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夜の国性調査と父と母

星野源のオールナイトニッポンの、数あるコーナーの中で、
私が一番お気に入りだったのは、「夜の国性調査」だった。

中学の頃から、当時は市民権のなかったオタクで腐女子だった私。
友達と一緒に同人誌も作ったし、まだ参加者の少なかったコミケで売り子もしたし、なんなら大人になっても一時期はアニメやドラマの二次創作小説をpixivに垂れ流していた自分にとって、文章を書いている時は、現実を忘れられることのほか楽しい時間だった。
(今でもpixiv覗くとあの頃の残骸を見ることができて、黒歴史は黒歴史で愛しいと思えるくらいは年をとった😅)
しかも国性調査はハガキ投稿が唯一できるコーナー。
思いをハガキにしたためる、
あのなんとも言えない凛とした時間が好きだった。


最初に採用されたのは、「父の官能小説を盗み読みして一人エッチにいそしむ話」だった。

自分の書いた葉書を、源さんが手に取り読んでいるのかと思うと
嬉しいやら恥ずかしいやら、なんだか心の内が複雑で
飛び上がりたいような気分だった。
そして「女なのに、はしたない」と言われるのが怖くて、
ひっそりと隠していた自分の奥の奥を、
丸ごと肯定してもらった気がして、その日少し心が軽くなった。

その後いくつか葉書を採用していただいたが、特に印象的だったのは2024.1.30の、ぼる塾田辺さんとケンドーコバヤシさんをゲストに招いた国性調査スペシャルの回だ。

その回は連続して2枚葉書を読んでいただき、ねぶり棒を4本もらうという信じられない回だった。

届いた4本のねぶり棒も衝撃だったが、それと同じくらい私にとって印象深かったのは、その葉書をきっかけに私の人生がちょっと変わったことだった。

葉書の内容は
「父と母の愛の場所」の話だった。下記は投稿した文章です。

子供の頃、父と母はよく一緒にお風呂に入っていた。
父と一緒に入っていた私が風呂から上がると
入れ替わりに、母が入ってくるのだ。
今思うと、家族の多い我が家で、二人っきりになれる時間は
お風呂だったのだろうなと思う
祖母が私を寝かせつけているあいだは
そこは父と母、二人だけの時間だ。
今は料理の作り方も忘れて、時々宇宙と交信し始める母だが
いつも髪の毛からシャンプーのいい匂いがする。
「俺が洗ってやるんだ」
と照れながら話す父。
父と母の愛の場所は、今でもお風呂なのだと思う。


父と母の日常を、そのまま切り取って送った葉書だった。
あんまりエロくもなく、随分前に送ったものだったので
もう採用されないと思っていたから、ラジオで読まれた時はとても驚いた。
この葉書をきっかけにケンドーコバヤシさんが、
ご自分のご家庭に様子をお話ししてくださって、めっちゃ笑った。

この回の葉書もそうなのだが、
私は国性調査の葉書を書こうとすると、
なぜか父や母の姿、家族の姿が頭の中に浮かぶ。
そして文を短くまとめようと何回も推敲していると
父や母との思い出が、私の中に定着していくのだ。
パソコンの中には投稿しなかった たくさんの思い出の文章が残った。

そして、この国性調査スペシャルで、
源さんに自分の葉書を読んでいただいて、
リスナーとして、ゲストの方々のお話も含めて
客観的に聴くという体験をきっかけに
父と母にもっと寄り添いたい、という気持ちが強くなった。
そして、昨年の春、思い切って、36年勤めた仕事を辞め、
勤務時間の少ない働き先に転職した。

認知症がかなり進行していた母は、
私が転職したあと程なくしてこの世を去ることになったが、
あの日の投稿をきっかけに
1年かけて転職のための引き継ぎや準備、身の回りの整理ができ
職場に迷惑をかけることなく退職できた。
勤務時間が長く、急に休むことのできなかった前の職場と違って、
母が倒れた時も、すぐに仕事を休んで病院に駆けつけることができ、
最後の瞬間まで、たくさん母に寄り添うことができた。

私のことを全て忘れてしまった母に、
少し寂しい気持ちになったりもしていたが、
私が覚えていることを文章にすることで、
寂しさが減り、愛しさが増えた気がした。

ずっと母と愛を育んできた父も
最後に間に合わないくらいの急な旅立ちだったが
でも不思議と心残りがなかった。
それは国性調査の葉書を書いていたからだと思う。

国性調査を書くことが私の支えになり、
両親への気持ちを深めていったのはとても不思議なことだったが、
感謝や愛しさは、
いろいろなところから湧き上がるものなのだなとも思った。

1枚の葉書を書くことで、両親の素敵な部分の記憶を心に定着させ、
私の人生をちょっぴり変えてくれた「夜の国性調査」に
とても感謝している。

エンバーミングで、美しく少しお茶目に微笑む最後の母の姿を目に焼き付けて、これからは父の人生に寄り添って行こうと思う。
半年ほどのびのびになっていた納骨を4月12日に済ませて、ちょっと目標を見失ってしまった父だけど、夕飯を届けながら、二人の記憶の底の母の姿を一緒に語り合いたい。

そしてあの日のSpotifyを時々聞き直して、
父と母のラブラブな日々を思い出し、ちょっぴり泣きたいと思う。

あの時、星野源のオールナイトニッポンがあってよかった。
今もずっと心の支えです。
Spotify消えないでね。


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