脳梗塞の再発を予防するには?家族が知っておきたい生活習慣とサポートの基本
大切な家族が脳梗塞になってしまったとき、命の心配はもちろん、今後の生活への影響が不安になる方もいるのではないでしょうか?この記事では、再発予防に欠かせない生活習慣の改善方法と、家族ができるサポートのポイントを具体的に解説します。
ケアのポイントや方法が分かれば、生活への不安が解消され、脳梗塞の再発予防へ積極的に取り組むことができます。
ぜひ最後までご覧ください。
1.脳梗塞の再発率や原因と症状を知ろう
脳梗塞は、再発しやすい病気だと言われています。
もともとの生活習慣や持病(高血圧や糖尿病)が深く関係しています。
ここでは、脳梗塞の再発率や主な原因、再発による後遺症について詳しく見ていきましょう。
1)脳梗塞の再発率と「再発しやすい時期」
脳梗塞は、発症から1か月以内が最も再発しやすい時期です。
しかし、その後も再発率は高く、10年以内に49.7%の人が再発したという報告があります。1)
特に「心原性脳梗塞(不整脈によって作られた血栓が原因となる脳梗塞)」は75.2%と再発率が最も高いことが分かっています。
1度ダメージを受けた血管は再び詰まりやすくなっています。
脳梗塞の種類によっても再発率は変わりますが、再発する可能性があることを日頃から忘れないようにしましょう。
2)脳梗塞再発の主な原因
脳梗塞再発は、高血圧・糖尿病・脂質異常などの生活習慣病が主な原因です。
生活習慣病の人は、健康な人に比べて血管年齢が10歳以上加齢していると言われています。2)
血管の加齢は、動脈硬化が進行しやすい状態で、脳梗塞の発症率も高くなるということです。再発につながる体の状態は次のとおりです。

生活習慣病に加えて、不健康な生活習慣が脳梗塞を再発させる原因です。
不健康な生活習慣とは
・喫煙
・多量の飲酒
・過度なストレス
・運動不足
・塩分過多の食生活
・薬を飲み忘れることが多い
生活習慣の見直しと、生活習慣病をコントロールして、体調を整えるよう意識しましょう。
3)「脳梗塞の後遺症が重くなる」再発の怖さを知っておこう
脳梗塞は、再発をすると後遺症が重度になる傾向があります。
2度目の脳梗塞が異なる血管で起きると、広範囲に脳が傷ついてしまうためです。
1度目とは、違う後遺症を発症する場合があります。
後遺症は、脳梗塞を発症した場所によって出てくる症状が異なります。
代表的な脳梗塞の後遺症は、以下の5つです。


再発を繰り返すと脳の機能は低下し後遺症が重くなり、生活に介護が必要になる場合もあります。
1度脳梗塞を発症したら、再発の怖さを理解し、早めに予防へ取り組むことが大切です
2.脳梗塞再発予防のカギは「日常生活の見直し」
脳梗塞の再発予防には、特別なことではなく日常生活の積み重ねが基本です。ここからは、今日から始められる日常生活の見直しポイントを4つ紹介します。
1)食事でできる再発予防
食生活は、高血圧や糖尿病、脂質異常に直結します。
塩分や食事のバランス、控えた方が良い食事を意識して生活習慣病をコントロールできるようにしましょう。
①塩分は1日6g未満を目安に
日本高血圧学会では、塩分摂取量の目標値を1日6g未満としています。3)
軽量スプーンで、さらさらの塩の場合は小さじすり切り1杯が6gに相当します。
また、自分では調理をせず惣菜や加工品で済ませる場合も多いかと思います。まずは、食品の中にどのくらい塩分が含まれているか確認する習慣をつけましょう。
塩分量の例
・カップ麺5.5g
・天丼 4.1g
・カレーライス 3.3g
・梅干し 1.8g
・ハム 0.9g
カップ麺は通常5g以上の塩分が入っていますが、汁を残せば2~3gの減塩になります。汁を残すようにしましょう。
②野菜・魚・豆製品を中心にバランスよく
野菜や魚、豆製品をバランスよく食べることで体の中環境を整えることができます。

③「これだけは控えたい」食べ物・飲み物
控えたい食べ物は、加工肉といわれるハムやソーセージです。
飲み物は、ジュースや清涼飲料水の飲みすぎに注意しましょう。
摂取量に気を付けた方が良い理由は、以下の2点です。

④家族ができるサポート
同居している家族の場合は、一緒に食事内容を話し合うことが改善の第一歩です。何をどれくらい食べたらよいのか分からない方も多いかと思います。
そんな時は、厚生労働省と農林水産省が作成した食事バランスガイドを参考にしてみるのはいかがでしょうか?
食事バランスガイドを使って、1日分の健康的な食事内容と摂取量を確認できます。

