。
手数料はいくらなのか。
人件費はいくら増えるのか。
容器代はいくらなのか。
店内営業への影響はないのか。
リピーターにつながっているのか。
そして最終的に
「このデリバリーを続けることで
店は強くなっているのか?」
ここまで考える必要があると思います。
menu終了は「終わり」ではなく、次の段階への合図
今回のmenu終了。
利用していたお客様や加盟店にとっては
もちろん残念なニュースです。
ただ、飲食業界全体として見ると
私はこれを一つの転換点として見ています。
フードデリバリーが珍しかった時代は終わった。
「デリバリーをやっている」だけでは差別化にならない。
これからは
どのサービスを使うのか。
どの商品を売るのか。
いくらで売るのか。
どんなお客様に届けるのか。
そして、いくら利益を残すのか。
ここまで考えた店が生き残る。
そんな時代に入ってきたんじゃないでしょうか。
まとめ
飲食店の現場にいると
「とりあえず売上を上げよう」
という場面はたくさんあります。
でも管理職になって数字を見るようになると分かります。
売上はゴールではない。
売上を作って、利益を残して
スタッフに給料を払い、仕入先に支払い
家賃を払い
それでもまた来月営業出来る資金を残す。
そこまでやって、ようやく商売です。
menuが9月30日にサービスを終了します。
一つのデリバリーサービスが無くなる。
それだけのニュースではない気がしています。
「便利なサービスだから続く」
ではなく
「続けられるビジネスだから残る」
menuの撤退自体は個人的には何の驚きもありません。
遅かれ早かれ
加盟店をおざなりにしているようでは潰れる
と思っていました。
明日からも
「売上」だけではなく
「その売上が何を残してくれるのか」
「スタッフはストレス無く働けているか」
「顧客は本当に満足しているか」
を考えていきたいです。
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