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ピューと吹く!んじゃがー

みなさんは、かつて一世を風靡したギャグ漫画をご存じだろうか。
その名も『ピューと吹く!ジャガー』。

ジャガーさんがリコーダーを吹き鳴らし、
意味不明で不可思議な世界観を淡々と展開する。
読者を困惑と笑いに巻き込んだ伝説?の漫画である。

そして今年。
小学3年生になった娘・まるも、ついにリコーダーデビューを果たした。

🪈🪈🪈

彼女は普段、宿題もピアノも
「あとでやる〜」「今はムリ〜」と
見事な先延ばしスキルを持つタイプである。

だが、なぜかリコーダーだけは別だった。

夕飯を作っていると「ピーッ」。
洗濯物をたたんでいると「ピピッ」。
ふと視線を上げると、
リビングの真ん中で黙々と吹いている。

誰に言われたわけでもなく、自然と練習している。
どうやら、よほど気に入ったらしい。

私はその姿を、
あえて何も言わずに見守ることにした。
やる気の芽を摘まないように。
「楽器と向き合う時間」を大切にしてほしかったからだ。

私の定位置でもある、
ダイニングチェアに座りながら
彼女が吹く笛の音を静かに聞いていた。


🪈🪈🪈

そんなある日、娘が風邪をひいた。

鼻は完全に詰まり、苦しそうで、ティッシュの山が築かれるほど。
小児科で薬をもらい、「今日はゆっくりね」と声をかけた。

当然、リコーダーの練習も休むものと思っていた。

けれど、その日の午後。
私が別の部屋で作業していると、どこからともなく笛の音がする。

「ピーッ……フガッ。ピー……フガフガ…」

……ん?

妙な”詰まり音”の合間から、
かろうじてリコーダーの音が聞こえる。

急いでリビングに出ると、娘は真剣な表情で吹いていた。
鼻が詰まっているせいで呼吸が荒く、
「フガッ」「プハッ」という、
クロールで泳いでいたら聞こえてきそうな息継ぎの音が混ざっている。

それでも彼女の目は鋭く、集中している。
もうすぐ音楽会があり、そこで披露するために頑張って練習をしているのだ。
私は笑いをこらえつつ、そっと元いた場所に戻った。

🪈🪈🪈

やがて笛の音が止んだ。

ほっとしたのも束の間

「ピュー」という音がした。

え? また吹いてるの?
と思って娘を見ると、リコーダーはもう片付いている。

テレビもスマホも鳴っていない。

でも確かに聞こえる。
「ピュー……ピュー……」

耳を澄ませてようやく気づいた。
音の出どころは、娘の鼻だった。

詰まった鼻のどこかに隙間が生まれ
そこから漏れ出た空気が音を鳴らし
呼吸するたびに「ピュー」と鳴るのだ。
生体楽器である。

しばらく私は、その現実離れした“鼻音”をただ聞いていた。

シュッ……ピュー。
シュッ……ピュー。

ピューピュー鳴ってんなぁ。
そう思いながらも、鼻炎持ちの私としては
鼻から音が鳴ること自体は自分自身も経験があるので、少しおもしろいなとは思ったが、こらえられる程度の笑いでしかなかった。

だがしかし、

そのとき、
娘がこちらを振り返り、満面の笑みで言った。

「お母さん! わたしの鼻がリコーダーになったよ!」

その言葉を聞いた時、私は崩れた。

こらえていた笑いが決壊し、「ぶはっ」と声が漏れた。
キッチンの床にしゃがみこんでしまった。

なにそれ。
なんという発想。
そして、誇らしげに報告してくる感じがもう、無理だった。

娘は自分の鼻を試すように
「ピュー」「ピュー」と鳴らし、
「すごいでしょ!」とあどけなく笑う。

そのたびに鼻がまた「ピュー」と鳴り、
そのたびに私も笑ってしまう。

鼻ピュー、笑い、鼻ピュー、笑い……無限ループ。

私も笑いすぎて、
つい鼻が「フガッ」と鳴ってしまい、
それにまた娘と目を合わせて笑い合った。

もう何の合奏なのか分からない。

🪈🪈🪈

ひと通り笑い疲れたあと、ふと考えた。

音楽会、大丈夫だろうか?
みんなのリコーダーの音に混じって、
どこからともなく「ピュー」が紛れ込んだりしないだろうか?

そして、どこかのお爺さんが

「あの子、鼻でもピューと吹くんじゃが?」

なんて言ってこないだろうか。

今から、ちょっと心配である。

🪈🪈🪈

#なんのはなしですか

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久々に昔読んで笑った漫画を読んでみるのもいいかもしれませんよ。


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