別世帯で暮らしている家族の場合は、1人で栄養の整った食事を準備するのは大変です。最近では、塩分制限の調理がされた宅配食やお弁当を注文することができます。
買い物や調理の手伝いが難しい場合は、宅配食のサービスを利用することもおすすめです。
2)運動とリハビリを継続する
運動やリハビリの習慣が脳梗塞の再発予防になります。ここからは、気軽にできる運動を紹介します。ぜひ生活の中に取り入れましょう。
①再発予防に効果的な運動とは?
運動をすると、後遺症により動きにくくなった身体の機能を回復させるだけでなく、心肺機能を使うことで血流を良くし再発予防につながります。
運動の内容は、呼吸を意識しながら行うゆったりとした運動が再発予防に効果的と言われています。
・ウォーキング
・NHKテレビ体操
・太極拳
後遺症で体の動きが不自由な方は、室内用の運動器具を取り入れることもおすすめです。
座って使える足こぎバイクは、無理なく運動ができます。

②無理は禁物!体調に合わせた運動強度の目安
運動は、体調に合わせながら毎日少しでも体を動かしましょう。

生活習慣病が持病にある人は、主治医と相談しながら運動を取り入れると安心です。
③家族と一緒に続ける工夫
家庭での役割を持つと自然と体を動かす習慣ができます。
・ラジオ体操や散歩
・一緒に買い物へ行く
・食事の用意
・掃除や洗濯
・庭の手入れ
・テレビを見ながらストレッチや体操
まずは、座りっぱなしの時間を減らし家族や仲間と楽しみながら運動できる習慣を作っていきましょう。
3)薬をきちんと続ける
脳梗塞の再発防止には、薬を正しく飲み続けることが大切です。
①飲み忘れを防ぐための工夫
薬を飲み忘れないことは、脳梗塞の再発予防につながります。
しかし、分かっていても薬を飲み忘れたり、飲んだことを忘れることは誰にでもあります。
薬の飲み忘れを防ぐための方法をご紹介します。

②自己判断で中断しない、定期健診には必ず行く
生活習慣病をコントロールするために飲んでいる薬を自己中断すると、血圧が上がる・血栓ができやすくなる・血糖が上がるなど再発リスクが大きくなります。
血圧や血糖の数値が良くなっていると安心しますが、内服が切れる前に定期的な受診と薬の継続を徹底しましょう。
4)生活習慣を整えることが最大の予防
食事、運動、薬を整えるほかにも、生活習慣そのものを整えることが脳梗塞の再発予防になります。今の生活で改善できる習慣を考えてみましょう。
①禁煙・節酒・良質な睡眠、十分な水分補給
タバコやお酒、睡眠の質、水分不足は、脳梗塞の再発に大きな影響を与えます。どのような影響があるのか理解しておくことが大切です。

②ストレスを溜めない工夫
ストレスは、血圧を上昇させ動脈硬化につながります。
制限のある生活の中でも、ストレスを溜めないように工夫することが大切です。
趣味や会話を通してリラックスする時間を持ちましょう。
家族は、話を聞く時間を作り、気分転換のお手伝いをしてみては。
とにかく話を傾聴し気持ちに寄り添うことが、何よりの支えになります。
③体調の変化に早く気づくために
体調の変化に気づけるよう、日頃から通常の顔や手足の動きを気にかけておきましょう。
自分だけでなく、家族も一緒にチェックすると変化に早く気付くことができます。
「いつもと違うな、変だな」と思った時には、すぐ受診し再発を発見できると安心です。
脳梗塞の再発予防は家族で取り組み体調を整えよう
いかがでしたでしょうか。
再発予防に大切なことは、まず脳梗塞の原因や再発の怖さを知ることから始まります。
脳梗塞のことを知った上で、食事や運動習慣の改善、睡眠の質やストレスを溜めないなど生活習慣の改善を家族で話し合いましょう。
内服を飲めているか確認を徹底し、家族のサポートがあると安心です。
生活に制限を感じるとストレスになってしまうこともあります。
話を聞くだけ、一緒に軽い運動をするなど、家族にできる支援はたくさんあります。
ただし、家族だけで抱え込まず、地域の支援や介護サービスを活用することも大切です。
家族みんなで、少し心にゆとりを持ちながら再発予防に取り組んで行きましょう。
参考
1)日本の地域社会における初めての脳卒中発症から10年後の再発:久山町研究
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15716529/
2)10年間で脳卒中を発症する確率について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3284.html
3)日本高血圧学会 さあ!減塩
https://www.jpnsh.jp/general_salt_02.html
4)日本高血圧学会 減塩のコツと塩分の多い食品・料理
https://www.jpnsh.jp/data/salt01.pdf
5)日本循環器協会
https://j-circ-assoc.or.jp/live/49/
6)イソフラボンと脳梗塞・心筋梗塞発症との関連について
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/308.html
7)厚生労働省 健康づくりのための身体 活動指針(アクティブガイド)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001222159.pdf
8)厚生労働省 生活習慣病の情報
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-03-002
9)厚生労働省 生活習慣病 飲酒
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-03-002
10)厚生労働省 睡眠と生活習慣病
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008
